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住宅ねっと相談室 あらかると

一戸建ての新築時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

古民家を中古で買ってリフォーム

(奈良県 40歳代 会社員 男性)

 古家付きの土地を購入しました。敷地は30坪ほどです。


 当初は更地に戻してから新築しようと考えていたのですが、古家の中をよく見てみると、梁(はり)や柱に昔の立派な木が使ってあり、なかなか趣があることに気がつきました。長年空き家だったため中はボロボロですが、大正時代に建てられた町家住宅ということで、うまく直せば趣のある家になるかもと思ってきました。


 梁や柱など、古い材木の寿命ってどうなんですか? 表からは丈夫そうでも、中が腐っていたりする可能性もあるのでしょうか? 古い建物の構造材料の耐久性について見極め方を教えてください。


 また、古い家は直すのにかえってお金がかかり、あっさり新しく建てた方が効率的なのでしょうか。


ANSWER

景観保全と住宅性能の両立

(住宅ねっと相談室カウンセラー 一級建築士 荒尾 博)

 戦前の腕のある職人さん達が一生懸命腕を振るっていたとすれば、そんな人々の気持ちのこもった空間に住むことは、ある意味素晴らしいことだと思います。


 問題は、建築基準法施行(昭和25年)以前の住宅をリフォームする場合、住宅の基本性能をどう考えるかです。特に、断熱性能、防火性能、耐震性能に関しては既存不適格になる可能性が高いです。既存不適格とは、建物建築時には適法に建てられた建築物であっても、その後の建築基準法改正や消防法、都市計画法など現行法規に適合しなくなった建築物のことです。まして、建築基準法は昭和25年(1950年)施行ですから、戦前の建物は既存不適格なのです。


 それでも、相談者のケースで考えてみますと、増築など含まず、屋根やしっくい壁を塗り替える程度のリフォームであれば建築確認申請は不要と考えられますが、大規模な改築に該当すれば建築確認申請が必要で、その際に、現行法規に適合することが求められます。もっとも、「大規模な」の解釈は微妙で、多くの場合グレーゾーンのままリフォームしているようです。


 町家など建物自体にそれなりの価値があって、それを生かし、なおかつ耐震性能など現行法規に適合するような工夫で改修できれば、建物自体もそうですが、近隣も含めた景観の面からも良いことだと思います。


 一概には言えませんが、戦前の木造住宅では、質の良い木材が使われていることが多いのです。木材は100年くらいたった方が強度など性能は良いとも言われています。法隆寺の五重塔では1200年も持ちこたえていますし、清水寺の舞台を支えている柱は800年くらいの寿命を考えていて、後400年後に取り換えるための木材を現在、森林で大事に育てているという話もあります。


 古い日本家屋をリフォームする時の問題としては、天井の高さや間取りが現代人に満足できるかということがあります。これも考え方次第で、外国人のなかにはこの空間を好む人もいます。


 問題があるとすれば耐震性能などの安全性です。できれば、古民家に精通している建築士や大工さんに現場を見てもらい、どうすれば町家の雰囲気を残して断熱、防火、耐震性能を現行法規に合わせるか、よく相談されることをおすすめします。


 それなりに費用もかかると思いますが、同じレベルの建築物を新築するよりも高くなることはあまりないと思います。壊すのは簡単ですが、いったん壊してしまえば、二度と手に入らない古材と空間ですので、じっくりと検討してみてはいかかでしょうか。


[ 2016/7/14 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 住まい創りのプロデューサー 荒尾 博

一級建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)、インテリアプランナー、ビル管理士、横浜市木造住宅耐震診断士、神奈川県福祉のまちづくりバリアフリーアドバイザー、民間地震対策研究会主幹会員、地震防災と高齢社会住環境に興味あり。


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