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第149回 単身高齢者のケアサポート 管理組合としてできることとは?

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 誕生から半世紀が過ぎ、今では8.5世帯に1世帯(約1400万人)が住むほど普及した分譲マンション。共用施設の充実やカギ1本で生活できる気軽さが受け入れられ、今日では身近な居住形態としてすっかり定着した。しかし、その人気とは裏腹にマンション管理の現場では2つの大きな課題が持ち上がっている。1つが高経年による建物の老朽化。そして、もう1つが居住者の高齢化だ。業界では、これを「2つの老い」と呼んでいる。


 まず、前者に関しては築30年超の分譲マンションストック数がついに100万戸の大台に突入し、およそ6戸に1戸が築30年を過ぎた。誕生初期の建物(構造躯体)の寿命が一般的に60年程度とされることを考えると、“折り返し地点”を折り返したことになる。そして、後者の高齢化問題も深刻だ。国土交通省の「マンション総合調査(2008年度)」によると、居住者の世帯主年齢は60歳以上が全体の39.4%を占めることが分かった。5世帯に2世帯の世帯主が60歳以上という計算だ。“3度目の成人式”を迎えた人たちが全体の4割を占めるまでになっている。


 こうした高齢化の進展は、マンション管理の現場に新たな問題を呼び起こしている。「役員のなり手不足対策」と同時に「単身高齢者のケアサポート」が管理組合にとっての喫緊の課題として浮かび上がっている。国立社会保障・人口問題研究所が1月30日に公表した「日本の将来推計人口(2012年1月推計)」によると、今後、わが国の老年(65歳以上)人口割合は年を追うごとに高まっていくことが明らかになった。現在(2012年)、24.2%の65歳以上割合は10年後(2022年)に29.6%、20年後(2032年)には32.1%、30年後(2042年)には36.8%、そして40年後(2052年)には39.1%になる見通しだ(すべて中位推計)


 このことが一体、何を意味するのか?―― 得てして、独居老人のケアサポート問題は高経年マンションの話だと思われがちだが、日本の社会全体がさらなる高齢化を加速させるなか、築浅のマンションで時間の経過に伴い、いつか起こり得ることを想定しておかなければならない。決して他人事ではないのだ。不謹慎だとお叱りを受けるかもしれないが、孤独死されてしまうとマンションの資産価値にも悪影響を与えかねない。悪いレッテルを貼られてしまうと、他の居住者にとっても居心地が悪くなる。


  そうならないためにも、日ごろから管理組合が積極的に単身高齢者のケアサポートに注力することが不可欠となる。マンション管理を取り巻く環境は日本社会の縮図そのものなのだ。マンション生活をより充実したものにするためにも、単身高齢者が安心して暮らせる仕組み作りが欠かせない。


「孤独死を身近に感じる」人は42.9% その傾向は大都市ほど高くなる

 本題に入る前に、1つショッキングな情報をご紹介しよう。脅かすわけではないが、2010年4月に内閣府が発表した「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査」によると、有効回答者(3484人)の42.9%が孤独死を身近に感じていることが分かった。


 カテゴリー別に見てみると、都市の規模別では大都市が46.7%、中都市が45.1%、小都市が39.2%、町村が36.4%となり、都心部ほど孤独死を身近に感じている人が多かった。また、世帯類型別では単身世帯が64.7%と突出しており、夫婦2人世帯(44.3%)とそれ以外の世帯(36.9%)を大きく引き離している。さらに、健康状態別では健康状態がよくない人ほど孤独死を身近に感じていることも分かった。


 この調査では地域の困っている高齢者に対する手助けの実態と意向についても質問しており、実施している手助けとしては「安否確認の声がけ」と「話し相手や相談相手」が上位を占めた(表1)。ただ、ここで気になったのが、手を差し伸べたい気持ちは持っていても、なかなか実行に移せていない人がいる点だ。驚いたことに「特に手助けをしようと思わない」という人の割合も16%近くあり、理想と現実には大きな壁(温度差)があることを痛感させられる。


【表1】地域の困っている高齢者に対する手助けの実態・意向(重複回答)

