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住宅ねっと相談室 あらかると

相続や離婚などに伴う住宅関係の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

死後に短い手書き遺言書が。効力は?

(東京都 50歳代 会社員 男性)

 先日、母が亡くなり、タンスの中から以下のような手書きの遺言書が出てきました。



 遺言


 お父さんが残してくださったお金と家をあなた達に残します。2人仲良くけんかしないように半分ずつ分けて下さい。


 平成24年8月16日 (母の氏名) (押印)



 この遺言書は効力があるのでしょうか? 相続人は私と妹の2人だけです。父は5年前に亡くなっておりますが、実家の土地・建物は父の名義のままです。この遺言書をもとに不動産の登記もできるのでしょうか?


ANSWER

「仲良くけんかしないように分けて」の本意

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 とてもシンプルで、温かい心のこもった遺言ですね。たったこれだけの文章からでも、お父さんお母さんのご夫婦の仲の良さと、お子様を思うお気持ちが伝わってきます。


 しかし、この遺言書で金融機関の手続きや相続登記の申請は難しいと思われます。理由は、「お父さんが残してくださったお金」の具体的な範囲、お母さん固有の資産はどうなのか、また、「家」とはどの家のことなのか、土地も含むのか、お父さん名義の不動産のお母さんの持分はどの程度と考えるべきなのかなど、資産の特定性に欠けるからです。正式な遺言書としては、有効性は低いと言わざるを得ません。


 かといって、意味のない遺言書とするのではなく、相続人おふたりによる遺産分割協議の話し合いの指針としてとらえてはどうでしょうか。


 考え方としては、「仲良くけんかしないように」というお母さんの本意を重視して、きれいに2分の1ずつ分けなければいけないと考えるのではなく、実家の不動産はどうするのか、誰が責任もって管理するのか、それとも売却するのかなど、単純に分けることのできない資産もありますので、十分に話し合って、どうやったら将来とも兄妹が仲良く付き合ていけるのかを考えて決めてください。お墓や仏壇などの供養継承の責任もあると思います。


 私は、多くの遺産分割を見てきて、遺産は決して法定相続分で分けるのが平等とは考えるべきではないと思っています。参考までに、民法の遺産分割の条文を掲げておきます。



民法第906条(遺産分割)


 遺産分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況、その他一切の事情を考慮してこれをする。



 ちなみに、遺言の有効性を重視するには公正証書で作成することが一番ですが、相続人の遺産分割協議の指針となることも重要な意味がありますので、怖がらず積極的に遺言書を書いてください。


 また、自分の本意と表現が異なることもあり得ますので、法律の専門家に相談することもおすすめします。


[ 2014/9/25 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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