住宅ねっと相談室 あらかると
建築家、不動産プランナー、税理士らの専門家が、さまざまな相談にボランティアで助言します。本コーナーの質問および回答に対するお問い合わせは、「住宅ねっと相談室」までお願いします。
二世帯住宅の相続対策
(岡山県 40歳代 会社員 男性 )
実家である父名義の土地に、二世帯住宅を建てて住んでいます。父もそろそろ高齢になり、相続対策を考え始めてくれています。今住んでいる家の敷地は父名義で、建物は二世帯住宅を区分登記しており、私と父がそれぞれ名義人になっています。
仮に父が亡くなっても、母が健在の間は問題ないのですが、2人とも亡くなったあと、今から相続対策を立てておかないと、兄妹(嫁いでいる妹が2人)の共有になったら大変と父も心配しています。
土地と建物に関し、生前に贈与してもらうべきでしょうか。二世帯住宅の相続対策としての注意点とアドバイスをお願いいたします。
同居の子供に権利集約することを念頭に
(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)
外階段などで出入り口が完全に分離している二世帯住宅では、上下一つの建造物でありながら分譲マンションのように別々の登記をすることができます(区分登記)。相談者の場合も、この区分登記で二世帯住宅を親子で所有しておられるということですね。
この場合の相続対策としては、建物が存在する限りは、敷地の2分の1の権利を確保さえしておけば、たとえ建物のお父さん名義の部分が兄妹のどなたかの所有になっても(あるいは持分共有になっても)問題はありません。
しかし、問題は、建物を建て替える必要が出てきた時です。再び同じ権利者同士が協力して区分登記ができる二世帯住宅を再築するか、土地を半分に分割するなら別ですが、相談者家族だけで住宅をその敷地上に新築する場合、敷地の半分を他の共有者から贈与を受けるか買い取らなければなりません。地代を払うことも考えられますが、次の子供たちの世代になると、何かと面倒です。実は、この点が二世帯住宅の相続対策の課題なのです。
そこで、可能な限り、最終的に(特に敷地に関しては)同居している子供に権利集約できるような相続対策をおすすめしています。今回は区分登記されている二世帯住宅ですが、そうでない共有名義の場合は、なおさらです。
この考えを相談者のご家庭に当てはめると、お父さんにご遺言を残していただくことが良いでしょう。その内容は、お母さんに自分所有の建物と敷地をすべて相続し、さらにお母さんのご遺言で相談者に相続してもらうか、直接、相談者に相続させるという内容です。
生前贈与も考えられますが、どのみち特別受益となりますのでお父さんの遺産の算定に含まれてしまいますし、何より税金面で、相続より負担が大きくなります(相続時精算課税を使っても、登録免許税が贈与扱いとなるため)
他の相続人に対する配慮も必要ですが、二世帯住宅に関しては、同居している相談者に所有権が集約できるよう、ご両親とよく話し合われてはいかがでしょう。
本来、二世帯で家を建てるということは、原則、最終的に他の一方の所有者に権利を承継させるということを前提にすべきものなのです。
[ 2012/4/19 掲載]
住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。
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