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住宅最前線 こだわリポート

業界紙出身のベテラン記者・牧田司氏による住宅・不動産各社の企業情報。愛情あふれた辛口コメントに注目です。本コーナーの記事内容に対するお問い合わせは「RBAタイムズWeb版」までお願いします。

皇居に隣接 最高級Sクラスの「大手町パークビルディング」竣工

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「大手町パークビルディング」(その隣が「大手門タワー・JXビル」)

 三菱地所の最高級Sクラスビル「大手町パークビルディング」の竣工式が2月13日行われ、報道陣に公開された。オフィスワーカーをサポートする至れり尽くせりの機能を備え、大手町初の住機能・サービスアパートメントが併設され、さらに皇居に隣接する立地を考慮して自然・生物との調和を図った「ホトリア広場」の提案が素晴らしい。


 物件は、大手町駅直結の千代田区大手町1丁目に位置する敷地面積約9,300平方メートル、制振構造の地下5階地上29階建て延べ床面積約151,700平方メートル(容積率1400%)。用途は事務所・店舗・サービスアパートメント・地域冷暖房施設・保育所・駐車場など。設計監理は三菱地所設計。施工は竹中工務店。竣工は2017年1月31日。建物は「CASBEE」Sランク相当を確保している。


 ビルのことは詳しくないので間違っていたら“ごめんなさい”というほかないのだが、関係者も「そのつもり」と話したから、“特上”のビルであるのは間違いない。


エントランスロビー

サントリー・ミドリエの壁面緑化

◇     ◆     ◇


 何から書いていいか迷うのだが、まず「ホトリア広場」から。物件が皇居のほとりに位置するため名づけられたもので、2015年に竣工済みの大手門タワー・JXビル敷地と合わせて約3,000平方メートルのコミュニティ広場を整備。就業者や来街者の 憩いの場とし、生物多様性にも配慮しているのが特徴だ。また、コミュニティ活動の拠点として利用できるような仕掛けも施されている。


 広場を見て、すぐ「大手町の森」と比べた。約3,500平方メートルの「大手町の森」(オーテモリ)は素晴らしい「森」を演出しているが、四方八方ビルに囲まれているのに対し、こちらは規模こそ負けるが、緑被率を約45%確保し、皇居の緑と空間を取り込んでいる。総合的に評価すると「ホトリア」に軍配をあげたくなる。


 そればかりか、積水ハウス「新梅田シティ」の約8,000の「里山」ともいい勝負だ。「ホトリア」はコンセプトも違うし規模的には圧倒的に負けるが、皇居の緑と一体としてとらえるとそんなに引けをとらない。


 市民参加型の「生き物モニタリング」で何が起きるか楽しみだ。ホタルブクロを咲かせるというが本当だろうか。


 皇居の緑・水・生き物との調和の取り組みとしては、お濠水(予定浄化量約50万平方メートル)の濠水浄化施設がすでに稼働しており、その効果がてきめんであることも証明されている。アオコの発生はほとんどないそうだ。


「ホトリア広場」

◇     ◆     ◇


 22~29階に130室を設置したサービスアパートメント「アスコット丸ノ内東京」について。シンガポールが本拠のアスコットが所有・運営し、その最高級ブランド「アスコット」が日本に初進出する。


 22階ロビーの天井高は約7mで、このフロアにはトレーニングルーム、プール、ラウンジ、ミーティングルーム、レストランなどがある。


 客室は38平方メートルからのスタジオタイプから163平方メートルのスイートまで7タイプ。オープニングプレミアムパッケージ料金は39平方メートルのスタジオタイプが1泊35,000円~(1カ月45万円~)、91平方メートルの1ベッドプレミアムが1泊55,000円~(1カ月75万円~)。


 写真撮影が許されたのは2部屋のみだったが、眺望、設備仕様、サービス(ワイン、食事など)を計算すると、これは泊まる価値がある。パレスホテルよりかなり安く、宿泊特化型のホテルと比べはるかにレベルが高い。(以前の記者だったら体験宿泊するが、いまは余裕がない)


 ビジネスとしてならホテルよりこのようなサービスアパートメントを好む人が少なくないことは十分理解できる。ホテルはプライバシーが確保されない欠点がある。


 デザインは全体としてすっきりしており、あの無国籍というか多国籍というか中途半端なアジアンテイストでないのがいい。


「アスコット丸ノ内東京」客室

◇     ◆     ◇


 オフィスフロアについて。日比谷通りに面した広場には、2020年東京オリンピック公式エンブレムをデザインした野老朝雄氏によるパブリックアート作品 “TOWER OF CONNECT”を設置。エントランスロビーは高さ約12m。高さ約12mと約7mの壁面緑化「サントリー・ミドリエ」を設置、アロマの香りを漂わせることによって日比谷通りから皇居に向かって緑のつながりを意識させるデザインになっている。


 1フロアは約1,030坪。皇居に面した側は約50mのワイドスパンを採用。7階にはサービス機能付小規模オフィス「The Premier Floor Otemachi」18室を整備。小規模ながらSランクビルを望む国内外企業のニーズに応える。


 そして何より素晴らしいのが、2階のオフィスサポートフロアだ。皇居の緑が眺められるラウンジのほか、テナント企業向け保育所、フィットネス、シャワールーム、仮眠室などを備える。


 シャワールームがあるのがとくにいい。記者は独身の頃、毎週土曜日、仲間と皇居を1周していた。約5キロを約25分で走ったから早いほうだった。走ってからみんなと飲むビールが格別だった。困ったのはシャワーが浴びられなかったことだ。ホテルを利用しようにも金がなかった。このビルに勤務する人はそんな心配がない。同社のビルでもシャワールーム付きというのはほとんどないようだ。


オフィス標準階の眺望

パークラウンジ

◇     ◆     ◇


 気になったこともないわけではない。皇居が丸見えだったことだ。このビルだけではないが、これはいかがなものか。


 同社の「千鳥ケ淵」マンションでも書いたが、皇居を眼下に見下ろすのは抵抗がある。中国では絶対あり得ないことだし、アメリカだって国の重要施設のあるところは土地所有・利用に厳しい規制があると聞く。


 単なるデザインだけでなく、少なくとも皇居内が視認できないよう窓はスモークガラスにするなど法律で規制してもいいと思うがどうだろう。


2階ラウンジ

“TOWER OF CONNECT”

[2017/2/14 提供:RBAタイムズWeb版]

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RBAタイムズ 牧田司

第三企画(東京・新宿)が発行する住宅・不動産業界情報紙「RBAタイムズ」編集長。記事の大半を自身で取材・執筆している。月1~2回の紙面発行に加え、「RBAタイムズWeb版」で随時ニュースを配信中。紙面は住宅・不動産業界の親睦と発展を目的に業界関係者に無料配布しているが、広告を一切掲載せず、(第三企画も含めた)特定企業の利害にとらわれない編集方針をとっている。


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