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住宅最前線 こだわリポート

業界紙出身のベテラン記者・牧田司氏の独自取材記事。街づくり、団地再生、震災復興などがテーマ。愛情あふれた辛口コメントに注目です。本コーナーの記事内容に対するお問い合わせは「RBAタイムズWeb版」までお願いします。

視点を変えれば高齢社会は無限の可能性あり ホスピタルデザイン研

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「ヘルスケアデザイン産業の最前線」(京王プラザホテルで)

 ホスピタルデザイン研究会(代表:戸倉蓉子氏)は3月27日、日本医師会、公益資本主義推進協議会、東京都健康長寿医療センター、日本居住福祉学会などが後援する「ヘルスケアデザイン産業の最前線」と題するフォーラムを開いた。


 キックオフ講演会では、経済産業省ヘルスケア産業課課長・江崎禎英氏が「生涯現役社会の構築に向けて」と、医療法人社団慶成会会長・大塚宣夫氏が「高齢者よ大志を抱け!」と題する講演をそれぞれ行った。


 医療・介護、建設、住宅・リフォーム、建築士、ホテルなど幅広い分野から約120名が参加した。


戸倉氏

◇     ◆     ◇


 江崎氏の話は、厚労省などの悲観的で絶望的なデータを経産省の立場から分析すればまったく別の展望が開けるという意味でとても面白かった。要は予防医療に力を注ぎ、高齢者が自ら誇りが持てるように遇し、どんどん社会進出を促す取り組みをすべきだということだ。江崎氏が「介護ろし」などと現行の制度を皮肉ったのにはびっくりしたが、当意即妙その通りだと思った。


 大塚氏の話も面白かった。大塚氏は、高齢者の増加、家族による介護力の低下、社会保障制度の前提の崩壊などを述べた後、老後を豊かに過ごすための基礎知識を次の通り紹介した。


 1)生物の歴史から見た晩年
 親を見るDNAは引き継がれていない


 2)75歳で心身とも変わる
 臓器の耐用年数は70年。自己修復力の低下。認知症の不安など


 3)自分を元気に保つ術
 自分で老け込むな。依存心を捨てよ。体の言うことを聞くな。リタイアしても朝外出して夕方まで帰るな、それのほうが奥さんも喜ぶ。年を取ったら独立自存


 4)老後の沙汰(も金次第とは言わなかったが)
 感謝の気持ち。現金主義を貫き不都合、不便を回避せよ


 5)終わり良ければすべて良し
 つらい思いを家族にさせない。介護はプロに任す


 6)高齢者施設の活用
 「終身介護」は要注意、8割は後悔する。最期に入る場所を決めておく。それまでは入らないよう頑張る


 また、大塚氏は超高齢社会への提言として、高齢者の定義は少なくとも75歳以上にすべきだとし、寝たきりが少ないヨーロッパ人の人生の終わり方を紹介し、緩和ケアを充実させ、「自分で嚥下(えんげ)できなくなったら寿命」と悟るべきで、大往生の人生をよしとする社会的コンセンサスが必要と話した。


 大塚氏は医療付き老人ホームの「青梅慶友病院」(700床)と高齢者ホスピス「よみうりランド慶友病院」(240床)の会長を務めており、その概要を紹介した。平均年齢は「青梅」が89歳、「よみうり」が87歳。年間死亡は「青梅」が276名、「よみうり」が163名。入院期間は「青梅」が2年半、「よみうり」が1年半。


江崎氏(左)と大塚氏

◇     ◆     ◇


 フォーラムを企画した埼玉県住まいづくり協議会副会長、日本居住福祉学会関東支部長などを務めるリブラン会長・鈴木靜雄氏が「戸倉さんは平成のナイチンゲール」と持ち上げ、「経産省、日本医師会、日本商工会議所の3者が手を携えるという過去にはありえないトライアングルが実現した。健康経営の取り組みもオーソライズされ、あらゆる産業が健康になることが求められる時代になった。住や医療が連携して次のステップに進まなければならない」と語った。


 その言葉は理解できても、なかなか実感できない記者は、これから住宅・不動産業はどうしたら健康長寿社会の実現に貢献できるのか、なにが求められているのかずっと考えた。


 真っ先に浮かんだのは富裕層ビジネスだ。これはすでにデベロッパーやハウスメーカーが取り組んでいるが、これに元気な高齢者向けのビジネスも絡んでくる。新しいビジネスモデルも生まれるかもしれない。そんな期待感を抱かせるフォーラムだった。それほど参加者の業種は多種多彩だった。


鈴木氏

◇     ◆     ◇


 最近話題になっているビジネスとして、第1回「日本サービス大賞」の内閣総理大臣賞を受賞したJR九州の「ななつ星in九州」がある。


 JR九州によると、「ななつ星in九州」のスタートは2013年10月で、利用者は昨年11月22日の9期までで約7,700名に達する。利用者の平均年齢は64.4歳で、60歳代を中心に50歳代から70歳代、居住地は関東が多いという。最近の企画では2人利用で200万円~300万円だが、申込受付の電話はつながらない状態だ。


 クルーズ人口はどうか。国土交通省の調査では2000年の21.6万人をピークにその後減り続け20万人を割っていたが、2012年に21.7万人へ回復し、2013年には23.8万人と過去最高を記録している。


 視点を変えれば、金融資産が数百兆円になるはずの高齢者・富裕層向けのビジネスは無限に広がる。


◇      ◆     ◇


 記者も相当酒が入っているころだった。ゆったりした作務衣か甚平か茶羽織かを羽織ったげたばきのおじさんが登壇した。会場の沸き具合からして相当の人であることが分かった。日本BE研究所所長・行徳哲男氏(84歳)だった。会場からは「先生はマグロと一緒。泳ぎ続けなければならない。100歳に向かって頑張って」などの声援が飛んだ。


 その先生が、いま話題の安倍昭恵夫人にエールを送る書を披露した。明治天皇御製による「あらし吹く 世にも動くな 人ごころ いはほに根ざす 松のごとくに」という和歌だそうだ。


 なるほど。いかに政情、人心が混乱していようと泰然自若として構えなさいということのようだ。 


安部昭恵夫人にエールの明治天皇御製の和歌

行徳氏

相羽建設会長・相羽正氏「うちにはなぜか大正天皇に献上した潜水艦の100分の1の模型があるんだよ。社長は65歳のとき、娘婿に譲った。今は何もしていない」

絆コーポレーション所長・吉村健司氏(RBA関係者にはお馴染み)

[2017/3/28 提供:RBAタイムズWeb版]

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RBAタイムズ 牧田司

第三企画(東京・新宿)が発行する住宅・不動産業界情報紙「RBAタイムズ」編集長。記事の大半を自身で取材・執筆している。月1~2回の紙面発行に加え、「RBAタイムズWeb版」で随時ニュースを配信中。紙面は住宅・不動産業界の親睦と発展を目的に業界関係者に無料配布しているが、広告を一切掲載せず、(第三企画も含めた)特定企業の利害にとらわれない編集方針をとっている。


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