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住宅ねっと相談室 あらかると

マンション管理組合や自治会、近隣のトラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

管理組合総会、委任状がない代理人に議決権を認めていいのか

(東京都 70歳代 無職 男性)

 マンション管理組合の役員をしています。管理組合総会の議決権者について、教えてください。


 本来、マンション管理組合総会に出席して議決権が行使できる人は、区分所有権を持っている人(共有している場合は、管理組合に届け出た代表者)に限られ、代理人を出席させる場合は、委任状を提出してもらうのが原則だと認識しています。ところが、実際は区分所有者の奥さんや家族が出席される場合が多く、しかも委任状をお持ちではありません。当然のように決議に参加してもらっています。


 先日の役員会でこの話が出ていろいろ調べてみたのですが、別のマンションに住む友人によると、管理組合の規約に定めれば「総会に区分所有者の配偶者または成人の1親等内の者が出席した場合、委任状なしで議決権を行使できる」とのことです。本当でしょうか?


 民法第100条の但し書き「相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは前条第1項の規定を準用する」に基づくと推定されます。この条文を拡大解釈して、「委任状なしでも議決権行使が出来る」としているようです。


ANSWER

決議が不安定に

(住宅ねっと相談室カウンセラー マンション管理コンサルタント 江沼 伸一)

 仮に議決権者が家族に「自分の代わりに総会に行ってきてくれ」と口頭で委任した事実があったとしても、委任状が無いのは大いに問題があると思われます。


 物的証拠が無いということは、総会での決定事項が、何時ひっくり返ってしまうか分からない不安定な状況下に置かれてしまいます。


 他の組合員から決議無効の物言いが入るかもしれません。議決権の行使の正当性(証拠)が不明確となってしまうと、いかなる決議事項であっても、将来にわたって有効たり得るものか定かではなくなってしまいます。すると、当該総会で決まったあらゆることが「議決権数が実は不足していた」などの理由で白紙に戻ってしまうおそれがあり、常に総会決議が不安定な状態に置かれてしまいます。


 どこからもクレームが出なければ問題にならないわけですが、不安定な決議決定で管理運営をしていくというのは、とてもリスクがあります。「委任状なしでも議決権行使が出来る」というやり方は、仮に手続き的に可能だったとしても、おすすめできません。


 余談ですが、賃貸居住者が増加したマンションで、総会の参加者を増やそうと代理人の範囲を賃貸居住者にも広げた管理組合がありましたが、たとえば、機械式駐車場の施設維持費用など本来維持管理の面から必要にもかかわらず、使用料の値上げが通らず管理行為が滞った例もありました。管理組合と自治会との機能を切り分け、理想の管理組合運営を目指してください。


[ 2014/4/3 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー マンション管理コンサルタント 江沼 伸一

マンション管理をはじめとした住宅問題は、さまざまな分野や経緯が複雑に絡む難しさがあります。したがって、よりプラグマティック(実用的)な解決方法をアドバイスできるよう心がけています。マンション管理士、管理業務主任者、一級建築施工管理技士、宅建建物取引主任者、産業カウンセラー、社会保険労務士、行政書士、マンション維持修繕技術者、情報処理技術者、監理技術者、キャリアコンサルタント他。


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