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失敗しない家づくり教室

一級建築士でFPの荒尾博氏が一戸建てを新築・改築する際のノウハウや注意点を解説。新しい法規制の動きなどもタイムリーに取り上げます。

第78号 たまには床下をのぞいてみよう

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 今回からは、躯体を覗(のぞ)いてみましょう。在来木造では、いろいろな場所から躯体の一部を覗くことが出来ます。そして、覗くことでいろいろなことが分かります。まずは、床下です。


1.どこから覗くの?


 たまに床下を覗くことは、とても重要です。なぜなら、木造に限らず、建物を劣化させる大きな原因の一つに、床下の湿気から発生する問題があるからです。そして、その問題は、人体の健康に関係する問題でもあるのです。


 床下を覗く方法は、大きく4つあります。


(1) 床下収納庫


図1 床下収納

 一般的な床下収納は、キッチンの床に設置されています。その理由の一つは、もちろん食品収納ですが、もう一つの理由は、床下の点検のためです。キッチンは、給排水管など水回りの配管が床下を通っています。万が一、流した物が途中で詰まったりして給排水管にトラブルがあったり、劣化などによる問題が生じた場合、床下に潜って補修作業をしなければなりませんので、そのための点検口でもあるのです。

 昭和56(1981)年の建築基準法改正以降の住宅は、ほぼ床下収納庫は設置されていますが、それ以前の住宅でも、リフォームの機会を含め設置されている場合があります。


(2) 床下点検口があれば覗く


 床下点検口が設置されている住宅は少ないのですが、よく見られるのが極小住宅など、敷地いっぱいに建てられている住宅です。排水管は急激に曲げられたり、複数の排水管が接続されたりする場合、詰まりやすく、事故が起きた場合点検口から対処する意味があるからです。特に敷地いっぱいに建っている場合では、建物外の敷地に桝を設けられないこともあって仕方なく床下で処理することで点検口を設けるのです。


 ある事例では、南側しか配管スペースが無く、トイレやお風呂など排水管をすべて建物内北側から南まで床下のみで配管していて、その曲がり角ごとに床下点検口があった例もありました。


(3) 和室の畳を上げて覗く


 昭和40(1965)年前後やそれ以前の住宅の場合、床下収納庫が無い場合が多いのですが、一方で和室は必ずあるため畳を上げて床下を覗くことが出来ます。畳を上げるとその支えになっている荒床が張られています。この荒床板を外すことで床下を見ることが出来ます。


図2 和室の畳下荒床

 ただし、注意点があります。「第76号 耐震診断で表面化する床のトラブル」でも書きましたが、荒床が痛んでいる場合があるのです。畳を上げる前によく歩いてみて畳がたわまないか確認してから畳を上げることが大切な注意点です。次に畳を上げて荒床が見えたら、痛んだりしていないか確認し、外す場合も根太の上に乗るようにしてください。もう一つ大切なことは、外す前にマジックなどで位置が分かるように板の継ぎ目で左右印を付けておくことです。後ではめるときに迷わないためです。

 多くの場合、板の傷みだけでなく釘がさびている場合もありますので、ステンレスの釘を要しておくことも必要かも知れません。


(4) 基礎換気口から覗く


 床下収納庫も床下点検口も和室も無い場合は、基礎の換気口から覗くしかありません。私が耐震診断で床下を点検する場合は、胃カメラのようなスネークカメラを使って換気口の格子の間から覗くことがありますが、それでも正確に覗くことは難しいのも事実です。


 また、かなり多くの事例で換気口の周りに物や植木鉢が置かれたり、花々や低木などで覆われている場合があります。建物にとって湿気がこももりやすい床下の換気は重要ですから、換気口をふさいだり、換気の邪魔をするようにしていると床下の劣化や苔やカビなどの原因になって人体にも害を及ぼす原因にもなります。


2.人通口の有無


図3 人通口(一部破壊?)

 床下点検口や和室からうまく床下を覗くことが出来ても、排水管などトラブルがあればそこから潜って行くことになるのですが、この際に人通口(人が通れるスペース)が必要になります。一般的に、床下の基礎には1カ所から全ての床下に行くことが出来るようになっているのですが、人通口らしき空間はあるものの、通気のみで人が通れない場合があるのです。リフォームや耐震診断などで点検した際に、以前、問題業者などで床下換気として換気扇を付けたり、耐震補強と称した工事で人が通れないので基礎を壊してあった事例に何度か遭遇しました。基礎を壊すことは、耐震性能も含め、別の問題を生みます。もし、床下を覗いて基礎が壊されていたりしたら、すぐに建築士などの専門家に相談された方が良いと思います。


3.床下が低いケース


 床下の点検でもう一つ気になることは、築年数の古い住宅ほど床下の懐が低いことです。床下の土台や根太から30センチメートルの高さが確保されていないと、床下点検の際に床下に潜ることが難しくなります。この場合で排水管などに問題があると、その部分の上の床を外して点検修理する必要が出てしまいます。


 施工する側は、その部分に床下点検口を付けて対応したいと思いますが、問題箇所がもっと広い範囲の場合は床をはがすことになる場合もあるのです。


 床下が低い場合の問題としては、例えば長期優良化リフォームなど公的融資を受けようとしても、建物の耐久性に問題ありとして、融資が得られない場合もあるのです。


4.床下の点検と問題対策


 木造住宅にとって床下の湿気がこもっているということは、腐れやシロアリの発生などで建物の耐久性を著しく短くするだけでなく、カビの発生は人体にも影響する問題です。春夏秋冬の変わり目などで床下を点検して、ぬれていないか、かび臭くはないかなどと点検することは、建物を長持ちさせるだけでなく、生活環境の上で重要です。是非、チャレンジしてください。


 また、十分な点検口が確保できていないお宅は、今後リフォームなどの際に床下収納庫を設置してもらうなどご検討ください。


[関連記事] たまには天井裏をのぞいてみよう (2015/6/3)


[2015/5/13]

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住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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