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業界紙出身のベテラン記者・牧田司氏の独自取材記事。街づくり、団地再生、震災復興などがテーマ。愛情あふれた辛口コメントに注目です。本コーナーの記事内容に対するお問い合わせは「RBAタイムズWeb版」までお願いします。

定借マンションはなぜ増えないのか 定借推進協などがシンポ

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「私たちが考える これからの地域の活性化」シンポジウム(住友林業で)

 定期借地権推進協議会・日本型HOA推進協議会は12月2日、「私たちが考える これからの地域の活性化―定期借地権とエリアマネジメントの活用―」と題するシンポジウムを開いた。関係者ら約120名が参加した。


 定期借地権推進協議会は前身団体を含め24年前に設立された任意団体で、構成メンバーは旭化成不動産レジデンス、ミサワホーム、積水ハウス、大和ハウス工業、フージャースコーポレーション、パナホーム、都市農住センター、伊藤忠都市開発、住友林業。定期借地権制度の健全な発展を図ることが目的だ。大木祐悟氏(旭化成不動産レジデンス マンション建替え研究所主任研究員)が委員長を務める。


 日本型HOA推進協議会は、アメリカの土地の「魅力」を所有し、管理し、コントロールするHOA(homeowners association、住宅所有者の組合)を日本型にしたもので、2009年5月に設立。横浜市立大学国際総合科学部教授・齊藤広子氏が代表を務める。構成メンバーは前記のハスウメーカーなど。


 シンポジウムでは齊藤氏が基調講演を行い、大木氏、ミサワホーム分譲開発部部長・一宮康則氏、フージャースコーポレーション企画開発一部部長・須藤幸弘氏、両団体の事務局長・温井達也氏が講演と事例報告をした。


◇     ◆     ◇


 定借はもっと普及してほしいと思うのは主催者と同じだし、エリア(タウン)マネジメント手法が大事なのは同感だ。


 しかし、正直に言えば、もう3時間(休憩は1度あったが)も机に座って、細かい字でびっしり書かれたパワーポイントの文字を読みながら、後援者の話を聞くのは耐えられなくなってきた。


 盛りだくさんのシンポジウムの詳細を紹介することはできないので、記者が取材してきた事例を紹介する。


 首都圏第1号の「グランビューあざみ野」(平成6年竣工、事業主:サミュエル、以下同じ)のほか、「銀座タワー」(平成15年、三菱地所レジデンス)「神楽坂アインスタワー」(平成15年、藤和不動産=現・三菱地所レジデンス)「タンタタウン」(平成17年、伊藤忠都市開発ほか)「シティタワー品川」(平成20年、住友不動産)「パークコート神宮前」(平成22年、三井不動産レジデンシャル)「広尾ガーデンフォレスト」(平成25年、三井不レジ、三菱地所レジデンス)などだ。現在は東急不動産の「ブランズシティ世田谷中町」やスターツの「アルファグランデ千桜タワー」がある。


 地主が東京都の案件では、「パークアクシス青山一丁目タワー」(平成19年、三井不レジほか)「パークコート神宮前」「むさしのiタウン」(平成19年、アキュラホームほか)などがあり、先の「原宿」は東京都、「品川」は品川区、「千桜」は千代田区の土地だ。


 「グランビューあざみ野」は賃貸並みのレベルしかなかったのに失望し、8,000人もの来場者があった期間70年の長期定借を実現した「タンタタウン」や、圧倒的な人気を呼んだ「シティタワー品川」、「むさしのiタウン」には驚愕(きょうがく)したのをおぼえている。いくつか記事を添付したので参照していただきたい。


◇     ◆     ◇


 いうまでもないことだが、定借で貸す側にとってはマンションや戸建ては低リスク低リターンである代わりに、固定資産税や都市計画税の軽減措置が取られ、買う側にとっては土地代が高いところほど所有権分譲より安い価格で購入・賃借できる特徴がある。


 これまで取材してきて気になるのは、定借マンションの供給が先細りで、しかも所有権付きと比較して割安感が見えにくくなっている点だ。


 その理由として考えられるのは、第一に建築費の高騰だ。平成17年に竣工した「タンタタウン」の分譲坪単価は110万円強だったと記憶しているが、今は最低でも売単価は130万円くらいになるのではないか。


 地代、権利金、保証金も第一次取得層にとって負担が大きい。例えば「パークコート神宮前」。坪単価は318万円(所有権なら当時でも坪700万円はしたはずだし、現在なら900万円くらいか)と安く、デザイン監修が隈研吾氏だったこともあり、記者は購入まで考えたが、坪当たり地代は約4,000円、20坪で約8万円もするので断念した。「銀座タワー」も月額地代は10万円くらいした。


 つまり、土地代が高いエリアのマンションも結局は“高値”の花にしか定借マンションはならない。郊外部でもユーザーの所有権のこだわりが強く、それを払しょくできるだけの商品企画を提供できていないように思う。


 このように現在の定借システム・社会環境では一般的な会社員にとって魅力が乏しいと言わざるを得ない。あい路を解消するヒントは、齋藤氏が力説されたエリアマネジメント手法の採用が大きなヒントのような気がする。地代、権利金、保証金負担を軽減することも考える必要がある。定借物件が中古市場でどのように評価されているのかも発信してほしい。


 そこで提案したい。国や地方自治体にとってローリスク、ローリターンは必ずしも魅力のない投資ではないはずだ。長期にわたって安定的収入が期待できるし、地代、権利金、保証金も低く設定できるはずだ。むしろ逆に、遊休農地に対しては課税を強化するのと同じように、不服申立制度を簡便化して国や自治体も含め合理的理由がない遊休地・低未利用地には“特別課税”を課すとか住民に開放するとかの措置を取ったらどうだろう。


 こんなことを言えば、国や自治体に特別課税することは国民に課税するのと同じではないかという反論もあるだろうが、特別課税=議員歳費の引き下げならみんな納得するはずだ。


 一つ付け加えれば、先に2020東京オリンピック選手村用地を1種(容積率100%あたり)8万円で売却したマンションはいったいいくらで分譲されるのか。記者はいまでも定借方式がよかったと思っている。


>記事の全文はこちら


[2016/12/3 提供:RBAタイムズWeb版]

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RBAタイムズ 牧田司

第三企画(東京・新宿)が発行する住宅・不動産業界情報紙「RBAタイムズ」編集長。記事の大半を自身で取材・執筆している。月1~2回の紙面発行に加え、「RBAタイムズWeb版」で随時ニュースを配信中。紙面は住宅・不動産業界の親睦と発展を目的に業界関係者に無料配布しているが、広告を一切掲載せず、(第三企画も含めた)特定企業の利害にとらわれない編集方針をとっている。


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