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一級建築士・FP・住まい創りプロデューサーの荒尾博氏が、21世紀の住まいの設計・監理・施工まで総合的に解説します。

第16回 設計段階で検討しておくべき諸問題 住宅版エコポイント制度

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 久しぶりに、設計段階の話に戻りたいと思います。


 家電製品や車購入でのエコポイントや、国連での鳩山首相の二酸化炭素25%削減宣言、COP15など、地球温暖化対策のニュースを読んだり聞いたりすることが多くなってきました。そんな中、昨年暮れに「住宅版エコポイント実施」のニュースを聞いた方もおられると思います。新築を考えている方は、主に建築費用がどのくらいかかるか、銀行融資審査が厳しくなった…などの話題が中心で、新築やリフォームなどでいろいろな補助金が使えるケースがあることについては意外と知られていないのではないでしょうか。


 今回は、せっかく使えるこの話題について簡単に触れたいと思います。


*COP15 (Conference of Partie)締約国会議の略で、国連気候変動枠組条約(UNFCC)を受けて設置され、年に一度、各国の環境に関わる省庁の大臣が集まり、同条約の成果について話し合う会議のこと


1.住まいに関する補助制度


 住宅設計を考えるとき、敷地とか建ぺい率、容積率、北側斜線など建築法関係の条件もありますが、建てようとする方の年齢や家族構成などを知ることが第一歩です。たとえば、30代半ばで就学しているお子さんがおられて、両親も健在で将来は一緒に暮らす可能性があるなど、これからどのような生活をしていくのかを知っておかなければプランも立てられません。


 そうした打ち合わせなどを通じてプランが決まってくると、今度は予算的な面で、建物以外でかかる門扉塀やエアコン、照明機器、カーテン、諸経費など総予算の話で一喜一憂…考えなくてはならないことがいっぱいあって結構、この段階で戸惑ってしまう方も多いのです。


 一方、もう一つの心配事というと住宅ローン、世界的な不況の中で正社員でさえ雇用の先行きが心配など、実際、銀行等融資を申し込んでも結構厳しいという話もよく聞きます。


 住宅は高額な費用がかかるのですから、準備周到でなければならないのは当然です。しかし、今回お話しする補助金などの話については、案外知られていなくて、住宅を求めようとして建築士や工務店、住宅メーカーなどと話をしている中で説明を受け、よく分からないままに手続きをしているケースもあると思います。


 住まいに関する補助金は、国の政策に大きく左右されます。そのポイントは、安全とエコです。安全でいえば、高齢者などの動作にかかわる安全としての「バリアフリー」補助と火災や地震に対しての安全対策補助です。エコとしては、エコ=省エネで、太陽光など自然エネルギーの活用と、断熱性能向上などエネルギーロスの削減補助があります。


 このうち、バリアフリーや耐震性能については、新築というより増改築・改修にかかわるものが主ですから、ご興味がある方はそれぞれ調べてみてください。


 新築にかかわる補助金の話をすると、エコにかかわる項目が主です。しかも、冒頭で触れた温暖化対策にかかわる項目がこれから充実してくることは確かであると同時に、逆にいえば、これらの補助金が飴(あめ)であれば、温暖化対策上で性能を発揮していない住宅については鞭(むち)に当たる負担増が考えられる政策になってくるのかもしれません。


(1)太陽光発電の補助金
 住宅に太陽光発電システムを設置する場合を対象に、必要な経費の一部として補助金を交付する制度です。ここで注意する点は、太陽光発電システムの設置工事前に手続きを行う必要があることと、地方自治体による助成制度はそれぞれ異なりますから各自治体での条件を把握しておく必要があることです。


 この補助金を受ける条件としては、補助対象者が自ら居住するまたは居住予定の住宅に太陽光発電システムを設置することと、過去に同補助金の交付を受けていないことなどで、当然のことながら住民税の滞納がないことなども記載されています。さらに、「低圧配電線と逆潮流ありで連系するものであること」など少し意味の分からない項目があります。これは何かというと、太陽光発電では余った電気を売電することがあることからの条件です。このあたりは、設計段階で設計者や工務店、住宅メーカーなどとの打ち合わせの中で解説されますので心配は少ないのですが、機器購入と設置するための費用や保守点検費用などと、使用と売電等の効果についてよく話を聞いて理解しておくことが大切です。


