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失敗しない家づくり教室

一級建築士でFPの荒尾博氏が一戸建てを新築・改築する際のノウハウや注意点を解説。新しい法規制の動きなどもタイムリーに取り上げます。

第80号 のぞける場所の確保が重要

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 レントゲンに胃カメラ、大腸検査等々、人間も病気など早期発見のために体の中を覗(のぞ)く必要は重要ですが、住宅の場合も同様だと考えてください。もっとも、住宅にレントゲンやサイバーカメラを使用するのはなかなか大変ですので、あくまで目視で覗けることが求められます。第78号から壁や床下、小屋裏を覗く大切さを書いてきましたが、今回は最終回です。


[関連記事] 第79号 たまには天井裏をのぞいてみよう
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1.壁を覗く


図1 コンセント

 私が住宅の耐震診断をする際、床下や小屋裏の他にどこを見るかと言えば、壁です。材質(石膏ボードが使用されているかどうか)と厚み、それに断熱材の有無です。

 準耐火構造などでは、壁や天井の石膏ボードの厚みが定められています。性能面から石膏ボードの厚みを知る必要があるからです。コンセントやスイッチのカバーを外すと、材質の断面と厚みが目視で確認できます(図1)。ただし、コンセントカバーを外すのはカバーのみを外してください。配線などに触れることは大変危険ですので、それ以上のことは皆様にはおすすめできません。


2.覗ける場所の確保


図2 天井点検口

 以上のように、覗くことの大切さと場所の話をしてきましたが、私が住宅の新築や増改築をする場合、設計段階から覗ける場所の確保を考えています。台所の床下収納を設置して床下を覗けるようにしたり、2階のトイレや浴室、洗面などの給排水についても天井裏から点検できるようにしておく配慮が重要です。特に、配管が曲がるところは問題を起こす可能性が無いとは言えません。そのような場所の天井部に天井点検口を付けておくことをおすすめします(図2)。


図3 天袋から小屋裏を覗く

 一方、最近の住宅は和室が無くなったことで、押し入れの天袋(図3)などから小屋裏を覗けなくなっています。屋根は外壁とともに自然の過酷な影響をもっとも受けやすいところです。屋根瓦がずれたり、割れたりすれば漏水の原因になります。屋根の漏水を確認する意味からも、小屋裏を覗くことが必要で、さらに問題があった場合、大工さんらが小屋裏に入れるようにしておくことも必要です。つまり、小屋裏には人が上ることを前提とした天井点検口を考えておく必要があります。そして、人が上がるためには点検口の周囲をしっかりした木材で囲う必要があります。


図4 断熱点検口

 さらに、注意が必要なことがあります。一般的に天井裏には断熱材が敷き詰められていますが、天井点検口裏面だけ断熱材が無い場合が多いことです。せっかく断熱が施されていても、その部分が断熱上の弱点になってしまいます。省エネから見れば、断熱と気密性能を持った点検口を使う必要が出てきています。図4は、従来の点検口だけでなく、厚みのある断熱材と専用気密枠の構成で高気密高断熱をサポートする製品を使った例です。

3.新築だけでなくリフォームの際も忘れずに

 近年、既存住宅に対しても長期優良化リフォームに補助する制度がスタートしています。長期優良住宅で重要なことは、点検して必要な部品など交換することで長期化するわけですから給排水管や小屋裏などに点検口の設置は重要になります。新築だけでなくリフォームでも考え方は同じで、計画されておられる方は一度ご検討ください。特に、基礎高が低く床下に十分な高さが取れていないケースでは、床下を移動するのが難しく、もし補修が必要な時は大変ですので台所と洗面浴室の2カ所の点検口を付けるなど、設計担当者とよく相談して計画してください。


 また、床下点検口の場合、上を歩行するので点検口の部分が沈んだりキュと音が出たりする可能性もありますので、点検口部材の選択や配置場所などもよく話し合っておかれた方が良いと思います。


[2015/7/8]

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住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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