マンション管理サテライト
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第145回 マンション共用設備の法定点検一覧
社団法人 高層住宅管理業協会から9月21日、東日本大震災による東北および関東地方での分譲マンション被害状況が公表された。それによると、調査した4万6365棟(232万7400戸)の分譲マンションのうち「大破」(建て替えを要するほどの致命的な被害)はゼロ、「中破」(大規模な補強や補修を要する被害)は0.1%、そして「小破」(タイルのはがれ、ひび割れなど)は2.5%となり、建物本体に関しては大多数のマンションが惨状を免れたことが分かった。下表は被害状況を築年数別に集計したものだが、昭和56年を境とした「旧耐震」「新耐震」による被害程度の差も調査結果からは見られず、総じて分譲マンションは地震に強いことが改めて確認された。
| 築年数 | 大 破 | 中 破 | 小 破 | 軽 微 損傷なし | 総 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| ~昭和46年 | 0 (0.0%) | 0 (0.0%) | 41 (2.7%) | 1,507 (97.3%) | 1,548 (100%) |
| 昭和47年 ~昭和56年 | 0 (0.0%) | 10 (0.1%) | 202 (2.7%) | 7,248 (97.2%) | 7,460 (100%) |
| 昭和57年~ | 0 (0.0%) | 34 (0.1%) | 941 (2.5%) | 36,382 (97.4%) | 37,357 (100%) |
| 総 計 | 0 (0.0%) | 44 (0.1%) | 1,184 (2.5%) | 45,137 (97.4%) | 46,365 (100%) |
(出所)高層住宅管理業協会
東北:青森、秋田、岩手、宮城、福島、山形の6県
関東:茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の1都6県
しかし、上表では合算して表記した「軽微、損傷なし」(総計4万5137棟)の内訳を見ると、「軽微」が7477棟、「損傷なし」が3万7660棟となっており、調査対象マンションの16.1%に「軽微」な被害が見つかっている。水槽(受水槽や高置水槽)本体の破損や水槽まわりの配管の破損、あるいは、受変電設備や地下埋設物といったマンション敷地内のライフラインが地盤沈下などの原因で損壊し、797棟が復旧工事を余儀なくされている。宮城県内ではエレベーターのロープ交換を要したマンションもあった。
このことから分かるように“総じて”被害の程度は限定的だったが、「マクロ」ではなく「ミクロ」の視点で見てみると、共用設備に何らかの被害を受けているマンションは少なくない。管理主体であるマンション住民(管理組合)にとっては看過できない事態といえる。はたしてマンションにはどのような共用設備があり、どのような法定点検がなされているのか、居住者はその全体像を頭に入れておくことが必要だ。今日、マイホームの安全・安心が叫ばれるなか、共用設備の維持管理に無関心でいることはもはや許されない。
■100%すべてのマンションが例外なく実施しなければならないのが「法定点検」
「建築物の所有者、管理者または占有者は、その建築物の敷地、構造および建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければならない」――これは建築基準法の第8条1項の条文だ。マンションは様々な材料や部品で構成されており、これらの部資材は劣化や消耗の進行速度がそれぞれ異なっている。そのため、たとえ軽微な不具合でも放置しておくと、その部分だけでなく他の健全な部分にまで悪影響を及ぼすことになり、部位の寿命を縮めてしまうおそれがある。そこで、計画的な点検・検査が欠かせない。
| 点検項目 | 概 要 | 根拠法 | 点検期間 |
|---|---|---|---|
| 特殊建築物定期検査 | 地盤、構造強度、防火構造、避難施設など、建物全般についての総合的な定期検査 | 建築基準法 | 3年に1回 |
| 建築設備定期検査 | 換気設備、排煙設備、非常用照明設備、給排水設備を重点的に行う定期検査 | 建築基準法 | 1年に1回 |
| 昇降機定期検査 | エレベーターの定期検査 | 建築基準法 | 1年に1回 |
| 消防用設備定期検査 | 消火設備、警報設備、避難設備、消防用水、消防活動上必要な設備についての定期検査 | 消防法 | ・総合点検 1年に1回 ・その他の点検 6カ月に1回 |
| 浄化槽設備点検 | 浄化槽の保守点検と清掃、水質検査に関する検査 | 浄化槽法 | 1年に1回 |
| 簡易専用水道定期検査 | 水槽と水質の清掃や点検に関する定期検査 | 水道法 | 1年に1回 |
建築基準法では、マンションのような特殊建築物に対して3年に1回の法定点検を課しており、地盤や接道に関する敷地調査から基礎、外壁、天井、開口部(サッシやガラス)などの不具合、さらに防火区画、避難経路、排煙、非常用照明といった緊急用の設備、その他、採光や自然換気の状態に至るまで幅広く定期点検を義務付けている。そして、この検査は「特殊建築物定期検査」と呼ばれ、最も代表的な法定点検に位置付けられる。
また、同法では併せて「建築設備定期検査」も義務付けており、換気設備、排煙設備、非常用の照明設備、給排水設備の4設備を重点的に1年に1回、定期検査しなければならない。さらに、昇降機(エレベーター)についても1年に1回の法定点検を課しており、上述した3つの定期検査いずれも一級建築士、二級建築士あるいは専門の有資格者に状況を調査させ、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。当然ながら、この費用はすべて管理組合の自己負担となる。
続いて、消防法では消防用設備(下表参照)の定期点検を義務付けている。たとえば、泡消火設備とは駐車場火災のための設備で、ガソリン火災は水のみでは消火しにくいため、水と泡原液を泡発生器で混合させ、水による冷却効果と泡による窒息効果の相乗効果によって消火を行う。また、連結送水管とは中高層マンションの上層階で火災が発生した場合など、「ホースが届かない」といった事態に陥らないようマンション内部に設けられた送水用の配管を指す。消防隊による1階からの消化活動では十分な効果が期待できないとき、ポンプ車から加圧した水を連結送水管を介して火災階にある放水口まで送水することで、効果的な消火活動につなげる。そして、こうした消防用設備に関して1年に1回、あるいは6カ月に1回の法定点検が義務付けられている。
| 分 類 | 具体的な設備の例 |
|---|---|
| 消火設備 | 屋内消火栓設備 泡消火設備 スプリンクラー設備 |
| 警報設備 | 自動火災報知設備 漏電火災警報器 ガス漏れ火災警報装置 非常ベル |
| 避難設備 | 避難はしご 救助袋 誘導灯 誘導標識 |
| 消防用水 | 防火水槽 貯水槽 |
| 消防活動上、必要な設備 | 連結送水管 排煙設備 非常コンセント設備 |
さらに、浄化槽と給水設備(水道)についても1年に1回の点検や検査が義務付けられており、管理組合は専門の業者や機関に委託して点検してもらうことになる。補足として簡易専用水道について説明しておくと、簡易専用水道とは水道事業者からの水をいったん受水槽に貯めた後、建物に飲み水として供給する給水設備のことをいう。マンションの給水方式にはいくつかの種類があるが、受水層を必要としない水道本管からの直接給水(増圧直結方式)のマンションは少数派だ。多くのマンションが簡易専用水道に該当しており、その管理組合は定期検査を行わなければならない。
繰り返しになるが、管理組合はマンションの敷地、構造および建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければならない。法定点検である以上、例外は認められない。ご自宅のマンションがこの点に関して“適法”かどうか、きちんと確認しておくと安心だ。
◇
[2011/10/3]
住宅コンサルタント 平賀 功一

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