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住宅ねっと相談室 あらかると

マンション管理組合や自治会、近隣のトラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

管理費滞納のまま所有者が変わった

(北海道 60歳代 無職 男性)

 マンション管理組合の理事をしています。同じマンションの中に競売物件になった部屋があり、先日ある不動産会社が落札しました。


 理事会ではこの不動産会社に対し、前の所有者が滞納していた管理費・修繕積立金の未払い分(約1年分)と、年利5%という法定利息に基づいた遅延損害金を請求することにしました。ところが、不動産会社は「未払い分は支払うが、罰則的性格を持つ遅延損害金まで競落者は負担する必要はない」と断ってきました。


 理事会の主張は間違っているのでしょうか。今後、訴訟まで考えるべきでしょうか。


ANSWER

区分所有法第8条

(住宅ねっと相談室カウンセラー 弁護士 柴田 亮子)

 管理費などの未払い金が残ったまま所有権が次の人に引き継がれた場合、前の所有者の責任をどこまで承継者に請求できるかという問題ですね。


 相続や会社合併によって所有権を引き継いだ者に対しては、当然に前の所有者と同様の責任を求めることができるのですが、売買や競売などで所有権を引き継いだ者に対しては、たとえ未払い債務があることを知らずに買った人に対しても、前の所有者と同じように支払ってくれと言えるかという論点(問題)があります。


 そこで、分譲マンションの管理や所有権の権利義務を定めた法律である区分所有法では、管理費など管理組合に対する未払い金が残ったまま区分所有権が譲渡(競売を含む)された場合、特定承継人(相続や合併以外で権利を引き継いだ新たな所有者。売買や競売などの承継人のこと)に対しても、債務を請求できる旨の規定を設けました(第8条)。この規定により、元々の所有者に請求できる債務は、原則、すべて新たな所有者に請求することができます。


 もし管理費・修繕積立金が期日通りに支払われたとすると、管理組合が金融機関に預けて多少なりとも利息が付きますよね。この利息分に加え、遅延によって生じた本来必要のない事務手続き負担(督促状の作成、郵送費用など)などが遅延損害金の根拠となります。近年は、金融機関の利息が相当低いですが、そんなことは関係ありません。


 ということで、前の所有者に当然請求できる遅延損害金も、競売で競り落とした者に請求することができます。


 遅延損害金の利率については、何も取り決めが無ければ法定利率(年利5%)で、もし規約などに遅延損害金の利率の取り決めがあれば、それに従います。


 訴訟が必要かどうかについては、区分所有法第8条を根拠に競落人に再交渉してみて、その結果次第で法律相談を受けてください。


 もっとも、競売が確定した時点で、裁判所からマンション管理組合に、競売代金から公共的な未払い金などを優先して確保する配当のお知らせがあると思われます。まずは、その内容もご確認ください。


【参考】区分所有法
第7条(先取特権)
 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条 の規定は、第一項の先取特権に準用する。

第8条(特定承継人の責任)
 前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。


[ 2015/1/8 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 弁護士 柴田 亮子

建築訴訟を中心に活動していくつもりです。皆さんと一緒に、この相談室を通じて勉強していければと思っています。


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