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住宅ねっと相談室 あらかると

一戸建ての新築時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

新築直後から建物の沈下が始まった

(神奈川県 30歳代 会社員 女性)

 10年前に新築の戸建て住宅を購入して住んでいます。住み始めてから半年後に外壁に大きなヒビが入り、その後、地下の車庫と階段のコンクリートのつなぎ目が分離したり、ドアが勝手に閉まったりといった不具合が生じてきました。


 1年ごとに沈下の具合を計測してもらっていますが、売り主の業者は、法的に傾斜率が6/1000にならないと瑕疵(かし)があるとは言えず、沈下修正工事はできないの一点張りです。


 地盤保証の期限が2016年12月で切れます。それまでに何をすればよいでしょうか。高い買い物をしたのにこのようなことになり、本当に残念でなりません。


ANSWER

不同沈下の一般的症状

(住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道)

 建物に不具合が生じた原因が「不同沈下」にあると仮定して回答します。「不同沈下」とは、建物が不均等に傾きながら沈下する症状のことで、敷地の地盤が軟弱にもかかわらず、適切な対策をせずに建物を建築した場合などに起こります。軟弱地盤の層厚が厚いほど、軟弱の程度が著しいほど沈下量が増大し、長期間にわたって沈下が続きます。


 ちなみに、自分の土地がもともと軟弱な地盤であったのか、さらに地中でどのように軟弱層が分布しているのかを知るには、10年前なら1999(平成11)年6月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく建築前の地盤調査の報告書を見ればわかります。


 一般的に沈下は、建物が完成に近づきだんだん重くなっていく上棟の時期に始まりますが、引き渡しの時点では沈下量がまだ小さいため気づくことはまれです。沈下が顕在化するのは竣工してから数年を経過したころです。


 症状としては、初めに地盤に接している「基礎」にひび割れが生じ、徐々に上方の部材へと影響が及び始め、5~6年後には建物の骨組みとなる「構造材(柱やはり)」がゆがむなどの変形を起こして、最終的には構造材に接合されている壁・床・窓やドアなどの開口部にも不具合が発生します。


 沈下は、地盤の強さと建物荷重の力比べのようなものであり、よほどの軟弱地盤でもない限り、建物荷重に見合った沈下量となるに従い、沈下は終息に向かいます。厳密な定義はできませんが、沈下の収束はだいたい7~8年後です。


 前述の「品確法」において、瑕疵に該当する可能性のある不具合の規定として、地盤に関連するものは「床の傾斜」と「基礎のひび割れ」です。最短で長さ3メートルの本来は水平であるべき部材の両端に6/1000以上の傾斜が生じた場合、または基礎の内部にまで及ぶ亀裂(ひび割れ)が幅0.5ミリ以上となった場合がそれぞれ瑕疵に相当します。


 以上が不同沈下に関する一般的な解説です。


 これを踏まえて改めて相談文を読み返すと、「住み始めて半年で外壁に大きなヒビが入り」とあるのは、あまりにも異様です。あくまでも推測でしかありませんが、建物の一部に地下車庫が存在し、基礎自体が車庫に載っている部分と地盤に載っている部分とで、あまりにも異なる支持のされ方をしたための不同沈下かもしれません。この場合は、じっくりと静かに進行する地盤の沈下とは違い、不具合の発生が半年で出てくることもあり得ます。


 瑕疵担保保証責任期間が近づいているのでしたら、早急に地盤に詳しい専門家に見てもらうことをお奨めします。


[ 2016/7/28 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道

地盤は、土地の購入、住宅の建築に際し看過されがちな分野ですが、思いがけないリスク(軟弱地盤・洪水・湿気・地すべり・地震・汚染など)が潜んでいます。これまでのコンサルタント経験を生かし、分かりやすくエンドユーザーの皆様に解説します。住宅地盤品質協会会員。


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