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住宅ねっと相談室 あらかると

土地の購入時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

自然崖に面している土地の注意点

(神奈川県 40歳代 自営業 男性)

 神奈川県の鎌倉市内にある敷地の後ろに自然崖のある中古物件の購入を検討しております。建物は築39年の軽量鉄骨です。


 土地はほぼ正方形で面積は約150坪。広い庭と日照が気に入っているのですが、おそらく将来の建て替え時に擁壁の造成が必要な物件です。39年前の書類を見ると「土質は関東ローム硬質粘土。切土により造成。現在は安定した状態」とあります。


 このような土地の注意点を、専門家の方にアドバイスをいただきたく投稿しました。何卒よろしくお願いいたします。


ANSWER

擁壁を築造するのがベスト

(住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道)

 傾斜地および擁壁に関する一般的な注意点を以下に述べます。


 落差が2メートル以上となる斜面や崖地では、万が一、地すべりが発生した場合でも、建物が土と一緒に横滑りしないための安全策として、建物自体は堅固な地層まで到達する杭を打設するよう、建築確認申請の際に役所から指導されます。杭で支えられている限りは、擁壁を新築することが絶対に必須ではなく、斜面を温存したまま建築される別荘などの例があります。


 自然に形成された斜面では、勾配が30度以上になる場合に地すべりの危険性が高くなると考えられており、30度を超える角度に該当する表土は流れる危険性があります。たとえば、平坦な更地にダンプカーで土を運び、山盛りにすると、山はだらだらと流れ、ほぼ30度の勾配になった時点でいったん止まります。これを「安息角」といい、斜面が地すべりするか否かの目安となっています。


 勾配が30度以上であっても、岩盤に近い堅固な地盤が地表付近から出てくる場合には、杭を打設することも、擁壁を新築することも免除されることがあり、そのためにはボーリング試験によって地層構成を確認する必要があります。


 鎌倉、逗子周辺の丘陵地では、「土丹(どたん)」とよばれる硬質粘土が地表付近から出てくることがあるため前項に該当します。ただし、関東ロームが地表に堆積している場合には、適用される可能性は小さいと考えられます。


 同じ斜面でも、水はけのよい尾根筋の方が、水が集まってくる沢筋よりも安全であり、また、傾斜地の裾地よりも頂上付近の方が地盤は乾いて安定しています。地すべりは、豪雨によって水が浸透して地盤がゆるむことが原因で発生しますが、地震動による場合は、斜面勾配が30度以下でも発生することがあるので、安全を確保するのであれば、やはり擁壁を築造するのがベストです。地震動で斜面が崩壊すると、低地側の宅地に土砂が押し寄せ、下の家を圧壊させる危険が生じるからです。


 背後の高台側の斜面については、ほとんどの場合、上方のお宅の所有地となるため、斜面を勝手に改変する事はできません。したがって、自分の所有地内で防護壁(逆L型擁壁)などを設置することが必要となります。


 最後に蛇足ながら、高さ5メートル以上の擁壁となると大規模土木工事であり、個人の裁量で築造することは、費用、計画の双方の観点から相当な困難を伴うことが予想され、さらに経験を積んだ設計士でない場合は、擁壁工事が適正に行われているかの監理が甘くなる恐れがあります。このような場合は、行政に相談されることをお勧めします。


[ 2013/8/1 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 地盤コンサルタント 高安 正道

地盤は、土地の購入、住宅の建築に際し看過されがちな分野ですが、思いがけないリスク(軟弱地盤・洪水・湿気・地すべり・地震・汚染など)が潜んでいます。これまでのコンサルタント経験を生かし、分かりやすくエンドユーザーの皆様に解説します。住宅地盤品質協会会員。


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