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第152回 総会シーズン到来! これで安心、通常総会の基本知識
突然だが、読者の皆さんは6月というと何を思い出すだろうか。筆者は梅雨や衣替え、ジューン・ブライド、真珠(6月の誕生石)、父の日(6月の第3日曜日)など、季節の風物や行事を頭に浮かべるが、そのほか、本コラムが日本経済新聞社のウェブサイトという点からすると、株主総会を連想する人も少なくないだろう。株式投資を行っている人は、おのずと経済情報に興味や関心が向くものだ。
ところで、なぜ定時株主総会は6月に集中するのか、考えたことはあるだろうか。日本では上場企業の約7割が3月期決算だそうで、その株主が権利を行使できる期限が決算日(基準日)から3カ月以内と定められている。また、事業年度経過後3カ月以内に有価証券報告書を提出しなければならない決まりになっており、有価証券報告書には定時株主総会で報告した(承認を受けた)計算書類の添付が必要となる。つまり、有価証券報告書の提出は株主総会の後とならざるを得ず、その結果、3月期決算の企業は「3カ月以内」=「3月末まで」に定時株主総会を開催する必要がある(注)
| (注) | 法改正により、2009年12月31日以降に終了する事業年度に係る有価証券報告書から、定時株主総会前の提出が可能になっている。 |
さて、ここからが本題だが、マンション管理においても通常総会があるのはご存じの通りだ。実は、管理組合における通常総会は5月に開催されることが多い。なぜかというと、マンション標準管理規約で「新会計年度開始以降2カ月以内に(総会を)招集しなければならない」と定められているからだ。多くの分譲マンションが会計年度を4月1日~翌年3月末と決めており、また、標準管理規約に準拠した管理規約を自宅マンションで採用しているケースが多いことから、マンション管理の現場では通常総会の開催日が5月中(2カ月以内)に集中しやすくなる。
いささか老婆心ながら、読者の皆さんは新会計年度が始まってから2カ月以内に総会を招集しなければならないことをご存じだっただろうか。マンションの管理運営において、総会は最も重要なイベントだ。マンション法と呼ばれる区分所有法にも細かく規定されている。法律が総会について様々なことを決めているのは、物事を決める集まりとしての重みがあるからだ。「総会を制さずして、マンション管理を制することは出来ない」――。総会は管理運営における総本山なのだ。それだけに、知識に自信のない人は本コラムを活用し、しっかりと総会の基本知識を身に付けておいてほしい。
総会は理事長が招集し、少なくとも毎年1回は開催しなければならない
まずは総会とは何なのか、復習を兼ねて確認しておこう。そもそも総会とは「管理組合の最高意思決定機関」と呼ばれ、区分所有者が自身の議決権を行使して多数決により最終決断を下すための会合を指す。総会では懸案事項の決議に始まり、組合運営の収支決算や予算・事業計画の報告、次期役員の選出などが毎回行なわれる。また、時期によっては大規模修繕工事の実施や管理規約の変更、管理費の金額改定といった事案も総会で決議される。住民自治の原則にのっとり、区分所有者の全員参加による多数決を基本とする会合が総会というわけだ。
そのため、厳格さを要する総会運営については区分所有法にも細かい規定が盛り込まれており、その中から重要な項目を挙げると以下のようになる。
- 総会は管理者(理事長)が招集し、少なくとも毎年1回は総会を開催しなければならない。
- 管理者が選任されていない場合は、毎年1回の総会開催の義務はない。
- 管理者が選任されていないにもかかわらず総会を開催したいときは、開催を発意した組合員らが全体の5分の1以上の賛成票を集め、総会を招集することができる。
理事長が選任されている場合、総会は1年に1回は最低でも開催することが法律で義務付けられている。たとえ開催しなくとも罰則は課されないが、それだけ重要な集まりだということがご理解いただけるだろう。
- 総会の招集通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項(議題)を示して各区分所有者に発しなければならない。
