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住宅ねっと相談室 あらかると

一戸建ての新築時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

「家が建ったまま地盤改良」は可能か

(埼玉県 40歳代 会社員 男性)

 新興分譲地内の建売住宅を3年前に購入して住んでいます。一級河川の近くで、宅地になる前は大きな倉庫だった土地だと聞いています。


 引っ越しから2年半たったころ、家の中でゴルフボールが転がるほどの傾きがあることに気付きました。知り合いの建築士に調べてもらったところ、1000分の8.2の傾きがあることが分かりました。


 売り主は「家が建ったまま地盤改良して対処する」と言っていますが、本当にそんなことできるのでしょうか?


ANSWER

傾いた家を水平に戻す方法

(住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道)

 不同沈下した家を建ったままの状態で水平に持ち上げる方法(沈下修正工事)はあります。


 職人が腹ばいになって床下に潜り込み、べた基礎のコンクリートを削岩機などで割り広げたのち、職人がかがんで座れるほどの穴を地面に掘ります(布基礎であれば地面が露出しているので基礎コンクリートはそのままです)。


 穴は「基礎梁」と呼ばれる建物荷重を受ける部分に沿って、約2メートル間隔で掘るので、家全体では20~30カ所になります。床下からむき出しになった基礎を見上げる状態で、基礎の底面に油圧ジャッキをあてがい、さらにジャッキの下に細く短い鋼管を立てかけ、ジャッキが家を持ち上げようとする反力で、鋼管を地中に向かって押し込みます。


 鋼管を溶接しながら次々と深くまで押し込むうちに、それ以上は押し込めなくなるほどの硬い地層に鋼管が到達します。すると、ここからは鋼管は油圧で押し下げられずに、一転して家そのものを持ち上げることになります。すべての鋼管の油圧を微妙に調整しながら、徐々にゆっくりと家を水平に戻していきます。


 最後は土を埋め戻し、基礎のコンクリートを修復して工事は完成します。ほとんどの工程は機械に頼れない人力による難渋を極める作業であり、施工期間も1カ月を超えることが珍しくないので、建築面積にもよりますが500万~800万円ほどの費用が掛かります。ただし、床下での作業なので、居住者はそのまま日常生活を送ることができます。


 また、沈下量が軽微で持ち上げる高さが小さい場合には、べた基礎に数センチ程度の丸い穴を空け、そこから短時間で硬化する特殊な樹脂を圧送して基礎を持ち上げる工法もあります。土の掘削などが不要である分、工期も短く、費用も数百万円で済むことがあります。


 いずれにせよ工事費は決して安価ではありません。業者の中には、床下に潜り込む手間を省き、建物の外周部だけを持ち上げ内部を放置することで、価格を低く見積もる劣悪な者もいますので、お気を付けください。


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[ 2015/12/24 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道

地盤は、土地の購入、住宅の建築に際し看過されがちな分野ですが、思いがけないリスク(軟弱地盤・洪水・湿気・地すべり・地震・汚染など)が潜んでいます。これまでのコンサルタント経験を生かし、分かりやすくエンドユーザーの皆様に解説します。住宅地盤品質協会会員。


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