住まいのQ&A
ファイナンシャル・プランナーや一級建築士などの専門家が、住まいに関するさまざまな疑問にお答えします。回答はあくまでも1つの参考意見です。ご自身の責任でご判断下さい。(※現在は質問を受け付けておりません)
「2階にグランドピアノを置く場合に、ふさわしい構造工法は」
(東京都 ピアノ講師 50歳 女性)
自宅の2階に防音室をつくってグランドピアノを置きたいのですが、床が重さに耐えられるか気になります。木造、鉄骨造り、鉄筋コンクリート造りなどのうち、どういったものが一番ふさわしいでしょうか。
「どの構造工法であっても2階にグランドピアノを置くことは可能です。鉄筋コンクリート造りが躯体として気密性が高く、防音対策を施しやすいといえます」
(株式会社リビング・デザインセンターOZONE/阿比留美和)
建築基準法施行令第85条で、室の種類と構造計算の対象ごとに積載荷重の最小値が定められています。室の種類を「住宅の居室」、構造計算の対象を「床」とした場合の積載荷重は、1平方メートル当たり約183キロとされており、主に集中荷重を考慮して設定されています。
この数値は、構造や階数に関係なく定められた最小数値ですので、木造、鉄骨造り、鉄筋コンクリート造りのどのケースにも、当てはまることになります。
一方、家庭用グランドピアノの重さは、300~350キロ程度です。グランドピアノは3点で自重を支えているため、1点に掛かる集中荷重は100~120キロとなります。それぞれの点の距離を考慮し計算すると、上述の積載荷重は1平方メートル当たり183キロ以下となるため、構造上は問題ないことになります。ただし、ピアノの自重にいすや人の体重などを加算すると、この数値を超えることも考えられ、その場合は補強する必要があります。
木造軸組み工法の場合は、ピアノの下に受けとなる板(厚さ18ミリ程度)を敷いて集中荷重を分散させる、根太(ねだ=床板を受ける横木)を増やして床強度を増す、梁(はり)を大きくするなどの補強で、対応していきます。構造計算を必要とする重量鉄骨造りや鉄筋コンクリート造りの場合は、積載荷重に応じて柱や梁などの構造部材の大きさや形状、スパンなどを算出するため、依頼先に対してあらかじめグランドピアノを置く旨と設置場所を伝えておくことで対応できます。
防音対策についても構造工法に関係なく、床・壁・天井・開口部などの遮音の目標値を設定し、それに見合った仕様で計画していきます。各構造工法の中では、躯体として気密性が高い鉄筋コンクリート造りが、防音対策がしやすいといえます。防音対策については、住まいのQ&A「近所の騒音対策について教えてください」もご参照ください。
結論として、どの構造工法であっても2階にグランドピアノを置くことは可能です。
ただし、建物の構造工法を選ぶときは、グランドピアノを置くという一点だけにこだわって結論を出すのではなく、多方面から検討していく必要があります。法規制、周辺環境、敷地条件、地耐力、コスト、プラン、デザイン、性能など。そして忘れてはならないのは、グランドピアノの搬入経路の確保です。これらを踏まえたうえで、一番ふさわしい構造工法を選んでください。
[ 2010/9/1 掲載]
回答者 リビング・デザインセンターOZONE 阿比留 美和

一級建築士。住宅メーカーと設計事務所で専用住宅や併用住宅、共同住宅などの設計業務を行う。現在はその経験を生かし、リビング・デザインセンターOZONE(OZONE住まいづくり相談)で、住まいづくり全般の相談に対して、中立的な立場からアドバイスを行っている。これまでに受けた相談件数は、4000件を超える。
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