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住宅ねっと相談室 あらかると

土地の購入時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

土地を相続したら、頻繁に勧誘電話が

(東京都 50歳代 会社員 男性)

 父が亡くなり、母と私、妹の3人で遺産分割をしました。


 遺産の中に、父が40年前に購入した山梨県の山林があり、母の名義で相続登記をしました。山の中にある50区画ぐらいの別荘地のような土地で、誰も別荘を建てた形跡がなく、うっそうとした木々に覆われています。地元の不動産会社に尋ねたところ、「水道や電気も整備されておらず、誰も買う人はいないだろう」とのことです。


 ところが、相続登記の完了後、東京の不動産会社から母に「相続した山林を買い取るので、代わりに別の土地を買わないか」という勧誘の電話が頻繁に入るようになりました。


 母がこの土地を相続したという情報は、どこから伝わったのでしょうか? プライバシー情報の漏えいに当たると思うのですが、どこにどのように訴えればよいのでしょうか。


 また、買いたいという業者がいるうちに売却した方が利口なのでしょうか。


ANSWER

詐欺的な勧誘にご注意を

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 まず、お母様が相続されたという登記申請の内容がどこから漏れたかについてですが、登記の内容については公示情報ですので、原則、誰でも見ることができます。新たに登記された不動産の情報を集めて売っている業者がいるらしく、不動産会社などがその情報を購入してダイレクトメール(DM)を送る場合があります。


 (余談になりますが、登記申請を担当した司法書士が情報を漏らしていると疑われかねないぐらい素早いタイミングで送ってくるものですから、私は依頼者に対して「こんなDMが届くかもしれませんが、仕組みはこうですので誤解しないでください」と、あらかじめ説明することにしました)


 公示情報として入手できる登記情報の範囲は、登記簿に記載されている所有者名とその住所だけです。電話番号は登記簿に載っていませんから、電話がかかってきたとすれば、その情報は別のところから入手したのかもしれません。違法性があるかどうかは、その出所がわからなければ何とも言えません。


 次に、ご相談の土地についてですが、前にもこの相談室で取りあげたこともある「原野商法」の可能性があります。


 昭和の高度経済成長期、所得が増加し皆がマイホームや別荘にあこがれた時代、山を削っただけで電気や水道などの無い分譲地を不動産会社が平気で売っていた時代がありました。購入者の方も割安感もあり、将来この土地に別荘を建てようとか、数倍に上がったら売却しようなどと夢見て、購入した人も少なくありません。


 結局、これらインフラの無い土地は、家を建てることなど出来ず、区画整理(測量したと言えないものも多い)と道路だけがあったとしても、今では荒れ果てて元の原野に戻ってしまっているのがほとんどです。固定資産税もほとんどかからないほど資産価値が下がっていき、普段はその存在すら忘れられているものの、相続の時にだけ登記の対象となり、慌てることになります。そんな時に、「売れるかもしれない」という誘う言葉は、魅力的に聞こえるものと思います。


 そこでこのような土地をめぐって、以下のような詐欺商法が発覚しています。


(1) 「この土地を買いたいと言っている人がいるので、話を進めるためには測量が必要」と言って測量費の名目で土地の所有者から数十万円受け取り、結局、売れなかったと報告して終わるケース。


(2) 「他の土地を買ってくれるなら、この土地を買い取りましょう」と持ちかけるケース。他の土地を割高な価格で買わせて、買い取った土地は放置する(固定資産税はゼロに近い)。場合によっては、所有権移転登記をしない悪質な例もある。


 今回の場合も、(2)のケースの可能性もありますのでご注意を。ダブルで価値のない土地を買わされることになりかねません。


 ということから、もしも、その土地が原野に成り果て、固定資産税もかからないようであれば、将来、原野化した山林を引き取ってくれる公的機関が誕生するまでは(まだありませんが、私は必要だと思っています)、ひたすら浮かれた話に乗らず所有し続けてください。ただし、相続が発生したら相続人の中の一人に相続登記することだけは怠らず実行してください。使わないからと言って相続登記を放置すれば、将来、推定相続人の数が増え、面倒なことになる可能性が大ですので。


[原野商法に関する他の質問] 購入した土地の草刈り義務について (2010/12/16)


> 「住宅ねっと相談室」のサイトで質問してみる


[ 2015/7/30 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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