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「新国立の図面は1年間に四千数百枚描いた」隈研吾氏

「新しい木の時代」シンポ

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隈氏(東京コンベンションホールで)

 昨日(12月11日)、「新しい木の時代 ~日本の森林再生と利活用~」シンポジウムで、隈研吾氏が約1時間にわたって基調講演した。数えたわけではないが、隈氏は内外の20プロジェクトを写真・画像を交えて話した。


 ここで一つひとつ紹介する余裕はないので、隈氏が設計を担当した新国立競技場と新潟県長岡市の「アオーレ長岡」を紹介する。


 まず新国立競技場から。隈氏はこの日起工式が行われた新国立競技場について「この1年間で新国立競技場の図面を約4000数百枚描いた」と話した。


 いったい図面を描くのがどのような仕事なのかさっぱりわからないが、一般的に図面はA3用紙を使うようで、重さにして30数キロ、厚さにして40数センチになる。これだけでは仕事量を紹介したことにはならないが、記者の知る限り、作家としては中国のノーベル文学賞作家・莫言氏は超大作「豊乳肥臀」1,200枚を3カ月で書き上げたというのが最近では記録的な多さだろうと思う。4,000数百枚の図面は隈氏だけが担当したわけではないだろうが、ノーベル賞ものの仕事なのかもしれない。


 新国立について隈氏はまた、周辺環境と調和し溶け込むように建物の高さを抑えることに苦心し、「ザハ・ハディド案が75メートルだったのに対し、49メートルに抑えることができたので、(選ばれる)手ごたえはあった。剪定(せんてい)がいらない緑化、下から見上げる美しさ、わが国の伝統的な建築技法の採用、ハイブリッドの屋根、木と鉄やコンクリとの混構法、管理費の抑制などにも力を入れた」などと語った。


 また、「世界中の木の建築に関わってきたが、やはり木の技術は日本が一番。住林さんはすごい」と住友林業を持ち上げることも忘れなかった。


「アオーレ長岡」外観(写真提供は全て長岡市)

ウェディング

落成式典

 次に「アオーレ長岡」について。地方再生・活性化、中心市街地活性化に資する事例として最適と思われるからだ。


 同施設は、平成24年4月にオープンした地下1階地上4階建て延べ床面積約35,000平方メートルのナカドマ(屋根付き広場)、アリーナ、市民交流ホール、市民協働センター、議場、市役所本庁舎などが整備された多目的施設だ。総事業費は約132億円。


 詳細は長岡市のホームページなどで調べていただきたいが、オープン以来の来館者は年間約140万人。人口が28万人の市だから驚きだ。単純比較はできないにしろ、従前施設の約4倍の来館者だ。施設は住民主導のイベントが多いのが特徴のようだ。施設がオープンして中心市街地の空き店舗が減少し、施設がある市の東側とその反対側の西との人の流れも生まれたという。


 ホームページに掲載されている市民の声の一つに、「市役所機能のまちなか回帰に関する一連の整備が完了した今、まちなかに来る人々は楽しい顔をしている」とあった。


伊勢神宮 外宮(11月撮影)

伊勢市駅前のホテル二つ(左が三交不、右が伊勢外宮参道 伊勢神泉)

 対照的な事例としてわが故郷・伊勢市を取り上げるのは心苦しいのだが、少し触れたい。“日本人の心の故郷”伊勢神宮に訪れる人は平成25年の遷宮では約1,400万人にも達した。その後、減少はしているが平成27年は約838万人だ。平年でも毎年600万人くらいの参拝者がある。


 ところが、伊勢市に宿泊する観光客(だけではないが)は漸減しており平成27年は約40万人にすぎない。外宮・内宮をお参りしてその足で鳥羽・賢島方面へ向かう観光客が圧倒的に多い。記者もたまに帰省すると、伊勢を通り越して鳥羽まで行って、カキやらサザエやらを食べに行く。伊勢市内ではありきたりの食べ物しかないし、観光客に勧められるホテルなどほとんどなかった。


 ずっと空き地になっていた伊勢市駅前の空き地にホテルが数年前にでき、その対面にも三交不動産のビジネスホテルが今年11月にオープンしたが、駅前の一等地にホテル2つだけというのは情けない。伊勢が素通りされる流れは止められそうにない。


神宮の杉の大木

[関連記事] 涌井史郎氏「わが国の自然はかみさんと一緒。美しいが扱いも難しい」 (2016/12/11)


[2016/12/12 提供:RBAタイムズWeb版]

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RBAタイムズ 牧田司

第三企画(東京・新宿)が発行する住宅・不動産業界情報紙「RBAタイムズ」編集長。記事の大半を自身で取材・執筆している。月1~2回の紙面発行に加え、「RBAタイムズWeb版」で随時ニュースを配信中。紙面は住宅・不動産業界の親睦と発展を目的に業界関係者に無料配布しているが、広告を一切掲載せず、(第三企画も含めた)特定企業の利害にとらわれない編集方針をとっている。


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