実施している手助け実施したい手助け
安否確認の声がけ15.2%45.9%
ちょっとした買い物やゴミ出しの手伝い5.1%24.9%
食事作りや掃除・洗濯の手伝い1.7%7.7%
ちょっとした力仕事4.8%16.5%
通院の送迎や外出の手助け3.3%12.8%
話し相手や相談相手12.3%35.6%
気軽に行ける自由な居場所の提供1.2%4.4%
食事の差し入れ4.1%10.9%
災害時の避難の手助け3.1%21.5%
急に具合が悪くなったときの手助け6.4%26.7%
特に手助けはしていない/しようとは思わない53.9%15.9%
わからない1.0%3.8%

(出所)内閣府「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査」


マンション内でも「絆」を深め、ひとりぼっち高齢者を根絶する努力を

 以上を踏まえ、管理組合としては高齢者に対して何ができるのか。調査結果にもあるように、筆者は安否確認のための仕組み作りが最優先と考える。管理組合の役員あるいは居住者から有志を募り、定期的に個別訪問するといいだろう。人手が足りなければ、電話を利用して声を聞くだけでも一定の効果は期待できる。協力的な管理会社であれば、その管理会社に手助けしてもらうのも効果的だ。その際、話し相手や相談相手のニーズが高いことから、単なる様子うかがいで終わらせず、訪問あるいは電話したときに世間話をするようにしたい。


 自治体によっては公共サービスの一環として、高齢者世帯の生活援助を行っているところもある。たとえば、東京都杉並区では専門の職員による「高齢者安心コール」や「配食サービス」「緊急通報システムの設置」を行っている(表2)。誰もが利用できるわけではないが、お住まいの自治体でサービスを提供していれば、高齢者に利用を促すのも一法だ。


【表2】自治体による高齢者世帯への生活援助の例(東京都杉並区の場合)

概  要対象者
高齢者安心コール週1回の定期的な電話により1人暮らし高齢者などが元気かどうか安否確認を行うサービス。医療や介護などの知識を有した者が電話をかけるので、日常生活の健康不安についての相談にも応じる。区内に住所を有し、かつ、居住している65歳以上の1人暮らし、および高齢者のみの世帯

【利用者負担】
介護保険の保険料の段階に応じて変動
配食サービス週に1回~4回(訪問調査等により決定)、食事(原則として夕食)を配達してくれる。65歳以上の1人暮らし高齢者、高齢者のみの世帯

【利用者負担】1食660円
緊急通報システムの設置緊急通報システムとは、ペンダントを通じて急病の際に救急車を呼ぶ仕組みのこと。1人暮らしの方には、人の動きに反応する安心センサーの併設も可能(1)区内に住所を有する65歳以上のみの世帯の方で、発作を伴う慢性疾患があるために常時注意を要する人
(2)75歳以上の1人暮らしの人・90歳以上の人で、何らかの健康上の不安を抱える人

【利用者負担】
介護保険の保険料の段階に応じて変動


 その他、花いじりの好きな人のための「緑の会」やペット飼育者のための「ペットクラブ」など、高齢者同士、同じ趣味を持つ人たちのサークルをマンション内で立ち上げるのも面白いだろう。高齢者にとどまらず、若い人にとってもコミュニケーションの場として機能するはずだ。重要なことは高齢者をひとりぼっちにさせないことなのだ。


 その年の世相を表す今年の漢字として、2011年は「絆」が選ばれた。「絆」は快適なマンション生活を送るうえでも、とても重要な要素となる。老若男女、マンション内のすべての居住者が安心・安全な生活を送るには良好なコミュニケーションが欠かせない。マンションが居心地のいい場所であり続けるためにも、その「絆」が深められるよう、高齢者に対するケアサポート体制の構築が急がれる。



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[2012/2/3]

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住宅コンサルタント 平賀 功一

e住まい探しドットコム代表。ネットを中心に公平・中立なスタンスで「失敗しない住宅選び」のための情報発信を行う。


e住まい探しドットコム http://www.e-sumaisagashi.com/


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