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住宅ねっと相談室 あらかると

相続や離婚などに伴う住宅関係の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

自宅不動産しか資産がない人の老後

(神奈川県 50歳代 会社員 女性)

 78歳になる私の叔母(母の妹)のことでご相談です。


 叔母は、結婚して嫁いだものの子供が無く、ご主人も早くに亡くなりました。ご主人には兄弟姉妹がおらず、叔母の身寄りは私だけ。つまり、私が唯一の相続人です。


 叔母の資産と言えば、ご主人のお父さんから引き継いだ鎌倉にある土地と建物ぐらいです。叔母は「年金だけでは心配だ」といつも不安がっております。


 叔母の家は一人暮らしには十分すぎるぐらい広いので、私は「家を売ってマンションにでも移り住み、差額を生活費に充てたら」と提案しています。しかし、叔母は夫の親が残してくれた家を勝手に売ることに抵抗があるようです。


 叔母に何かあった場合、現在の蓄えではおそらく何もできないと思いますので、いくらご主人の親から引き継いだ家とはいえ、叔母の唯一の資産をできるだけ有効に使わせてあげたいと思います(私が相続しても住むことができないし、叔母の苦しい生活を犠牲にして資産を受け継ぐことに抵抗を感じると思います)。


ANSWER

リバースモーゲージという方法も

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 今の高齢者が現役のころと言えば、まさしく高度経済成長期からバブル経済期にかけてです。その年代の方のご資産内容が、不動産資産が中心という方は非常に多いです。


 なぜなら、不動産を手に入れることがステータスであり 、そのためには収入の大部分をつぎ込まなければいけなかった世代だからです。また、不動産が一番価値の高い資産と考えられ、不動産さえ所有すれば、将来は安心と思ってきた世代でもありました。


 ところが、人口減少・少子化により不動産が余り始め、よほど条件の良い物件以外は、処分しにくい傾向が始まっています。不動産資産には、いろいろな家族の思い入れもあり、簡単に処分することが難しい資産でもありますので、叔母さんのようなご事情の高齢者は少なくありません。


 このことは、一種の社会現象と言っても過言ではありません。とはいえ、叔母さんの唯一貴重な資産ですので、必要があれば叔母さんのために有効に使ってあげることが大切という相談者のお考えは、正しいと思います。


 さて、考えられる方法ですが、まずは、おっしゃるように今の住宅が本人にとって広すぎたり不都合が起こり始めているのであれば、処分して適切な住宅環境に変更してあげることです。交通の便もよく、手ごろな広さの物件に買い換えるもよし、高齢者介護サービス付き住宅などに変わるのも方法です。


 ただし、高齢者の中には、生活環境が変わることに抵抗がある方もいらっしゃいますので、叔母さんとよく話し合ってみてください。もっとも、自分の親ではなくご主人の親の資産を処分することに抵抗と不義理をお感じになっているとしたら、それはお考え違いであり、叔母さんの老後のために有効利用することが、亡くなったご主人のご意思と思われますので、気にされるべきではないと思います。


 次に、今の家にできる限り住みながら、老後の生活資金を入手する方法もあります。「リバースモーゲージ」という方法です。現在の所有者が施設に入所したり、亡くなった時点で売却することを条件に、それまでは住み続けることを了解したうえで金融機関がお金を貸す制度です。一般的には、“Xデー”時点の売却価格を推定し、その金額の7割ほどを上限に融資額を決めていきます。余命年齢や不動産の鑑定価値によって条件が異なりますが、できる限り今のご自宅で暮らしたいという方には向いている方法です。これに関しては、ネットでいろいろ検索して、積極的な金融機関に問い合わせてください。


 以上のことを踏まえ、叔母さんと相談しながら、後手後手にならないよう早めに準備・開始することが重要だと思います。


[ 2014/12/4 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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