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国交省が空き地活用検討会 米国ランドバンクなどの事例報告

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 国土交通省は3月2日、第2回「空き地等の新たな活用に関する検討会」(委員長:山野目章夫・早稲田大学大学院教授)開催。空き地所有者と自治体を対象に行ったアンケート調査結果と、空き地の考え方について同省から報告が行われたほか、みずほ情報総研・藤井康幸氏が「米国のランドバンクの動向について」、千葉大学大学院准教授・秋田典子氏が「空き地等の管理と活用の実態-地域のコモンズとしての管理-」と題する事例報告をそれぞれ行った。


◇     ◆     ◇


 配布された資料・アンケート調査結果は全体で約170ページに及ぶ読み応えのあるものだった。アンケートは予想通り、空き地所有者も行政も問題であることを認識はしているものの何もしていない実態が浮き彫りになった。事例紹介では藤井氏のランドバンクについての報告が興味深かった。


 藤井氏によると、ランドバンクとは、空き家・空き地・放棄地、税滞納差押物件などを利用物件に転換することに特化した政府機関で、市場(マーケット)が見捨てた物件への対処が基本で、物件の譲渡、利活用を進めるために滞納された資産税や課徴金はランドバンクの物件取得時に帳消しされるうえ、ランドバンクの保有物件は非課税扱いとなる。


 2010年の人口がピーク時より61.4%減の約71万人にまで減少しているデトロイトでは約38万区画の市内全域のうち約10万件がランドバンク保有物件だという。


 クリーブランドの事例ではリーマン・ショック前の2004年に77,000ドルで取引された物件は、2010年にゼロドルでランドバンクに譲渡され、2012年には1ドルで個人4人に譲渡された。個人4人は自宅の庭として利用しているという。


 藤井氏は「Center for Community Progress」(本部:フリント市)が説く「成功するランドバンクに共通する特性」として(1)ランドバンクと税滞納差押過程が結び付けられること (2)再生計画や土地利用計画に基づいた事業 (3)物件の取得、譲渡などの考え方、優先順位などが透明性を有し、市民の信頼を得ていること (4)コミュニティ諮問委員会の設置、住民団体との協働 (5)コミュニティプログラムとの整合性-などをあげている。


◇     ◆     ◇


 以下、各委員の主な意見を紹介する。


中川雅之氏(日本大学教授) 高い地価・地代期待があるわが国ではマーケット価値がないとして“ゼロ円”に選別する仕組みができるかどうか


藤原徹氏(明海大学准教授) わが国では何もしない、放ったらかしにすることのコストが低いという問題がある


高村学人氏(立命館大学教授) コミュニティガーデンを支援する保有機関、財源、都市計画などの位置づけ整理が必要


小泉秀樹氏(東京大学大学院教授、臨時委員) 都市計画ではコミュニティガーデンなどへの用途変更が難しい。街づくり、土地利用へ介入する仕組みが必要


秋田典子氏(千葉大学准教授) 時間と空間をまとめてコミュニティガーデンなどの一時所有する仕組みを考えている


山野目章夫委員長 (秋田氏が所有機関を「公社のようなもの」と発言したことに対し)土地開発公社というイメージがよくないものもあるが…(国交省関係者らも苦笑した)


浅見泰司・委員長代理(東京大学大学院教授) 緑地といっても生産緑地もあれば里山もあり様々。整理する必要がある


大橋弘氏(東京大学大学院教授) 所有権と利用権をきちんと整理して利活用につなげていくべき


山野目章夫委員長 行政が汗をかいているのは理解できるが、都市計画は禁止事項が多い。何かをやってほしいという道具立てが足りない


小林秀人氏(大和リース新規事業推進室室長) 不動産は利活用を阻む私的権利が大きい。価格ゼロなど誰が決めるのか(この国では国有地がただ同然で売却される事例もある=記者)


亀島祝子氏(東急不動産鑑定企画部参与) コミュニティガーデンなどの担い手を育てていくことが求められる


母袋創一氏(長野県上田市長) 地方都市はさまざまな異なった事情があるが、ランドバンクの考え方は面白い。一石を投じる意味はある。これからは行政主導ではなく、民間の力を主体に考えていくべき


山野目章夫委員長 この検討会では地方税のあり方も検討課題に入れないといけない


[関連記事] 空き家対策、不動産流通業はどうかかわれるか 国交省審議会が会合 (2017/2/10)


[2017/3/2 提供:RBAタイムズWeb版]

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RBAタイムズ 牧田司

第三企画(東京・新宿)が発行する住宅・不動産業界情報紙「RBAタイムズ」編集長。記事の大半を自身で取材・執筆している。月1~2回の紙面発行に加え、「RBAタイムズWeb版」で随時ニュースを配信中。紙面は住宅・不動産業界の親睦と発展を目的に業界関係者に無料配布しているが、広告を一切掲載せず、(第三企画も含めた)特定企業の利害にとらわれない編集方針をとっている。


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