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第73回 住居専用マンションでの事務所使用許可の是非を問う

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 就業形態の多様化やインターネットの普及により、独立起業して自宅を事務所使用する区分所有者が増えているように思う。また、特に繁華街やオフィス街に近い都心分譲マンションでは、「事務所使用可」として自宅を賃貸するケースも珍しくない。当初から事務所使用が認められていれば問題ないが、住居専用にもかかわらず勝手に事務所として貸し出すことは、ほかの区分所有者に悪影響を及ぼす可能性があり、トラブルにもつながる。そこで今回は、住居専用マンションでの事務所使用許可の是非を考えてみたい。


■築年数に比例して賃貸割合も増加する


 平成15年度マンション総合調査(国土交通省)によると、住宅戸数のうちの賃貸比率は13.2%(平均)という結果が出ている。割合別にみると、「賃貸比率21%以上」が27.8%と最も多く、次いで「同1~5%」が25.2%、そして「同6~10%」が20.2%と続く。また完成年次別では、築年数に比例して賃貸割合が高くなる傾向が見て取れる。


住宅戸数のうちの賃貸比率

完成年次別の賃貸化率


 転勤や家族構成の変化などで、長期にわたり1カ所に住み続けるのは難しいため、無理に売却せず賃貸することは一般的だ。しかし、管理規約によって専有部分の用途が住居に限定されている場合、「事務所使用可」として賃貸することはもとより、自らが住み続けていても、その専有部分を自宅兼事務所として使用することは規約違反に該当する。各マンションの管理規約の参考となるよう国交省が作成する「マンション標準管理規約(単棟型)」にも、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない(第12条)」ことが盛り込まれており、居住者の生活の基盤となるマンションにおいて、住居以外の使用は認めない方向だ。


■一方的な事務所不可は避けるべき


 そうしたことから、今まで住居専用としていた管理組合では、事務所としての使用を解禁したがらない風潮が根強いが、一方で、やみくもに否定することは一部の組合員の利益を損ねることにもつながる。


 冒頭でも触れたように事務所使用のニーズは高まっており、たとえば自宅を仕事場とするSOHOで働きたいと考えたときに、自宅兼事務所が認められないと、その人の職を奪うことになりかねない。マンションライフは集団生活なのだから、多数意見を優先するのが筋とはいえ、少数意見を無視していいということではなく、誰にとっても「公平」でなければならない。


 おそらく現実は、誰に断るわけでもなく勝手に事務所としての使用を開始してしまうのがほとんどで、管理組合としても、特にトラブルやクレームがなければ“黙認”してしまう。そして、たとえば反社会的な行為や、犯罪に絡む事件が起こって初めて、慌てて対策を練ることになる。それでは後手に回った失策と言わざるを得ない。


■専有部分の用途に関するルールを作成しよう


 そこで、同じことを繰り返さないためにはルール(運営基準)を作成するしかない。区分所有法には「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は(中略)規約で定めることができる(第30条1項)」とうたわれているので、管理規約を一部改正して「専有部分の用途」を具体化しておくといいだろう。その際、以下の点に工夫したい。


1.「事務所」という語句の使用は慎重に!
2.逆説的な表現を使う
3.ケースバイケースといった認可制も1つの方法


 管理規約内で「事務所」という言葉を用いるには、「事務所とは何なのか?」を定義する必要が出てくる。ひと口に事務所といっても、特定の従業員が出勤してくる個人オフィスから、ピアノ教室や学習塾・エステサロンなど多数の人の出入りを伴うものまで様々なケースが想定され、正確に定義するのは困難だ。「事務所使用は認めるが、店舗使用は認めない」などと表現すると、今度は「店舗」についても定義が求められることになる。せっかく規約を改正するのだから、専有部分の用途を詳細に条文化しておきたいと考えるのはもっともだが、詳述しようとすればするほど、深みにはまる恐れがある。


 そこで、「○○以外の用途は禁止する」といった逆説的な表現方法が有効になる。前出の標準管理規約でも「住居以外の使用を禁止する」とだけ表現し、「住居以外」の具体例には一切触れていない。たとえば「住居以外の使用は認めるが、公序良欲に反する使用は禁止する」など、“逆の言い回し”で専有部分の用途を制限するといいだろう。


 一方、用途を詳しく規定するのではなく「住居以外の使用については希望者の申し出により理事会で審議し、その都度、適切な対応をとる」といった認可制にするのも1つの方法だ。これは法律全般にいえることだが、条文(管理規約)だけですべてを網羅することは通常不可能で、必ずといっていいほど例外が生ずる。それならば、無理に事細かく内容を決めないで、ケースバイケースで対応しようという発想だ。認可主体は理事会でも、新たに専門委員会を設置してもいいだろう。各管理組合の状況に応じて判断したい。ただし、「誰が」「どのように」認可するのかは忘れずに盛り込んでおこう。


 住居専用マンションで事務所使用が敬遠される最大の理由は、不特定者の出入りによる防犯面の不安や騒音の発生など、ほかの居住者の日常生活に悪影響を及ぼす心配だ。しかし裏を返せば、こうした懸念材料さえ解消されれば、用途を住居に限定する理由は存在しなくなる。今後、「ストック重視」の時代が本格化する中、社会資本の有効活用を考えれば、用途の多様化は必然の流れとなっていくだろう。


[2005/11/7]

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住宅コンサルタント 平賀 功一

e住まい探しドットコム代表。ネットを中心に公平・中立なスタンスで「失敗しない住宅選び」のための情報発信を行う。


e住まい探しドットコム http://www.e-sumaisagashi.com/


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