 また、既存の住宅に取り付ける場合は、少なくとも耐震診断が必要な昭和56年以前の住宅は論外として、それ以降の住宅でも屋根が重くなるわけですから、耐震性能への影響について建築士など専門家に相談することが大切だと思います。


表1 太陽光発電補助金自治体一部例

(2)給湯等設備機器に関する補助金
 省エネルギー型の給湯機器などを設置する金額についての補助金です。中でもエコキュート、エコフィール、エコウィル、エコジョーズなどいろいろな機器の導入支援補助金制度などがあります。それぞれカタカナ名称になっていますが、電化、石油、ガスをエネルギー源とした省エネルギーのシステムです。


 このどれが一番効率的なのかとよく聞かれるのですが、正直、現段階では単純に各性能を比較して、装置配管の費用と、たとえば40度のお湯を出すのにリッター当たりでかかる費用などで比較することになります。


 また、将来的には、技術開発が進むと単にお湯を作るだけではなく発電するとか冷暖房までまかなうとか、どうなるのか分からないというしかありません。


(3)その他の補助金
 その他の補助金では、例えば、公共下水道がまだ完備していない地域などで「合併処理浄化槽設置補助金」というものがあります。家庭からの排水をきれいにすることで、河川や海の汚染を防ぐことを目的とした補助金制度なのですが、注意が必要な点があります。


 それは、下水道がない地域で、合併式浄化槽の設置しか許可されない地域の場合、補助金がない場合があることなどです。中でも私が遭遇した事例では、下水道が完備されていない地域で、事前に地元の水道屋さんに確認した際には補助金が出るということで話を進めていたのですが、国の許認可が下りて下水道計画が具体化した時点で、補助金が急に廃止されたことがありました。問題なのは下水道工事が始まり完備するのは数年以上先で、その間、浄化槽は必要なのに補助金が出なくなってしまったことです。


 そのほか、住宅に関する補助制度は都道府県や市町村レベルになるといろいろあります。例えば、生ゴミ処理機購入補助金、太陽熱温水器設置費補助、雨水貯水槽設置費補助、雨水浸透枡設置費補助などです。一度、お住まいの、あるいはこれから住む予定の市町村などの役所に行って調べてみることをお勧めします。


2.住宅版エコポイント


 今、テレビで自動車メーカーや家電量販店などのコマーシャルを見ると、減税やエコポイントという言葉が氾濫しています。簡単にいうと省エネ型の車を購入すると、減税やエコカー補助金が得られたり、液晶テレビなどを購入するとエコポイントが付くなどで、結果、通常の値引きとは別に税金や補助金分さらに安く購入できるというものです。この政策の住宅版エコポイント制度が、いよいよスタートしました。


表2 エコポイントの対象工事

 住宅版エコポイントは、「家電のエコポイントと同じように、商品券、プリペイドカード、省エネ等に優れた商品や環境寄付などが対象となる予定です。ただし、発行されるポイント数も大きくなることから、交換対象を多様化する方向で検討しています」としています。


 住宅版エコポイントの注意点は、まずリフォームと新築に分かれていることなどがありますが、最も注意が必要なのは、エコポイントの対象の工事かどうかです。家電と違い、工事が対象ですから、単純に施工したではダメで、該当するための証明が必要ということです。


 表2を見てみると分かるのですが、リフォームの場合は、全体の断熱化と開口部の断熱化、新築の場合は最低基準として省エネ基準を充たす(木造の場合)など、総合的な性能が求められている点です。


 そして、具体的にはリフォームの場合、使用建材等についてメーカーの「性能証明書」が必要で、施工写真や工事の記録が必要になりますし、新築の場合は、建築確認申請書や品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく登録住宅性能評価機関が発行するエコポイント対象住宅証明書などが必要になりますので、設計事務所、工務店や建設会社などが対応しなければ難しい面があります。


3.温暖化対策の飴と鞭(あめとむち)


 昨年から、景気対策として始まったエコポイントや減税、補助金制度ですが、新築をお考えの方は、単に得だからエコポイントを検討するという考え方になるかも知れません。


 しかし、温暖化対策で25%うんぬんなど世界に先駆けて対応を公約?したことを考えると、今回のいろいろな対策は「飴」だと考えておいた方が良いと思います。その後は「鞭」に当たるような政策が実施される可能性が高いのです。つまり、今回新築される場合、省エネ基準を標準にしておけば、鞭の部分が実施されたとき有利ですし、地球に優しくしているといえるのです。


[2010/2/3]

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住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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