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住宅ねっと相談室 あらかると

相続や離婚などに伴う住宅関係の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

自宅不動産しかない場合の遺産分割

(大阪府 40歳代 主婦)

 夫の母が亡くなり、四十九日法要の際、早めに遺産分割を済ませてしまおうということになりました。相続人は、私の夫と義理の弟です。


 夫の母の相続財産は、私たち夫婦と同居していた不動産のうち半分の権利(残りの半分は夫名義)です。預金などの現金はほとんどありませんが、弟さんも自分の権利として、もらえるものはもらいたいとのことです。


 不動産の権利のうち、義弟が相続する分を夫が買い取ることにする場合、価格の決め方など、どのように進めればよいのでしょうか。


ANSWER

換価分割と代償分割

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田光廣)

 不動産は、金銭などと違い簡単に分けられない財産であり、また、安易に遺産分割で複数の相続人の共有にしてしまうと権利関係が複雑になり、後で共有者全員が困ってしまうことになりかねません。そこで、不動産に関しては、どなたか適切な承継者1人に相続を原因とする移転登記をして引き継いでもらうことお奨めしています。


 しかしながら、近年、主な資産は自宅不動産だけという遺産分割が増えており、他の財産との分割バランスが取れず、どうしても不動産の権利を分けなければならないというケースも少なくありません。


 そこで、換価分割と代償分割という考え方をご紹介します。換価分割は、相続財産である不動産を売却し、その売却価格を分ける方法です。代償分割は、1人の相続人が不動産を相続する代わりに、他の相続人にその分のお金を支払う分け方です。


 今回のケースでは、相談者ご夫婦がこれからもその不動産に住み続けるようなので、代償分割を検討されてはいかがでしょうか。遺産分割協議書で「ご主人が不動産のお母さんの持分全部を相続し、その代償として対価を支払う」という趣旨の条項を書けば、売買契約書や贈与契約書のようなものは不要です。


 次に、対価の決め方ですが、原則、相続時の適正時価ということで、客観的に売り買いされる価格で計算しなければなりません。相続税の計算は、土地は路線価、建物は固定資産税評価額でしますが、遺産分割の評価はあくまで適正時価ということになっていますので、混乱されないようご注意ください。


 なお、適正時価については、当事者が納得して決めればよいことになりますが、客観的な価格を知りたい時は、不動産会社や、不動産鑑定士に評価(鑑定でなくても意見書でよい)してもらう方法が考えられます。費用がかかる場合は、必要経費として相続人全員で按分すればよいと思います。


 余談ですが、どんな不動産でも、もらって得をする時代は終わっています。不動産は金銭財産と違って所有者としての重い責任が伴い、人口減少により簡単に売却できない不動産も増加していきます。権利ばかりを主張せず、将来にわたって必要かつ責任がとれる後継者に、親が残してくれた大切な財産を委ねる勇気も持っていただければと思います。


(参考)
民法906条(遺産の分割の基準)
 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。


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[ 2015/6/4 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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