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一級建築士でFPの荒尾博氏が一戸建てを新築・改築する際のノウハウや注意点を解説。新しい法規制の動きなどもタイムリーに取り上げます。

第79号 たまには天井裏をのぞいてみよう

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 前回お話しした床下や今回お話しする天井裏は、普段めったに見ることが無いと思いますが、耐震診断などでは、絶対見る必要がある空間なのです。特に、天井裏とか小屋裏と呼ばれている空間では、壁などを壊さずに建物の構造躯体を見ることができます。今回は1階の天井裏を覗(のぞ)いてみます。


1.1階の天井裏から得られる情報(仕様)


図1 1階天井裏から覗ける範囲

 2階建ての住宅の場合、1階の天井裏からは、2階床下部と1階の壁の最上部を垣間見ることができます。ここでチェックできるのは (1)筋交い (2)壁 (3)2階床に関する情報(仕様)です。耐震診断やリフォーム調査の際、仕様や劣化などを判断するうえで重要です。


(1)筋交いの仕様


耐震診断では、まず、筋交いの材の厚みと位置を知ることが重要です。厚みがわかると耐震上の強さが推定できます。また、位置がわかると平面での耐震壁の配置バランスがわかります。耐震診断では、耐震壁の強さと配置が重要になるのです。


 ただし、残念なことに、1階の天井裏を覗くことができるのは押し入れの天袋がある場合か、洗面所などに天井点検口がある場合だけです。耐震診断では、事前に図面があるわけではないので、1階の和室の有無と天袋のある押し入れの有無を確認します。ここで「ある」との回答を得られればひと安心です。天袋の天井の板は固定していないケースが多く、簡単に覗くことができるからです。


図2 柱と筋交い

 次に厚みですが、覗いたところから手が届く範囲に筋交いがあれば、直接メジャーで厚みを測れます。それが無理でも、柱との関係で厚みを推定できます。というのは「2つ割(半割)」とか「三ツ割」など柱を縦割りにして筋交いにし、柱と梁や桁などの接合部に取り付けられるので、見た目の厚みを推定できるのです。寸法的は45ミリメートル、30ミリメートル程度です。築年数によっては、15ミリメートルといかにも頼りない場合もあります。


(2)壁の仕様


 壁について知りたい情報は、壁の下地、断熱材、漏水などです。壁の下地のうち、外壁側に板をすのこ状に並べ、その奥が黒い紙であれば、モルタル外壁の一般的な仕様といえます。板や紙が見えると言うことは断熱材が無いと言うことになり、冬は寒いはずです。省エネを考えて断熱材を入れるなどの対応が必要だと思います。


図3 壁下地

 一方、内側に石こうボードのようなボードがあり、で所々にくぼみがあれば、聚楽など左官仕上げの下地材(図3)です。平らな石こうボードであればクロス張りです。化粧合板しか無ければ、室内からの出火した場合、火が拡がりやすいとも言え、防火についての対策が必要かもしれません。


(3)床の仕様


図4 根太

 2階の床が見える場合は、図4のように床の板の下にある根太と呼ばれている厚みのある板材が並んでいると思われます。


図5 根太が転ぶ、転ばない

 図4には、いくつかの問題が写っています。根太が梁の上にただ乗っているだけで、このままであれば根太は図5の左側のように転ぶ可能性がぬぐえません。根太が転ばないためには、図5中央のように直角に根太材をはめるか、根太の一部をはめ込むようにすることで転ばないようにした方がよいと言うことです。


 さらに、問題があるとすると筋交いです。筋交いが梁とだけ接合されていて柱から離れています。筋交いは、左右2本の柱と土台や梁で囲まれた四辺形を斜めに入れることで、変形しにくいトラス(三角形)を構成し地震に耐えるものなのですが、図4のように梁の途中では力を発揮しづらいはずです。


図6 火打ち

 もうひとつ、床組みの中で重要な部位が「火打ち」です。梁や桁など床組の主要躯体の角に斜めに付けることで変形を防ぐ役割があります(図6)。


図7 鉄の火打ち

 火打ちは、耐震壁が重要なのと同じように床組みでは大切で、そのために柱など太い材料で組み、ボルトを使ってがっちり固定される必要があります。図7では鉄材を使っていますが、肝心の固定部分を見るとせっかくボルト用の穴があるのに仮止め用の釘だけでとめられています。これでは、地震の力が強く加わった場合、すぐに外れて力を発揮できないと思われます。


2.耐震診断制度の利用


 1階天井裏や小屋裏を覗くことは、構造躯体が施工時にきちんと施工されていたかや、その後の劣化や地震等で問題は無いかなど知るうえで重要です。


 1981(昭和56)年以前の木造に住んでいる場合、耐震改修促進法という法律で市区町村から耐震診断を無料あるいは補助金を出して行うことができます。この診断を受けると、耐震性はもちろん劣化など構造躯体の問題についてもわかります。まだ受けられていない方は、お住まいの市区町村に聞いてみて、是非受けられることをおすすめします。


[関連記事] たまには床下をのぞいてみよう (2015/5/13)


[2015/6/3]

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住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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