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失敗しない家づくり教室

一級建築士・FP・住まい創りプロデューサーの荒尾博氏が、21世紀の住まいの設計・監理・施工まで総合的に解説します。

第1回 「家づくり」新シリーズ連載に向けて

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 2004年2月スタートした「知っておきたい生知識(戸建て編)」が、3月に50回を迎えました。それを機に、今月からは内容を一新して「失敗しない家づくり教室」としてスタートします。


 従来のシリーズは、当初、実際に私が設計した住宅を題材に、出会いから事前調査、コンサルタント、基本設計、実施設計、建築確認申請、着工から完成までの流れの中で気付きそうないろいろな建築知識を伝えていくというスタンスで始めました。始めた当初はせいぜい1年程度と思っておりましたが、いろいろご声援をいただき、また、建設業関連や建材メーカー団体の資料などで紹介されるなど、いろいろな形でご評価をいただき、お陰さまで気が付いてみると4年間も続けさせていただくことができました。


 新シリーズでは少し視点を変え、耐久年数や環境問題などの社会的ニーズ、快適性や個性などの消費者ニーズなどソフト的な切り口から家づくりを考えていく自由闊達(かったつ)なスタイルで執筆していくことを考えております。


 私は、長年、化学会社に在職し、住宅のシステムや建材の開発を手がける傍ら、社員関連の住まいの設計・施工まで関与してまいりました。つまり、住まいの快適性を、使われる建材や機器などの目から長年携わり、かつ、その立証でもありませんが、実際に100件以上の住まいの設計や施工を通じて検証してまいりました。


 そんな特異な専門的経験を生かし、現在は「住まいづくりプロデューサー」の肩書きで一建築家として独立しております。これからも読者をはじめとした皆様と一緒に住まいを考え、その夢を形にしていくことを実現するお手伝いをすることに携わっていきたいと考えております。


 


 ところで、住まいづくりには、一つ忘れてはいけない重要なことがあります。それは、施主は住まいをつくる時、設計家やハウスメーカーに設計を依頼する前に、相続問題をはじめとした家族のこと、土地に関する権利関係、資金調達など具体的な法律問題を十分に考えなければいけないということです。


 私が今まで住まいの設計をさせていただいた中で、こうしたお悩みを抱えた方が実に多いことに気付きました。そこで、これらの問題についてコンサルタントをすることも設計家にとって重要であると考え、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を得て、多くの相続対策や借地借家問題、道路問題等々コンサルタントを手がけてきました。現在でも弁護士や税理士などの専門家と組んで、裁判所の調停などにも関わっております。


 そんなわけで、設計以前の住まい計画から、設計、施工、そして完成後もお付き合いさせていただきたくスタイルで仕事を続けております。そこで、新シリーズでは、住宅設計以外のテーマについても、積極的に書いていこうと思います。


 まず、来月号の第1回目は、「相続争いが起こりにくい家づくり」についてお話したいと思います。「相続」と「家づくり」なんてどんな関係があるのとお思いかもしれませんが、家をつくるために乗り越えなければいけない相続問題や、家をつくることによって将来発生しやすい相続問題などが意外に多いのですよ。


 ところが、それらは家を建てようとしてから、あるいは、建ててから表面化することがほとんどで、多くの方は事前対策を怠りがちです。問題というのは、どんなものもそうですが、予期せず発生する問題を解決することは、事前に対策を立てた場合と比べ、格段に時間と労力、経費がかかるものです。


 例えば、長男である施主が、親と一緒に住んでいた住宅を、相続を機に建て直すとします。長男が家を継ぐイメージの強い日本では、何となく長男は多く取るのが当たり前の感覚があり、次に次男、そして、最後に三男などの傾向があります。ましてや同居していたのですから、当然に親の土地家屋は長男が受け継ぐものと思っていました。一方、実際の介護になると、それぞれの嫁や娘が行うことが多く、この苦労は比較的評価されない傾向にあります。


 そんな中で実際の相続になると、この辺の尺度は明確でないため、いざ設計の話をし始めた途端に他の兄弟からの不満が徐々に膨らんで争うことになるケースが実に多いのです。「死んだお母さんは、あそこのお嫁さんに対していつも不満を漏らしてたわよ」などなど…。ましてや、民法で定められた法定相続分は、子供間では同額なのですから……。相続から既に2年近く過ぎようとしているにもかかわらず、家を建てるということがきっかけで、トラブルが始まります。


 家を建てるということは、それほど周囲に対してもインパクトのあることなのです。そして、家を建てるということは、人の夢であるとともに、うらやみの対象でもあるのです。


 では、第1回の来月号からは、この相続に絡むいろいろなケースを取り上げ、それに対する対策方法を考えていきたいと思います。


 そのほか、「地震に強い家づくり」、「賢い土地の選び方」、「電気かガスか!本当はどっち?住まいのエネルギー選択」、「欲張りすぎるな!住宅の性能の落としどころ」、「地球に優しい家づくり」、「街の景観と家づくり」、「泥棒に強い家づくり」などなど、ソフトな切り口からしっかりハードのお話をしていければと思っています。


 家づくりは、皆様にとって一生の大事業です。失敗や後悔をしないようアドバイスを贈ります。お楽しみに!


[2008/4/3]

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住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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