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住宅ねっと相談室 あらかると

一戸建ての新築時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

水害に強い家に建て替えたい

(千葉県 40歳代 公務員 男性)

 一級河川の近くに住んでいます。大雨で水が玄関近くまでついたことがあります。


 同じ敷地で家を建て替える準備をしているのですが、先日の茨城県の洪水被害を見て不安を感じています。水害に強い家づくりの条件を教えてください。


 基礎をしっかり施工すればよいのでしょうか? その場合、どのような点に注意が必要でしょうか? あるいは、地盤が大事でしょうか? 地盤を固くすることで家が流されることを防げるでしょうか? 盛り土をある程度した方が良いでしょうか?


ANSWER

高基礎と防護壁という考え方

(住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道)

 先日の大雨による河川堤防の決壊の濁流は、まさに、東日本大震災の津波被害をほうふつさせるもので、水が引いた地表に、家屋が押し流された跡に基礎だけが取り残されている光景が数多く見られました。テレビのニュース映像を見ていて記憶がよみがえりゾッとしました。


 さて、ひと口に水害といっても、家が流されることを防ぐのか、床上浸水を心配するのか、などのレベルによって対処方法は一様ではありません。


 基礎やその下の地盤をいくら強固にしても、基礎と上屋を結合する「土台」や外壁が引きちぎられれば、家屋は流されてしまいます。建築基準法では、地震動や横風を想定した部材同士の結合は考慮されていますが、水流に耐えることは想定されていません。また、たとえ部材の太さや結合金物を丈夫にしても、どの程度の水深のどれほどの強さの流速を想定するかによって、仕様が大きく異なるでしょう。


 また、水流で地盤がえぐられることで、基礎から押し流されることも考えられないわけではありません。地盤を強固にする方法として、地盤改良や鋼管などで家屋を支える工法がありますが、様々な事情から、これらの補強体と家屋の基礎は結合されるのではなく、上に載っているだけの状態で仕上げられます。したがって、地盤補強工事は、あくまでも地盤沈下防止を目的とし、家屋の流出に対してはどれくらい効力があるかは疑問です。


 浸水防止には盛土でかさ上げすることも有効ではありますが、隣家の日当たりを妨げないよう屋根の高度制限があるので、積み増しするにも限界があります。また、河川に近い場所は、ほとんどの場合、地盤が軟弱な低地です。盛土はそれ自体の自重が重いので、軟弱地盤では、逆に沈下の原因となります。


 そこで私見では、高度制限の範囲内で(屋根勾配を工夫するなどして)、基礎を「高基礎」とする方が盛土よりも良いと考えます。高基礎は、盛土に比べ、軽く設計できるうえに、ある程度の水流に耐え、しかも耐震性能向上にも効果が期待できます。


 さらに、決定的な対策となるかどうか断言はできませんが、水が押し寄せてくる河川方向の隣地境界沿いを鉄筋コンクリート造の「防護壁」とするのはどうでしょうか。ただし、一般的なブロック塀では強度が不足しますのでご注意ください。


 以上、あくまで参考まで。


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[ 2015/9/24 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道

地盤は、土地の購入、住宅の建築に際し看過されがちな分野ですが、思いがけないリスク(軟弱地盤・洪水・湿気・地すべり・地震・汚染など)が潜んでいます。これまでのコンサルタント経験を生かし、分かりやすくエンドユーザーの皆様に解説します。住宅地盤品質協会会員。


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