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失敗しない家づくり教室

一級建築士でFPの荒尾博氏が一戸建てを新築・改築する際のノウハウや注意点を解説。新しい法規制の動きなどもタイムリーに取り上げます。

第88号 LED照明に替える際の注意点

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1.低コスト高寿命のLED電球


 2020年までに新築住宅で改正省エネ基準が義務化されるのを前に、現在、国は設計者と施工者に技術講習会を義務付けています。その講習会で私は講師を務めさせていただいているのですが、講習では照明器具のLED化を積極的に図るようお願いしています。何と言ってもLED電球は消費電力が低いからです。ランニングコストでは、熱電球に比べて5分の1程度です。電球型蛍光灯と比べるとランニングコストは同等程度かやや低い程度ですが、寿命で比べると、LED電球は4万時間程度と電球型蛍光灯(1万3000時間程度)より圧倒的に長いです。


 LED電球の選択ですが、従来の白熱電球と同じ形状、口金(17ミリメートルと26ミリメートル)の製品がありますので、電球が切れた段階で同じ口金の電球を購入すれば取り替えられます。ただし、従来の電球のワット表示に対して、LED電球ではルーメンという明るさの単位で表示されていますので、明るさの比較対応が分からないという難点があります。蛍光灯では電球のワット数と対応して書かれていますからよいのですが、LEDの場合はその点が分かりにくいのが現実です。


 そこで、白熱電球と蛍光灯電球、LED電球の明るさを単純比較する目安表を付けておきます(図1)


図1 各電球明るさ比較目安

2.LED照明器具時代へ


 ここ数年でLED照明器具は、大幅に使用率が伸びました。その証拠に、量販店やホームセンターなどでは、少し前までは蛍光灯照明が中心で、LED照明はまだまだ高級品の感がありましたが、最近ではLED照明器具の価格がこなれ、またいろいろなアイデア製品も出てきたため、あっという間に照明器具の主流になりました。


 従来からあったシーリングライトとかダウンライト、ペンダントタイプなどと代替えしていく形でLED電球が開発されていますが、どれもLEDならではの特徴を備えています。例えば、今までの居室用照明では、蛍光灯は昼白色とか昼光色と呼ばれているものか電球色のものを選ぶ必要がありますが、最近のLED照明では一つの器具で昼白色や電球色だけでなく、生活行動や食事の内容などに合わせていろんな色合いが演出できるだけでなく、調光まで当たり前にでき、かつ、つけたり消したりするときにかかる電力も要りません。


 さらに、タイマー式で点灯と消灯の時間を設定できたり、蓄光効果で、消灯しても数分間はぼんやりした薄明かりが灯ったり、人感センサー付きだったり機能面も向上し、また、容量的に薄い照明器具など、デザイン面でも多様になってきています。


3. LED電球に変えたときの注意点


 一口にLED照明と言っても、本体と発光部分が一体になった照明器具としての製品と、今までの照明器具に使える発光部分の代替品としてのLED電球があります。まだ使えるのでもったいないとか、安くなってきたとはいえ取り替えるのに出費がかさむなどの理由で、とりあえず電球部分のみ替えておこうという方が多いと思います。このケースで注意すべき点をご紹介します。


 イメージとしては、図2の白熱電球の真空ガラスの中にある発光するフィラメントをLED電球に替えることになるのですが、問題は、その光の方向性です。


 LED電球は、その特性から、図3のように、半分ふさがれたようになっているのが主流です。それは、まるで従来よりあった、光の方向性をわざと絞り込む白熱レフランプのようです(図4)。つまり、光の方向性を考えると、図5のように、周囲に光が分散する白熱電球に比べて、LED電球の方は方向性が下半分に限定した方向になってしまいます。そこで、天井照明につけたとき、以前より天井部分が暗く感じるようになり、困惑される方もいらっしゃいます。


図2 白熱電球

図3 LED電球

図4 白熱レフランプ



図5 光の分散の違い

 特に違和感を感じるのは、ダウンライトなどで電球を斜めに使う場合です。図6の左側のように、白熱電球で光が分散するのであれば良いのですが、LED電球を使うと図6の右のようにダウンライトの効果が変わってしまうことがありますのでご注意ください。


図6 ダウンライト

4. リフォームで困るLED電球への交換


 家を新たに建てる場合は、照明器具も本体一体型LED製品の選択をされますので問題は無いのですが、設計士泣かせなのはリフォームで電球だけをLEDに変更する場合です。


写真1 ガラス照明器具(左)と内部の白熱電球

 写真1は、ガラスの中に電球をはめ込むタイプの照明器具で、多くの場合、透明ガラスの白熱電球を使っています。しかも、その電球のサイズはE26金口タイプで長さ方向で90ミリメートルです。しかし、現在市販されているLED電球のサイズは100~107ミリメートルしかなく、相談された私は、量販店に探しに行ったのですが、対応する製品はなかったのです。ネットで各社の製品を見るのですが、どこも製造されていませんでした。ただ、LEDにもレフタイプがスポットライトとして存在することが分かり、何とか手に入れてはめ込むことができましたのですが、結果は前述の通り、光の方向性があり、違和感が残ってしまいました。


 さらに、違和感が残ってしまった事例が、玄関灯、門灯、廊下、トイレ、洗面などの照明器具などにはめ込む場合です。


写真2 門灯(左はLED、右は白熱電球)

 門灯を例に取りますと、写真2のようになります。門燈は、夕方から明け方まで長時間点灯することもあり、最近にわかにLED電球への変更を希望されるケースが増えています。本来は右のように白熱電球の光の中心は門灯の中心に来ていますので、電球色が器具全体から暖かく広がって町の明かりを構成しているのですが、LED電球に替えると、上部だけが明るく、明かりの広がり感がほとんど無くなってしまいます。かといって、電球型蛍光灯では、何となく冷たい感じも否めませんしね。


 もっとも、一般家庭におけるLED照明の市販化は、まさに始まったばかり。これから今までの照明の常識を覆すような楽しみな製品がどんどん作られていくことでしょう。逆に言えば、我々設計士は、LED製品の情報を十分に知らないと、設計作業に大きく関わってくる大変な時代が来たということが言えるかもしれません。


[2016/3/9]

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住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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