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業界紙出身のベテラン記者・牧田司氏による住宅・不動産各社の企業情報。愛情あふれた辛口コメントに注目です。本コーナーの記事内容に対するお問い合わせは「RBAタイムズWeb版」までお願いします。

三井不動産&青木茂建築工房 練馬区のリファイニング見学会に200名

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「早宮サンハイツ」

 三井不動産は2月27日、青木茂建築工房のリファイニング建築手法を活用し、旧耐震基準建物を新築並みに再生する第一号案「早宮サンハイツ」の工事が完了したことに伴う見学会を実施。約200名が参加するなど、リファイニング建築に対する関心の高さをうかがわせた。


 物件は、東京メトロ副都心線・有楽町線氷川台駅から徒歩4分、練馬区早宮1丁目に位置する昭和52年に竣工(築40年)した鉄筋コンクリート造4階建て全28戸の賃貸マンション。専用面積は42.15平方メートル・49.50平方メートル。


 東日本大震災後の耐震性に対する不安の高まりの中で入居率が46%まで落ち込み対応に苦慮したオーナーが同社に依頼して青木茂建築工房のリファイニング手法を選択したもの。


 廊下側の耐力壁厚を120→150に変更、Exp.J幅を60→130に拡幅、既存塔屋及びRC階段の撤去(鉄骨 階段新設)と既存エントランス庇などを撤去することで軽量化を図り、耐震指標Is値を0.6以上確保。現在のニーズに合う間取りへの変更、内外装及び設備の一新、共用廊下の段差解消・エレベータ新設によるバリアフリー化、現行法令へ適合させるための各種工事を行った。施工は内野建設。工期は約8.5カ月。


 建物は、青木茂建築工房と業務提携しているりそな銀行とERIソリューションとで「耐用年数推定調査」を行い、税務上の耐用年数50年超を取得して長期融資が受けられるようにしている。2月末に検査済証を取得し、三井不動産レジデンシャルリースがサブリースする。今後、緊急輸送道路沿いの建物として耐震助成金の交付も受ける予定。


 オーナーは、「東日本大震災後、入居者から『耐震性は大丈夫か』という指摘を受け、耐震診断を受け問題があることが判明してから3年間は退去者が出ても全く入居者が集まらなかった。たまた青木先生のリファイニング手法をテレビで拝見して、2014年に三井さんが主催したセミナーに参加して大規模修繕を決断した」などと語った。


 賃料は41.25平方メートルで10万9,000円から、49.50平方メートルで12万1,000円から。三井不動産レジデンシャルリースの担当者によると「賃料設定は新築相場の90~95%だが、競争力はある」と話した。


青木氏

◇     ◆     ◇


 今回に限ったことではないが、リノベーションとは比較にならないほどリファイニング手法のレベルの高さを再認識した。


 従前の設備仕様がどうなっていたかはわからないが、空調、給排水管、電気設備、外構を一新し、オートロック、エレベータ付き、Low-e複層ガラスなどの共用部分はもちろん、専用部は上がり框の高さ50cmを確保して置き床とし、トイレ、洗面、浴室のバリアフリー化を図っている。ドアは引き戸、スライドウォールを多用して機能性を高めている。


デッキを新設し、ルーバーで意匠も一新した

◇     ◆     ◇


 気になっていることを青木茂氏に聞いた。「先生、先生も永遠に生きられるわけではないですよね。技術の習得には時間がかかるでしようし、どう継承していくかも課題ではないですか。教育体制はどうか、弟子は育っているのですか」と。


 青木氏は笑いながら「いろいろ話しているが(学科の新設など)全く動きはない。しかし、一人博士号を取得したし、もう一人予定もしている。すべて自前だが着々と進めている。三井さんとはあと2件のプロジェクトが進行中で、ミサワホームさんの案件もある」と語った。


 それにしても動員力がすごい。デベロッパーのマンション見学会には数えるくらいしか集まらないのに、この寒い中200名も集まるのが信じられない。


 もう一つ。いつも配布される資料はA版8折で文庫本サイズにして16ページ立て。文字が小さく年寄りは読みづらいのが難点だが、必要な事項が過不足なく盛り込まれている。リーフレットのつくり方もさすがというべきか。


 例えば1階の居室の天井高。従前は2.25mになっているが、改修後は2.4mを確保している。これについても「既存建物は1Fのスラブがなく、木軸で組まれていた。今回は1Fに土間コンクリートを新設し、湿気対策を行う。置き床高さ調整によりCH2550確保(cf4F:2400、3・2F:2450)」とときちんと記載されている。1階の天井高が高くなったのは床をそれだけ掘り下げたからだ。


 参考までにこれまでの記事を添付する。「新建築」の2017.2でも青木茂氏の「長寿命化のための手法 リファイニング建築による集合住宅の再生」が掲載されている。


担当者の説明を聞く参加者

>記事の全文はこちら


[2017/2/27 提供:RBAタイムズWeb版]

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RBAタイムズ 牧田司

第三企画(東京・新宿)が発行する住宅・不動産業界情報紙「RBAタイムズ」編集長。記事の大半を自身で取材・執筆している。月1~2回の紙面発行に加え、「RBAタイムズWeb版」で随時ニュースを配信中。紙面は住宅・不動産業界の親睦と発展を目的に業界関係者に無料配布しているが、広告を一切掲載せず、(第三企画も含めた)特定企業の利害にとらわれない編集方針をとっている。


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