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住宅ねっと相談室 あらかると

マンション購入時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

地震による洗濯機の水漏れ事故の責任

(宮城県 30歳代 会社員 男性)

 仙台市内の賃貸マンションに住んでいます。


 3月の震災の折、共稼ぎなため夫婦ともども留守にしていたのですが、全自動洗濯機の水道取り付け口が外れて、下の階に水漏れを発生させ、布団や衣類、本などに損害を与えてしまいました。


 マンション損害保険に入っていたのですが、地震が原因なので適用出来ないと言われました。また、水漏れ事故に対する保険も入っていたのですが、この保険は自分が被害を受けた場合の保険で、損害を与えたことには適用されないそうです。


 下の階の方からは、会うたびにお叱りの言葉を浴びせられながらも、しばらくは保険会社に相談してみると言って時間稼ぎをしてきたのですが、先日、損害賠償金として10万円を支払って欲しいとの請求がありました。


 家内は、地震だから仕方がないことで、支払う必要はないと言っています。


 どう考えればよいのでしょうか。


ANSWER

過失に関する考え方

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 ここで申し上げるのは、あくまでも一つの考え方であり、確固たる判例があるものではないということをはじめに申し上げておきます。


 阪神淡路大震災の時もそうでしたが、今回の地震においても、留守宅の洗濯機の水道の取り付けホースが外れて、水漏れ事故に繋がったケースは少なくないと思います。


 このケースで、仮に裁判所が間に入るとすれば、「過失の有無」で判断するでしょう。つまり、水道の元栓を閉めていれば、万が一、ホースが外れても無事だったはずで、この元栓を閉めていないことに過失性が認められるかということです。仮に、水道の元栓をいちいち閉めたりしないのが通常とした場合、元栓の閉め忘れについては不可抗力となり、次にホースの取り付けに問題がなかったかという過失性を考えます。これに関しては、震度5強程度の地震でも外れないような施工がされていたら一般的には過失はない不可抗力と考えられるでしょう。


 さて、以上のことを踏まえて、水道の元栓を、使用していないときは必ず、あるいは、外出時に占めるのが一般的なユーザー責任であるといえるかを客観的に考えてみましょう。


 ガスの元栓のように、外出時には閉めるという啓発と習慣が定着しているとすれば、過失の可能性が高いと言えます。他方、洗濯機のカタログにも元栓を閉めることを奨励していないとすれば、過失性が低いということになります。もっとも、マンションでは洗濯機が原因の水漏れ事故がけっして少なくないようですから、メーカーも設置販売店もマンション管理会社も注意を促すことをしていないとすれば、それらの関係者にも社会的責任があると言えるかもしれません。


 一方、被害者の方ですが、マンションに住む限り、水漏れ保険に入っておくというリスク管理を怠ったこと自体が過失と言えなくもありません。


 ということで、ご自分の認識だけでなく、客観的に取るべき行為を振り返ってみて、相手との話し合いに臨んでみることをお薦めします。当事者同士で話し合いがつかなければ、地元の弁護士会や司法書士会主催のADR調停(裁判外紛争解決手続)を利用したり、裁判所の調停制度を利用することも考えられます。


 白黒はっきりとしたお答えができないのが心苦しいですが、交通事故のように、過失の割合で損害賠償の負担割合が決まって行くような問題だとすれば、水道の元栓を閉めずに外出した行為は、100%相談者側に責任があるとは言わないものの、50%以上の過失があると言われても仕方がないかもしれませんね。


[ 2011/6/2 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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