- 共有名義のように専有部分が数人の共有に属するときは、共有者の中から議決権を行使すべき人を1人決め、その人に通知すればいい。
- 議題の中に、共用部分の変更(例:共用廊下のバリアフリー化)や管理規約の変更、災害で建物が大きく損壊した場合などの復旧工事、さらに建て替えといった重要項目が含まれるときは、招集の際に「議案の要領」も通知しなければならない。
- 区分所有者全員が事前に同意していれば、招集手続きを経ることなく直接、総会を開催することができる。
区分所有法では「総会通知は会日より少なくとも1週間前に発しなければならない」としているが、一方、マンション標準管理規約では「少なくとも会議を開く日の2週間前までに発しなければならない」としている。両者には開きがあるのだ。
では、一体どうすればいいのか?―― 最終的には各管理組合で独自に決めること(別段の定め)が認められているので、たとえば小規模マンションでは5日前、大規模マンションでは3週間前といったように状況に応じて各自で定めてかまわない。
また、「議案の要領」とは組合員がそれを読んだだけで賛否の検討が可能な程度に具体的な議題の中身が説明された資料のことをいう。当日、出席できない人が委任状や議決権行使書を提出する際の判断材料となるよう、特に重要項目については事前に詳しい説明が書面でなされるよう法律で規定している。
標準管理規約では「組合員総数」ではなく「総会出席者数」を分母に決議
- 各区分所有者の議決権は規約に別段の定めがない限り、専有部分の床面積割合をもとに決める。
- 総会の議事(多数決要件)は区分所有法または規約に別段の定めがない限り、区分所有者および議決権の各過半数で決する。
- 総会に出席できない場合は、書面(議決権行使書)または代理人(委任状)によって議決権を行使することができる。
- 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は議決権を行使すべき者1人を定めなければならない。
- 賃借人が会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合、区分所有者の承諾が得られれば賃借人も総会に出席して意見を述べることができる(賃借人に議決権はない)。
議決権とは、総会での決議事項について自分の意思(賛否)を表示するための権利のことで、区分所有法では専有面積の床面積割合で配分することとしている。分かりやすい例として101号室が30平方メートル、102号室が60平方メートル、103号室が90平方メートルの床面積だとすると、各戸の議決権は101号室が1票分、102号室が2票分、103号室が3票分という割合になる。1住戸1票ではないのだ。
この規定は議決権の計算を煩雑にし、正直、あまり有用ではない。そのため、実務レベルでは「1住戸1議決権」と規約で定め、独自の議決権割合を設定しているマンションも少なくない。規約で別段の定めをすることは問題ないのだ。
そして最後、多数決要件について触れて締めくくることにしよう。区分所有法では区分所有者(の人数)と議決権のそれぞれが過半数に達して初めて決議が成立するとしている。これに対し、マンション標準管理規約では「出席組合員の議決権の過半数で決する」としており、両者で多数決要件にかなりの違いが見られる。
詳しく説明すると、区分所有法では「区分所有者全員の過半数の賛成」かつ「区分所有者が有する議決権総数の過半数の賛成」が決議の成立要件となっている。一方、標準管理規約では「総会に“出席している”区分所有者が有する議決権(のみ)の過半数の賛成で決する」としている。
どちらが正しくて、どちらが正しくないという問題ではなく、自宅マンションの実情に適応しているかどうかが問題となる。総会の出席率が悪いのに出席者だけの賛否(議決権)で物事をすべて決めてしまうのは、時として問題を引き起こしかねない。ご自宅の管理規約がどうなっているのかを確認し、「1票の重さ」に不公平感が生じないよう配慮する必要があるだろう。繰り返すが、総会には物ごとを決める集まりとしての重みがある。適正な総会運営が実施されるためにも、基本知識の習得・確認を怠らないようにしてほしい。
[2012/5/7]
住宅コンサルタント 平賀 功一

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