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住宅ねっと相談室 あらかると

建築家、不動産プランナー、税理士らの専門家が、さまざまな相談にボランティアで助言します。本コーナーの質問および回答に対するお問い合わせは、「住宅ねっと相談室」までお願いします。

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QUESTION

屋根の雪が落ちてお隣に被害が発生

(神奈川県 50歳代 会社員 男性)

 2年ほど前に新築した家で、今月の降雪で初めて雪らしい雪を経験したのですが、屋根から雪が全部落ちました。雪止めのなかった側は、車の上などに何度かに分けて落ち、かまくらがつくれるほどの山ができました。雪止め(瓦一体型の小さめのもの)が1列入っていた隣家側は、隣家のカーポートの上に落下、樹脂製の板を5枚突き破りました。自分の敷地には落ちた様子がありません。屋根は素焼きの瓦(仕様書には「平板瓦」とあります)、勾配は30度です。


 雪は決して大雪ではなく、翌日は車もノーチェーンで走れました。庭のウッドデッキには数センチ程度の積雪でした。雪質もベタベタでもサラサラでもない普通のものでした。また、降雪中はまったく無風でした。翌朝、周囲や地域の家の屋根を見ましたが、多くの家では雪が一面に残ったままでした。中にはうちよりもずっと勾配がきつい家もありました。


 この程度の雪でこんなことが起きるのは、設計・プラン(降雪に対する見通し、説明、雪止めの数の提案など)に問題があったと感じましたし、これでは雪が降るたびに気が気ではありません。すぐにメーカー(担当設計士)に連絡し、対応をお願いしました。しかしメーカーからは、「雪は自然災害」「全国で数軒起きることがある想定外のケース」といった理由で免責を主張しました。私は納得できず、メーカーのホームページから相談室にメールを送りました。その結果、責任者が見にきて、「本来は自然災害だが、材料費を持っていただき、工事費を会社で持つということでどうか」「隣家の被害については、見積もりをしてから相談したい」とのことでした。これが現段階の状態です。


 私の考えは、強引なのでしょうか。豪雪でもない普通の雪でこんなことが起き、そのたびに「自然災害」で片付けられてしまうのでは、私も隣家もたまったものではありません。本当に大雪が降ったら、と考えると恐ろしくなります。


ANSWER

住宅メーカーに対する求償権の根拠として

(住宅ねっと相談室カウンセラー 弁護士 柴田 亮子)

 このたびは、大変な経験をされ、さぞご心痛のことと存じます。よくありそうな問題ですが、実は、法律的には難しい問題と感じています。


 隣のカーポートに損害を与えた以上、民法717条1項(※1)の所有者責任が発生します。この場合、建物の設置に「瑕疵(かし)」があるといえるかですが、建築基準法上の規定がないのであれば、民法218条(※2)が類推適用できると考えられます(ただし、私が調べた範囲では、判例は見つかっていません)。


 したがって、717条3項に基づいて、建物の売り主あるいは設計者に対し、218条に基づいて求償することができる可能性があります。


 今回の件に関しては、上記の主張をされるとよいと思いますが、今後、同様の事故に対して隣家から損害賠償請求があるたびに、住宅メーカーに責任追及すること自体煩雑ですね。住宅メーカーに対しては、今後、このような事故が再び起こることは十分考えられることから、対策を講じてほしい旨を請求してみてください。その際は電話ではなく、書面で請求するようにしてください。苦情相談窓口だけでなく、契約の相手方である代表取締役あてにも出すようにしましょう。


 住宅メーカーが動いてくれない場合は、弁護士に相談されて、内容証明等で請求する方法も有効です。また、弁護士会などの仲裁センター(ADR)を使うのも費用的にはお勧めです。


※1
(土地の工作物等の占有者および所有者の責任)
第717条 土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植または支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者または所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。


※2
(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)
第218条 土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。


[ 2010/2/25 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 弁護士 柴田 亮子

建築訴訟を中心に活動していくつもりです。皆さんと一緒に、この相談室を通じて勉強していければと思っています。


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