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失敗しない家づくり教室

一級建築士・FP・住まい創りプロデューサーの荒尾博氏が、21世紀の住まいの設計・監理・施工まで総合的に解説します。

第38回 液状化で分かった水道管の問題

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 昨年の東日本大震災の際、関東各地で起きた液状化は、まだまだ解決したどころか問題は深刻化しています。住まいまわりの防災対策として、今回は、液状化問題を拡大させた水道管について考えてみたいと思います。


1.液状化のおさらい


 液状化については、以前にも、インスタントコーヒーの空き瓶に詰め替え用の粉を入れた時に、同じグラム数なのに入りきれない場合、瓶の外側を叩くと総量が減る現象が近いと説明しました。実際の液状化では、砂などの粒子同士の隙間が震動で詰まり、その結果、隙間を埋めていた地中の水が表面に出て液状化した状態になるのです。


画1 地固め

 ここで判ることは、液状化の後は地面が沈降し地ならしされるわけですから、単純には今後液状化しにくくなるはずです。よく道路工事で地面に振動を与え固めているのをご覧になったこともあるかと思いますが、掘り返された土を埋め戻しただけであれば、粒子同士の隙間が多く、沈降する可能性が高くなるので振動を与えて圧密することですから同じような理屈なのです。

 ところが、浦安や習志野などの住宅地で起きた液状化では、違った問題が分かったのです。


2.液状化と水道網


 そもそも液状化は、過去の地震でも起きていますし、被害を生じています。しかし、今回の東日本大震災で発生した長周期地震動などの震動は、関東平野にとっていろいろな意味で初経験の規模の大きい現象だったのです。関東平野の大きな地震と言えば1923年の関東大震災ですが、その時も液状化は起きていたと思われますが、当時とは住宅地に根本的な違いがあったと思われます。それは、大正時代の住宅地は、江戸時代の旧住宅地などのほか、宅地造成といっても昨今のような埋立地などへの広がりまではなかったと思われる点です。


 さらに、それ以上に違う点は水道網です。大正時代の水道と言えば、銀座など都市部は別として、一般的な住宅地に水道管網が完備しておらず、生活水は井戸水だったのではないでしょうか。それが、平成23年では、住宅地の水源は当たり前のように水道網になっています。つまり、水道管が道路に埋められていたことが、新たな液状化の問題を引き起こしたのです。


 水道管が道路に埋設されていて液状化になった場合、何が問題かというと、震動と液状化で、土中で支えられていた配管も液状の中で揉まれて接合部が緩んだり、配管に亀裂が入ったりしました。そこで水圧の高い水道が、勢いよく放出されるとどうなるかということです。


画2 水道管破裂で陥没

 水道管から漏れる水は勢いがあり、周囲の土を動かし、結果として地中に空隙(くうげき)を作ります。この現象は、普段でも水道管が老朽化すれば起きることなのですが、今回は液状化により至るところで発生したのです。そこでの問題は、画2のように、空洞が道路にあるということは、その程度にもよりますが、道路が陥没する恐れがあるということなのです。


 道路がいきなり陥没すれば、通行人や自動車や自転車などに危険がおよびますし、規模が大きければ、塀や建物などの倒壊も危惧されます。


 実際にどうだったかというと、例えば千葉県習志野市では、大小350箇所も空洞が発見され対応に追われているとの報道もありました。空洞があるかどうかの調査にしても、アスファルト舗装されていますから大変ですし、空洞を埋めるのもいろんな手法がありますが大変な作業です。


3.あなたの水道は大丈夫?


 今回の地震は、関東でも震度5以下とはいえ、長周期地震動など長く震れたことは事実です。そこで、チェックしていただきたいのが、お宅の水道管の状態です。


画3 水道メーター

 最近、水道料金が高いなど感じたことはありませんか? もし感じられたら、一度、水道メーターをのぞいてチェックしてみてください。水道メーターは敷地内に鋳物の四角の蓋の中にあります。蓋を開けると図3のような丸い蓋のある機器があり、その蓋を開けて見ると、水道使用量の数字とさらに丸い小さな時計のようなのが目に入ると思います。それをのぞき込むと、中に画3のような小さな水車があるはずです。家の中で水道を使っていると、その水車も回転しています。


 そこで、家中の水道を止めたり流したりして水車を観察してみてください。そして家庭内の水道栓を全て止めて水車を見て、万が一水車が回っていたら、メーターの所で水流がある。つまり、どこかで漏水している疑いが生まれるのです。そのうえで、地震以降、水道使用量が多くなっているとしたら、どこかで水道管から水が漏れていることが心配されるのです。


 万が一、水道管の漏れが多ければ、液状化の場合と同様、建物の下などで空洞が生まれているかも知れません。相当量が漏れた場合、最悪、建物を傾けることさえあるのです。


 水道管の漏れは、地震だけでなく老朽化でも起きますから、時々水道メーターを観察することも大事かも知れません。


 余談ですが、娘さんの出産で、母子を1カ月ほど里帰りとしてあずかった経験のある知人の話です。


 「冬に孫が生まれ1カ月ほど母子を預かっていたら、お湯を使うなどで水道使用量が増えたらしく、水道局から確認の連絡があったよ。横浜市は親切だね」と感心していました。


 日本の水道行政は、水質だけでなくこのような対応でも、世界でもトップクラスだと思います。


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[2012/1/4]

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住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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