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第156回 タワーマンションの管理費は割高 スケールメリットはなかった

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 東日本大震災の発生から、まもなく1年半。被災者に配慮した営業自粛やマンション建設の部資材の不足など、当初は先行きが不安視された首都圏のマンション市場だが、ここ最近のデータからは順調に回復している様子がうかがえる。


 不動産経済研究所が7月18日に発表した2012年上半期(1月~6月)の「首都圏新築マンション市場動向」によると、新規供給数は前年同期比14.0%増(2万746戸増)となり、特に東京都下と埼玉、千葉で大きく上昇した。同様に、中古マンション市場も堅調で、東日本不動産流通機構が公表した「首都圏不動産流通市場の動向(4月~6月)」によると、今年4月~6月の間に売買が成立した首都圏の中古マンションは12.9%増(7653戸)となり、3期連続で前年同期を上回った。すべての都県・地域で前年同期を上回る好調ぶりだ。先の大震災による反動増はあるものの、新築・中古を問わず、マンション市場全体が持ち直しているのが分かる。


 その牽引役となっているのが高層マンションだ。不動産経済研究所によると今後(2012年以降)、首都圏では206棟(7万3897戸)、近畿圏では62棟(1万9843戸)のタワーマンション建設が計画されている。全国ベースでは合計318棟(10万4540戸)に及ぶ。この戸数は首都圏で新規供給される新築マンションの“およそ2年分”に相当するボリュームだ。いかにマンション分譲業者が高層マンションに傾注しているかがお分かりいただけるだろう。言うまでもなく「売れている」というのが最大の理由だ。


 では、なぜタワーマンションは売れているのか?―― 筆者が考える最大の理由は資産価値の減価が少ないという点だ。きれいな眺望や夜景、充実した共用施設、さらにランドマークとしてのステイタス性が高い資産性を生み出し、中低層マンションとの差別化をもたらす。


 また、売り手側の理論として事業規模が大きい分、広告宣伝にまとまった予算を投入できる。有名人を起用したTVコマーシャルが流せるのも、大規模マンションならではだ。「広告の大量投下」=「メディアへの露出拡大」の実現により、そのマンションの知名度アップがさらなる資産性を向上させる。「名前を聞いたことがある」「知っている」(ネームバリュー)というのは資産価値の醸成において重要な要素となる。こうしてタワーマンション人気が形作られていくのだ。今後、この傾向が大きく変化することは現状では考えにくい。


 ただ、すべてが“バラ色”ではない点も知っておく必要がある。入居後に毎月支払う管理費は必ずしも安くないのだ。しばしば「高層マンションはスケールメリットがあるので管理費は割安」といった情報を耳にするが、その情報は正しくない。平均値と比較して3割以上タワーマンションの管理費は高い。購入者にしてみれば頭の痛い話だ。一体どうして、こうも割高になってしまうのか、以下、その理由を実例を交えてご説明しよう。


40階以上の超高層マンションの管理費単価、平均値より57%割高

 まずは、階数別のマンション管理費(平米単価)を見てみよう。下表は不動産経済研究所が毎年行っている「首都圏マンション管理費調査」の結果だ。


【表1】階数別 首都圏マンション管理費の1平方メートル当たりの金額(単位:円)
階 数2007年2008年2009年2010年2011年
5階以下225.29236.13239.92227.15221.64
6階~9階201.41199.93199.77208.97204.91
10階~19階189.70196.66196.05204.03199.60
20階~39階286.29261.46292.90293.16279.78
40階~59階292.27348.85263.50305.74340.93
全階数の平均211.32215.91216.54223.72216.43

(出所)不動産経済研究所「首都圏マンション管理費調査」


 一目瞭然、タワーマンション(20階以上)の管理費が総じて高いのが分かる。2011年を例に取ると、最も安いのが「10階~19階」の199円60銭、最も高いのが「40階~59階」の340円93銭だ。同年の首都圏マンション全体の管理費単価が216円43銭なので、その平均単価と比較して「20階~39階」だと約29%、「40階~59階」だと約57%割高な結果となる。管理費負担を少しでも軽減したいのなら、「高からず」「低からず」のマンションを選ぶのが最善という答えが導かれる。


付加サービスの積み上げが毎月の管理費を吊り上げる

 では、本題として、なぜ高層マンションは管理費が割高なのか?―― 簡単に言ってしまえば、付加された様々な管理サービスの積み上げが毎月の管理費を高騰させている。


 【表2】は、東京・港区内の42階建てタワーマンションの管理サービスの一部を抜粋したものだ。記載した4項目を単純に合計しただけでも、月額およそ1034万円。年間にすると約1億2400万円ものランニングコストがかかっている。この中に管理会社へ支払う業務委託費は含まれていない。


【表2】42階建て超高層マンションの管理サービスにかかる費用の一例(抜粋)
外窓の掃除費用月額107万円
(年間約1,280万円)
プール・フィットネスクラブ・スカイラウンジ・ゲストルーム・敷地内公園からエントランス・廊下・ゴミ置場に至るまで日常清掃業務月額316万円
(年間約3,790万円)
防災センターが完備されており、常駐警備スタッフが24時間365日体制で居住者を見守る(警備スタッフにかかる費用)月額458万円
(年間約5,500万円)
コンシェルジュスタッフ業務費月額153万円
(年間約1,835万円)


 最も特徴的なのが外窓の清掃費用だ。このマンションではオフィスビル同様、屋上からゴンドラを吊り下げて定期的に外窓を清掃している。その費用に毎月107万円かかるのだ。また、充実した共用施設の代償として、その日常清掃費に月額316万円が費やされている。さらに、安心・安心を買うための支出として、警備スタッフ費用に毎月458万円がつぎ込まれている。セキュリティーの維持にはお金がかかることを自覚する必要があるだろう。こうした経費が次から次へと上積みされ、毎月の管理費を吊り上げていく。大規模あるいは高層のマンションほど、管理費が高くなりやすい理屈(仕組み)がご理解いただけたものと思う。


☆  ☆  ☆


 最後に補足として、ここで読者の皆さんに再認識してほしいことがある。繰り返しになるが、「割高には割高の理由がある」ということだ。マンション入居者は前述のような様々な管理サービスを受ける対価として、その分のコストを管理費として支払っている。ということは、たとえば4番目に挙げたコンシェルジュサービスを取りやめれば、その分、管理費は安くなる。


 つまり、その管理サービスが絶対に必要なのかを検討し、不要であれば思い切って削除することで、管理費のシェイプアップが可能になる。本当の意味で「割高」「割安」を評価するためには、管理サービスの中身にまで目を光らせる必要があるのだ。「費用」対「効果」(コストバランス)を見ることが重要というわけだ。たとえば、コスト増につながってもいいので、高度なセキュリティーサービスを受けたいと考えた場合、金銭的負担は増大するが、その一方で心理的な安心感が手に入る。管理費は高くなっても、「費用」対「効果」という意味で一定の満足感が得られる。割高の理由が解明されれば、管理費の削減も可能になるというわけだ。このことをぜひとも知っておいてほしい。


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[2012/9/3]

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住宅コンサルタント 平賀 功一

e住まい探しドットコム代表。ネットを中心に公平・中立なスタンスで「失敗しない住宅選び」のための情報発信を行う。


e住まい探しドットコム http://www.e-sumaisagashi.com/


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