住まいのQ&A
ファイナンシャル・プランナーや一級建築士などの専門家が、住まいに関するさまざまな疑問にお答えします。回答はあくまでも1つの参考意見です。ご自身の責任でご判断下さい。(※現在は質問を受け付けておりません)
「土壁のリフォームで寒さを防ぐには」
(岡山県 自営業 31歳 男性)
築80年の家をリフォームしようと考えています。土壁は気密・断熱性に優れるといいますが、我が家はとても寒いです。既存の土壁の上に板を張ってすき間をなくせば、十分な寒さ対策になりますか。また、外壁を板張りにしたいと思います。年月がたってからも見映えがいいものはどのようなものですか。
「既存の土壁の上に気密材を施せば、内外の空気の流れを止めることができます。その場合、土壁の特徴である調湿性能が発揮しづらくなる可能性が出てきます。土壁の特性を生かしつつ気密性を高める場合は、既存の土壁をいったん撤去して、新たに土壁をつくり直すことも考えられます」
(株式会社リビング・デザインセンターOZONE/阿比留美和)
「土壁」は各地域で産出される土を用いて施工するため、ローカル色に富んだ多種多様な材料や工法があります。その主材料となる土の産地や種類、左官下地を含む施工技法によって、性能や仕上がりの表情にも違いがあります。
共通した特徴は、防火性、断熱性、遮音性、吸放湿性、耐久性に優れ、高温多湿の日本の気候風土に合うという点です。特に注目されているのは断熱性能と調湿性能で、複数の実験結果からも、外気温の影響を受けにくく、温度と湿度の1日の変化が穏やかであるという点が証明されています。
断熱性能に優れているはずの土壁の家が寒い理由を考えていきましょう。
築80年ということから、細かく割った竹を組んだ竹小舞(たけこまい)下地で、壁の中・床下・天井裏に断熱材や気密材は施されておらず、外部建具も気密性の高いアルミサッシではなく、木製建具であると想定されます。そのため、土壁や木材が経年変化とともにやせてくると、床下や天井、柱と土壁の間、木製建具周りなどにすき間が生じ、そこから外気が流入してきます。これが寒さの原因です。
既存の土壁の上に気密材を施せば、すき間がふさがり、内外の空気の流れを止めることができます。気密材としては、ポリエチレンフィルムや構造用合板、木質繊維ボードなどが代表的です。しかしその場合、土壁の特徴である調湿性能が発揮しづらくなる可能性が出てきます。土壁の特性を生かしつつ気密性を高めることを望む場合には、既存の土壁をいったん撤去して、新たに土壁をつくり直すことも考えられます。
外壁を板張りの塗装仕上げにして耐久性を優先する場合、耐久性はフッ素樹脂系塗料が15年と一番高く、次いでシリコン樹脂系塗料が13年、ポリウレタン樹脂系塗料が12年、アクリル樹脂系塗料が10年、といった順になります。
日本の伝統的な外装材である焼き杉についても説明をしたいと思います。杉板の表面をあぶって炭化させることにより、着火性を低くし、雨風などによる腐食を防ぎます。施工直後は真っ黒ですが、経年変化とともに表面の炭の色が少しずつ薄れて、周囲になじんでいくことによって、味わいが増します。
いずれにしても、伝統工法や古民家再生に精通している建築家や大工さんなどに現況調査を依頼し、その結果を踏まえたうえで、築80年の住まいの良さを生かした具体的な解決策を提示してもらってください。
[ 2011/3/16 掲載]
回答者 リビング・デザインセンターOZONE 阿比留 美和

一級建築士。住宅メーカーと設計事務所で専用住宅や併用住宅、共同住宅などの設計業務を行う。現在はその経験を生かし、リビング・デザインセンターOZONE(OZONE住まいづくり相談)で、住まいづくり全般の相談に対して、中立的な立場からアドバイスを行っている。これまでに受けた相談件数は、4000件を超える。
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