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住宅ねっと相談室 あらかると

相続や離婚などに伴う住宅関係の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

実家の解体・改築に、別居の兄が猛反対

福岡県 50歳代 会社員 女性

 両親と独身の私が実家で暮らしています。2人の兄はともに結婚して独立した世帯を持っています。


 実家の建物が古くなってきたため、建て直そうと思っています。現在は土地・建物とも父の名義ですが、建て直すなら私しかローンを組めないので私の名義になると思います。


 ところが、兄たちから「壊してもらっては困る」と言われてしまいました。「いずれ自分たちにも相続権があるのだから、実家を好き勝手にされては困る」というのです。


 両親は建て直すことに賛成しており、今後も私が両親の面倒を見ていくつもりです。それなのに兄たちの許可が無ければ、家を建て直すことができないのでしょうか。


ANSWER

存命中は、相続権など発生しません

住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 法律的な話からしますと、家を解体する権利は現在の所有者にあります。所有者が存命中であれば相続権は発生していませんので、原則、所有者の意思だけで解体できます。経済的支援や同居も介護もしていない子供の権利は、みじんもありません。そして、建物の所有権は解体と同時に滅失します。


 また、家を新築するとき、土地と建物の所有者が異なる場合は、土地の所有者から承諾を得る必要があります。そのうえで建物を建てた場合、建物の建築費用を負担した人の所有権が新たに発生します。


 今回のケースにあてはめると、土地の所有権がお父さんで、建物の相続権が相談者にあるということです。大切なことは、将来的に建物の所有者と敷地の所有者を一致させておくことが望ましいということです。出来る限り早い段階で、お父さんに遺言書を遺してもらい、少なくともご実家の土地に関しては、相談者であるあなたに相続させる旨を書いてもらいましょう。できれば、公正証書で作成した方が安心です。


 以上の事柄は、法律的にはお父さんと相談者だけの意思で実行できます。


 一方、家族間の紛争を未然に防ぐため、お兄さんたちに事前の理解をもらっておくことも重要ですね。相談者からではなく、ご両親の口からご両親の意思としてご兄弟に話してもらうのがいいと思います。


 最近、(例えば兄弟姉妹は遺産を均等に分けるといった)法定相続分を当然に考える相続人が増え、相続争いを激化させる要因の一つになっているように感じます。法定相続分は、借金などマイナスの財産においては原則となりますが、プラスの財産に関しては、あくまで亡くなった方の意思や相続人の事情、相続財産の性質などを考慮して、適切に分割することが大切です(民法第906条)。


<参考条文> 民法906条(遺産の分割の基準)
 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。


[ 2015/2/26 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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