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住宅ねっと相談室 あらかると

土地の購入時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

購入した家の地盤に数々の不安材料が

神奈川県 40歳代 主婦

 地盤の心配と契約解除に関するご相談です。


 西側が台地、東側が谷地、その境の急傾斜(標高差10メートルくらい)にひな壇で2棟建つうちの下の段の家(建築中)を買いました。もともとは山林地だったようですが、あたりはすっかり新興住宅地です。擁壁の高さは約4メートルで、地下車庫の上は庭ではなく家が建っています。当然、盛り土のはずです。西側には1.3メートルくらいの擁壁があり、その上に上段の家が建ちます。


 南の土地の下は用水路のトンネルになっており、まっすぐ東に300メートルほど先にある川と合流しています。もともと川ではなく、人工的に作られた水路です。水路はコンクリートできれいに舗装されています。その両脇には新しい住宅地が広がっていますが、ハザードマップや過去の災害などを調べてみると、地盤は軟弱です。しかし西側の台地は地盤がいいことがわかっています。


 つまり、台地と谷地の急傾斜、谷地の側には川、トンネル工事の湧き水、そのトンネルの出口の脇4メートルの擁壁の上に建てた家です。


 西側以外、どの部屋も見晴らしが大変よく、全室南向き、プライバシーがしっかり守られていて、見下ろした先には美しい住宅街が広がります。川沿いの遊歩道も美しく、子供が遊び場にことかかない、最高の物件だと思い、一目ぼれしてしまいました。


 地盤のことなど、全て自分で調べ、納得して購入したつもりでいましたが、調べれば調べるほどいろんなことがわかってきて、すっかり不安になりました。不動産屋さんは、情報を求めても、たいして調べもしてくれず、「どうなんですかね」「調べようがないですね」「ある程度ネットで情報収集できますよ」なんていう調子です。自分で調べたほうが早いので、これで仲介料を取るのか?と言いたいくらいです。


 せめて造成工事の工程や地盤に関する資料をいただき、隅々までチェックして不安材料を取り除こうと、仲介してくれた不動産屋さんにお願いしたら、なんと、造成した会社が倒産してしまったらしいとのことでさらに不安に陥っています。


 契約を解除することになった場合、このようなことが理由であっても、手付金は戻ってこないのでしょうか? 建て売りですが、そこに家を建てて土地も一緒に売った以上、施工会社には購入者が土地に関して求める情報をしっかり持ってくるべきだと思うのです。不動産屋にはまだ仲介料を払っていませんが、契約時に半額、引渡し後に半額支払うことにはなっています。


 今後どのようにしていけばいいのか、さっぱりわからなくなってしまいました。今はっきり言えることは、こんな気持ちのまま中途半端に購入するのは絶対に嫌だということと、契約解除をすることになった場合、手付金をあきらめなければならない上に仲介料半額を払わなければならないのは、悔しい!ということです。どうか、アドバイスしてください。よろしくお願い致します。


ANSWER

現状できること

住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道

 現段階では、建物に関する瑕疵担保保証および住宅の品確法が法制化されていますが、造成に関する瑕疵担保保証はありません。あるのは「宅地等造成法」による規制だけです。高さ2メートル以上の擁壁については、宅造法により「工作物確認申請」(地下車庫も含め「工作物」といいます)を行うことになっており、申請書類には、地盤調査、工作物を支える杭の構造計算書などが役所の開発課または建築指導課に提出されているはずです。ですから、まずは役所に問い合わせることをお勧めします(場合によっては切土・盛土の断面が記載された「造成計画図」もあるかもしれません)。役所で「工作物確認申請」が受理されているのであれば、ひとまずは擁壁の安全性については信頼してもよいでしょう。


 土地の売買に際して、法的には、工作物の施工会社、不動産業者が造成に関する重要事項説明、造成図面を提出することが義務化されているわけではなく、造成を含めた建築の安全性を建築の施工者(設計者)が検討することになっており、不動産業者にそれを求めても、地盤や造成に関する知識が皆無といってよい状態が浮き彫りになるばかりなので、「悔しい!」でしょうが、責任を求めるのであれば、瑕疵担保保証と品確法を遵守しなければならない建築会社になってしまいます。建売の場合は造成会社と建築会社が同一の会社であることがありますが、念のため建築を請け負った施工会社を探してみてはどうでしょうか。役所で「建築物確認申請」の届け出書類を調べるのが近道です。


 また、瑕疵担保保証に登録してあるのであれば(本来はすべての住宅で登録が義務付けられているはずなのですが)、保証を受け付けた「保険法人」に問い合わせることで、建築本体の瑕疵については一定の担保がなされます。


 新築建物については、保険法人が登録の際に要求する地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)が1宅地に付き5箇所ほど実施されているはずであり、貫入深度の違いとばらつき具合から、盛土と切土の区別や地層の勾配を読み取り、地盤補強工事の必要性が検討されていなければなりません。


 高さ4メートルの「L型擁壁」であれば、奥行き4メートル程度の「底版」が地中に隠れており、その上部は盛土地盤となっているはずです。斜めの「間知ブロック擁壁」の場合は「底版」が無いので、切土である可能性があります。地盤調査では、その底版の有無も特定できます。


 また、丘陵斜面には「尾根筋」と「沢筋」があり、水路が設置される場所は水を集めやすい「沢筋」である可能性があります。沢筋は尾根筋よりも水分が多い分、地盤がやや軟弱である場合があります。尾根であるか沢であるかは、造成計画図や造成前の旧版地形図の等高線などを判読する必要があります。


[ 2011/6/9 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道

地盤は、土地の購入、住宅の建築に際し看過されがちな分野ですが、思いがけないリスク(軟弱地盤・洪水・湿気・地すべり・地震・汚染など)が潜んでいます。これまでのコンサルタント経験を生かし、分かりやすくエンドユーザーの皆様に解説します。住宅地盤品質協会会員。


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