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住宅ねっと相談室 あらかると

建築家、不動産プランナー、税理士らの専門家が、さまざまな相談にボランティアで助言します。本コーナーの質問および回答に対するお問い合わせは、「住宅ねっと相談室」までお願いします。

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QUESTION

2つの板を重ねあわせた梁の強度計算に疑問

(秋田県 30歳代 主婦)

 今年の冬の異常積雪により、雪下ろしが不要のはずの自宅の外壁に、雪の重さでひび割れが発生しました。同じ工法の周辺住宅でこのようなひび割れがあったのは当家だけでした。建設した工務店に問い合わせたところ、構造上の問題はなく、異常積雪量だから仕方がないという回答でした。


 しかし、どうしても納得がいかず、こちらの相談室のアドバイスに従って、先日、別の第三者の建築士さんに持てもらったところ、図面で270ミリになっている梁が、105ミリの梁と165ミリの梁を合わせて270ミリになっているので、強度不足の可能性があると指摘されました。


 それを売主に、すぐ言ったら「今まで、そのパターンで沢山の家を建築していて、そんな事を言われた事もないし、ましてやお宅は優良住宅で、かなりの検査もして建築された家だから、そんな事言われても困る」と言われました。


 このような売主に責任は問えないのでしょうか?


ANSWER

審査合格と梁が構造耐力上安全であることとは全く別問題

(住宅ねっと相談室カウンセラー 構造設計一級建築士 佐藤 実)

 住宅の骨組みを構成している「梁」は、負担する荷重を見込んで構造計算により安全性を確認する必要があります。梁の構造計算では、「せん断力」、「曲げ」、「たわみ」の検討を行います。多くの梁は「曲げ」の検討が厳しくなり、曲げの検討結果により断面が決まってきます。


 曲げの検討には梁の曲げに対する強さを表す指標として「断面係数」を算出して計算するのですが、この断面係数は下記の公式により算出します。


 Z=(b・hの2乗)/6
 b:梁幅
 h:梁せい


 この公式から分かるとおり、梁の曲げ強さは「梁せい」が大きく影響しています。


 そこで、270ミリの梁と105ミリ+165ミリの梁の曲げに対する強さを比較してみます。


・梁せい270ミリの場合
bの2乗=270ミリ×270ミリ=72900ミリ平米


・梁せい105+165ミリの場合
bの2乗=105ミリ×105ミリ+165ミリ×165ミリ=11025+27225=38250ミリ平米


 このように梁の曲げ強さは1.9倍も違います。よって、2本重ねた梁は270ミリ1本の梁と同じ曲げ強さとは言えません。


 これを考慮し、現状の2段梁(105+165ミリ)で構造計算により安全性を確認します。2段梁の安全性が確認できないようであれば補強を考える必要があります。また、2段梁をボルトなどでガッチリと接合しても一体(270ミリの梁)とは言えません。やはり2段梁とし構造計算してください。


 ちなみに、長期優良住宅は、梁の構造計算を行いますが現場の検査はありません。上棟時(梁が架かった状態)での現場検査は瑕疵保険の検査だと思います。現場検査項目は、火打ち梁の配置、筋かいの配置、補強金物種類と配置などで、梁の寸法整合は確認しないことが多いようです。したがって、図面が270ミリの梁となっていて、現場が105+165ミリになっていても現場検査は合格します。


 この現場審査合格と梁が構造耐力上安全であることとは全く別問題です。図面と現場との梁寸法の整合は、あくまで設計者の責任となります。


[ 2012/5/31 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 構造設計一級建築士 佐藤 実

木質建物を中心とした構造設計、構造計算の仕事をしています。誠実な業務により、そこに住む人に希望と愛が溢れ、幸運が舞い込むような本物(真実)の構造を提案いたします。


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