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業界紙出身のベテラン記者・牧田司氏による分譲戸建てやハウスメーカーの新製品情報。愛情あふれた辛口コメントに注目です。本コーナーの記事内容に対するお問い合わせは「RBAタイムズWeb版」までお願いします。

ポラスの哲学を見た 埼玉県ヒートアイランド対策モデル事業採択に納得

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工事中の「風と緑のまち 白岡」

 ポラスグループ・中央住宅の戸建て「風と緑のまち 白岡」(全21棟)が埼玉県「先導的ヒートアイランド対策住宅街モデル事業」第1号として採択され、上田清司・埼玉県知事から直々に認定証を受け取ったことは昨年11月、記事にした。


 「素材」「水」「緑」「風」の力を利用した「パッシブ・ランドデザインシステム」を導入することによって、夏季の体感温度を5度程度引き下げる商品企画が評価されての認証だったのだが、その時は、物件を見ていなかったこともあり簡単に紹介するにとどめた。それ以上に上田知事の話が面白かったので、知事の話を書いた。


 同社には「物件を見たい」と伝えており、それが昨日実現した。5つの散水栓から噴き出すミスト状の“水道水”を浴びせられたときはさすがにたじろいだが、これが真夏で、各家庭が一斉に打ち水をしたらどんなだろうと想像して感動すら覚えた。こんな分譲住宅を供給したハスウメーカーもデベロッパーも皆無だろう。


 上田知事は認証式で「今回の案件をきっかけに第2弾、第3弾と続け、全ての戸建てでやっていただきたい」と述べたが、記者もそう思う。ポラスにエールの座布団3枚!


ミスト噴霧中(中央の白いものが散水栓)

庭(奥に見えるのが緑化フェンス)

散水機

◇     ◆     ◇


 物件は、JR東北本線白岡駅から徒歩7分、埼玉県白岡市千駄野字加美に位置する土地区画整理事業地内の一角にある全21区画。すでに20区画は契約済みで、残っているのはモデルハウス1棟のみ。土地面積は135平方メートル、私道負担が449平方メートル(持ち分21分の1)、建物面積は101.23平方メートル、価格は4,190万円。構造は木造2階建(在来工法)。建物は昨年9月完成済み。


 現地は、地主らしき人の立派な住宅のほか賃貸マンション、駐車場などがたくさんあり、とても大宮から14分の近さにある住宅地とは思えぬのどかな田舎風景が展開している。


 分譲住宅の外構はまだ終わっておらず街並み全体像を把握することはできないが、企画意図はすぐ伝わってきた。


 圧巻は太陽光発電利用のタイマーによる自動散水システムだ。商業施設などは上部からミストが吹き付けられるのが一般的だが、ここは庭の樹木や草花、菜園「ポタジェ」などに水やりもできるよう地上から噴き上がるようになっている。水源は水道水で、栓は1戸当たり5つ。5分間噴霧すると、トイレを1度使用したくらいの水量だという。このほか栓は私道部分に10数カ所設置されている。


 もうひとつ、駐車スペースや玄関のステップなどに植えられている「ハーブマット」がなかなかのスグレモノだ。北海道の黒田ハーブ農園が開発したもので、食べられないそうだが踏みつけるとハーブの香りがする。歩くたびにハーブの香りが漂うなんて最高ではないか。


 それぞれの住戸の境界部に緑化フェンスを設置しているのもいい。ここに蒸散効果の高いつる性植物をはわせるのだという。1階リビング掃き出し窓の上には緑のカーテン用のフックもついている。このほか全戸に雨水タンクが設けられており、舗道は保水性アスファルト舗装。


 以上は「水」「緑」の力を利用したものだが、「風」の力を取り込んだものとして同社オリジナルの自動小屋裏換気システム「PaaS」がある。形状記憶合金を使用して、小屋裏の温度に応じて換気量を自動的に調節するものだ。小屋裏にこもった熱気を外に出すことで冷房負荷を低減する。


 「素材」の力を採用したものでは、室内の壁は調質効果のある同社オリジナルのけい藻土壁のほか、メープル、カエデ、ナラ、スギ、ヤマザクラなどの無垢(むく)材・挽き板を多用。調質効果があり、虫がつきにくい桐(きり)材も壁や収納に採用している。1階の天井高が約2.7m確保されているので、階段のステップは16段。出隅はR施工。食洗機も標準装備。


 商品企画を担当した同社グループのポラス暮し科学研究所住環境グループ主任・福代昇一氏は「当社のオリジナルもあるが、多くはすでにあるものを採用した。このパッシブデザインは他の部署にも理解されつつあり、どんどん広がっていくのに期待したい」と話した。


敷き詰められている「ハーブマット」

◇     ◆     ◇


 取材中、記者と同年配と思しき男女二人連れに出会った。話を聞くと、ご主人は秋田県出身で、土木関係の仕事をしていたとか。娘夫婦が購入した住宅を毎日のように見に来て写真に収めるのだそうだ。


 「ポラスさんの家はいい。基礎もしっかりしており、なにより職人さんのほうから声を掛けてくれる。写真は記念として娘夫婦にプレゼントする」とご主人は話した。


 「よかったら娘さんが買った家の前で記念写真はどうですか」と誘ったら、ご主人はその気になったのだが、奥さんに断られ実現しなかった(一回り若く見えた。ひょっとしたら秋田美人か。押しが足りなかったか)。


 ならばと「お父さん、まだ1戸残っているそうですから買ったらどうですか」と“追い打ち”をかけたら、「いやいや、もう歳ですから。宝くじでも当たらなきゃ買えない」と逃げられた。


モデルハウス リビング(左の壁は桐材)

桐の鎧張りの壁とデザイン収納

◇     ◆     ◇


 この日は朝から底冷えがするほど寒かったが、ポラスの哲学を目の当たりにし、娘思いのご夫婦と歓談することができて浮き浮きした気分になれた。


 上田知事にも一言。こういう住宅にこそ固定資産税や都市計画税の減免措置をとるべきではないか。税収は減るかもしれないが、都市間競争で生き延びることができる。空き家にもならない。5選も間違いない。


 それにしても知事は話がうまいと思ったら、大学は弁論部だったとか。奥さんに「家庭でもこの調子ですか」と聞いたことがあるが、「政治家ですから」とはぐらかされた。どういう意味だろう。


自動小屋裏換気システムについて説明する福代氏

[関連記事] ポラス「白岡」の戸建て 埼玉県「先導的ヒートアイランド対策モデル」認定(2016/11/29)


[2017/2/9 提供:RBAタイムズWeb版]

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RBAタイムズ 牧田司

第三企画(東京・新宿)が発行する住宅・不動産業界情報紙「RBAタイムズ」編集長。記事の大半を自身で取材・執筆している。月1~2回の紙面発行に加え、「RBAタイムズWeb版」で随時ニュースを配信中。紙面は住宅・不動産業界の親睦と発展を目的に業界関係者に無料配布しているが、広告を一切掲載せず、(第三企画も含めた)特定企業の利害にとらわれない編集方針をとっている。


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