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住宅ねっと相談室 あらかると

相続や離婚などに伴う住宅関係の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

実家を売却したいが、査定額が低すぎる

(大阪府 60歳代 無職 男性)

 父が15年前、母が2年前に亡くなり、実家が空き家になっています。


 郊外の駅からバスで10分ほどの住宅街にある土地(約70坪)と建物(築28年)です。空き家にしておいては固定資産税がかかるだけだし、周辺の方から「庭の木の枝を切ってほしい」と言われているし、往復4時間かけて部屋の空気を入れ替えに行くのも負担になっています。


 この際、売却も視野に入れようかと不動産会社に売却査定を依頼したところ、1400万~1700万円との評価でした。買った時は5000万円近かったので、あまりの安さにがっかりです。


 父と母が一生懸命節約して住宅ローンを完済したことを思い返すと、この値段では手放す気になれません。貸す方が良いのか、もっと多くの不動産業者に聞いた方が良いのかなどアドバイスいただきたいと思います。


ANSWER

客観的に考える

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 高度成長期の後半やバブル経済期前後に住宅を購入された方は、購入時の価額が高かっただけに、現在の売却価額とのギャップを感じられることと思います。


 当時、坪単価50万~60万円ぐらいしていた土地の売買相場は、駅から遠いところでは同20万円ぐらいになっていると思います。年月がたった建物には値段が付きませんし、逆に解体費用のことを考えなければなりません。さらに50坪以上の広い敷地は総額が高くなるので売りにくく、坪単価が低くなりがちです。予想していた値段とあまりにも違うので、ショックで売却を取りやめ、空き家として放置する相続人の方が多いもの現実です。


 しかし、我が国の急速な人口減少を考えると、多少の景気の変動はあるものの、この先再び住宅需要が高まるということはないと考えましょう。できる限り、早めに決断し、行動する方が利口だと思います。


 さて、どのような行動を始めるかですが、まずは地元の不動産屋さんを訪ねて、周辺の物件の流通事情と賃貸事情を教えてもらいましょう。近くに工場や病院、施設などがあり、そこの従業員さんなんかが賃貸物件を探しておられるなどの特殊事情があれば、貸すということも考えられます。ただし、貸家にする場合は、水回りをはじめ、壁紙などのリフォーム費用が必要です。外壁や屋根などのメンテナンス費用もかかるとなると、売った方がよいという判断もあるでしょう。


 いくらで売りに出してもかまいませんが、実際にその値段で売れるかは別の話ですし、問い合わせも入らないような値段で出せば、いわゆる「塩漬け物件」になりかねません。新聞のチラシ広告に載っている価額も、これで売りたいというあくまで売り主の希望価格であり、実際に売買が成立した値段ではありません。


 実際に売買が成立した価格情報は、不動産流通業者の間で共有していますので、どこの業者の査定額もそんなに大きな差はないはずです。逆に、一番高い値段を提示してきた業者が一番良いとも言えません。とりあえず専属専任媒介契約を取り付け、後で値段を下げる提案を繰り返す業者があるとすれば、そちらの方が問題です。業者の選択は、査定価額だけでなく、人として信頼できそうなところに任せるという発想でよいかと思います。


 今までは、不動産を所有することが資産やステータスになった時代がしばらく続きましたが、これからは、固定資産税、維持費用、所有者としての責任、そして空き家として放置することによる周辺住民の不安と実害を考えれば、使わない不動産は出来る限り早く処分し、次の住み手にバトンタッチする方が、家の傷みも少なく済み、また、亡くなったご両親も喜ばれるのではないでしょうか。


 住宅の売却価額は、よほど付加価値のある物件や立地である場合を除き、自分ならいくらだったら買っても良いと考える価額、あるいは、実際に工面できる価額と同じです。客観的に考えてみてください。


[ 2014/11/20 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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