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一級建築士・FP・住まい創りプロデューサーの荒尾博氏が、21世紀の住まいの設計・監理・施工まで総合的に解説します。

第28回 太陽光発電と日影規制

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 前回、日影規制について述べました。この規制は、隣家、特に北側に住むお宅の室内の各部屋に、いかに日射を確保するかという規制でした。もっとも、敷地も狭い市街地での話ですから、1階では150センチの高さ面で部屋に日差しを取り込める、という話をしました。 そんな中、新たな問題になりそうなのが、太陽光発電パネルへの日影問題です。


1.太陽光発電パネルの普及


 住宅における省エネ・エコロジー商品の中でも、今一番話題なのが太陽光発電です。特に今年は、設置時の補助金や売電などの政策に乗って、5000億円の市場ともいわれているのです。簡単に5000億円といっても、日本のユニットバスの市場を上回る市場が新たに生まれるわけですから業界も注目するのは当然のことです。


 しかし、問題がないわけではありません。新築ならまだしも、既存の屋根に取り付けるわけですから、地震対策や雨漏れなどいろいろな問題が考えられるのです。個人的にも問題が多いであろうと思われる施工上の問題については、後日まとめて話したいと思いますが、今回は日影問題との関係について考えてみたいと思います。


 一般論ですが、オール電化ではない標準的な一般家庭の年間消費電力を太陽光発電で補うには、約14畳程度の太陽光発電パネルを屋根に取り付ける必要があるといわれています。


 図1は、屋根の上にある太陽光発電パネルのイメージですが、図のように高い樹木があり、その枝や葉の陰がパネルの一部で日陰になる場合もあります。


 日陰を生じれば、当然、発電量は減ってしまいます。しかし、太陽は東から西へ移動しますから日陰もそれに伴って同じ所に留まらないから、特に問題は少ないようにも思えますが…。


図1 太陽光発電パネルと木陰図2 乾電池


2.太陽光発電パネルに日陰が及ぼす影響


 問題はその日影になる時間です。確かに、その日影が小さく短時間であれば良いのですが、樹木が大木であれば、それだけ影響も大きいと思います。そこで、その日陰の影響を少し考えてみたいと思います。


 太陽光発電パネルをよく見ると、小さな面の集合体であることが判ります。その個々の部品それぞれが回路としてつながって1枚のパネルを構成し、そのパネルをさらに並べて、初めて大きな電気を生んでいるのです。


 1枚のパネルで考えてみると、小さな発電素子が並べてあるのですが、簡単にいえば乾電池のようなものです。私たちが乾電池を使用するとき、置き時計のように1個だけでよい場合もありますが、リモコンなどでは数個使用します。


 そこで、1個の乾電池が1.5ボルトですが、2個入れることで3ボルトになる、さらに5本直列につなげば7.5ボルトになるのと同じ理屈になっていると考えられます。


 問題は、乾電池が5個必要なときに4個しか新品がない場合、使い終わった乾電池を1個代用にはめ込むことは、リモコンなどを使用する製品の仕様説明書で禁止されている事項で、性能を落とすばかりか、故障の原因になると書かれているはずです。


 そうなのです。太陽光発電パネルも同じようなことがいえるようで、短時間であればいいのですが、同じ状態が続くと故障の原因になるといわれています。


3.太陽光発電と樹木


図3 太陽光発電パネル施工デモンストレーション


 人が暮らす上で必要な太陽の光を室内に取り込むための規制として、自分の建物が隣家や近隣への配慮として日影規制があり、自分の建物では南側の境界から一定距離離しなさいという採光規制があります。


 ただし、この規制はあくまでも建物だけを対象としています。もし、隣家の庭に大木があり、その結果、自分の家の採光に問題を生じても、原則として建築の法律では規制されません。建築基準法の建築物の定義からいえば、当たり前といえばそれまでなのですが…。


 今までなら、大木の影について問題があれば、建築基準法ではなく、民法などの法律が適用させてきました。もちろん、それはこれからも変わらないと思いますが、太陽光発電の普及で、この日陰問題が新たな問題になると思われます。


 これから太陽光発電を考える場合、隣家の建物についてだけでなく、植わっている樹木についても考慮しなければなりません。また、今は低い樹木でも、将来大木になる可能性についても考慮して、太陽光発電パネルの設置位置などを考えておかなければならないのです。


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[2011/3/2]

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住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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