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住宅ねっと相談室 あらかると

相続や離婚などに伴う住宅関係の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

不要な仏壇、どう処分すればいい?

(大阪府 50歳代 会社員 男性)

 両親とも亡くなってから約8年経ちます。その間、実家は空き家となっており、固定資産税も負担になってきたため、兄弟と相談して売却したいと考えています。


 今まで実家をそのままにしてきた理由の一つに、仏壇の問題があります。父が生前、立派な仏壇を購入して大切にしていました。大きくて重いので誰も引き取ることが出来ずにいます。その仏壇から両親の位牌を出すと両親の意思に背くように思えるので、位牌もそのままにしてあります。どうすればよいでしょうか。


ANSWER

仏壇は菩提寺か、単なる家具か

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 空き家の処分や利活用の相談を受けて物件を見せていただく際、立派な仏壇がそのまま置いてあるケースは結構あります。位牌もそのままにしてあるケースや、解体しないと移転できない高価な仏壇も拝見しました。


 実は今、空き家が処分や利活用されずに放置される原因の一つが、この仏壇の処分の問題です。この問題でお悩みの方は、相談者以外にも大勢いらっしゃると思います。今まで宗教的な問題ということで、住宅関係者はほとんどこの問題に触れることを避けてきましたが、急増している空き家の処分や利活用の大きな妨げとなっていることから、思い切っていろんな意見を示さなければいけない段階に来ていると思います。ということから、私なりの意見を述べさせていただきます。


 まず、ご本尊と位牌をどうするかです。これについては、相続人の誰かの自宅に新たに安置スペースを設けるというケースや、実家の菩提寺などに永代供養として預かってもらうケースなどがあります。菩提寺との付き合いが無くなっている場合は、新たに引き継ぐ方のお近くのお寺さんに相談してみると良いと思います。


 次に、仏壇(器)の問題ですが、仏壇は菩提寺の代わりなのか、それとも単なる家具なのかという考え方があります。そもそも仏壇そのものは単なる器(家具)でしかないはずですが、信仰する宗派のご本尊の代わりとして掛け軸や仏様の像を飾っているため、神聖な空間、菩提寺の化身というイメージがあり、移動や廃棄を怖がる人が多いというところだと思います。しかし、菩提寺であるお寺も、そもそもは単なる建築物ですから、改築したり解体して建て直したり、移転したりします。ということは、仏壇も事情により移転したり解体したりすることは、あり得ることで、それについては問題ないはずです。また、実家を次に活用する人に、仏壇付きで使っていただくという方法もあります。家具付き住宅と同じ考え方です。


 問題は、その際に仏の魂を抜いたり、供養したりする行為・方法をどの程度に考えるかということが、一般人には悩ましいところですよね。信心深い方は、菩提寺から住職に来ていただくのも良いと思いますし、ネットなどで調べてお坊さんの派遣をお願いするのも良いでしょう。あるいは、心の中の問題として、自らが自分流の供養の仕方でお許しをいただくという方法でも良いと思います。それによって、何かたたりがあると考えるかは、私たちの心の問題だと思います。


 重要なことは、ご先祖が大切にしてきた住宅や仏壇を、活用せずに放置することの方がよほど罪深い行為だということです。しかも、何も血のつながった家族親族だけで引き継ぐべきものではなく、必要としてくれる人に使っていただくことが、何よりそれを大切にしてきた方々の気持ちに添うと思うのです。


 相続相談実務の中で、実家を早々に売却したら罰が当たりそうだと言う方も少なくありません。しかし、建築物が有効に活用できなくなるまで放置する方がよほど罰当たりだという考え方もあるということも、お知りいただければと思います。


> 「住宅ねっと相談室」のサイトで質問してみる


[ 2016/1/21 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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