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住宅ねっと相談室 あらかると

賃貸住宅の入居・退去時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

賃貸か購入か、どちらが合理的でしょう?

(大阪府 40歳代 自由業 男性)

 10年だけ住む予定でマンションを探しています。


 ローンは使わないことを前提に比較した場合、購入した方がよいか借りた方がよいか迷っています。単純計算ですが、例えば家賃7万円×10年=840万円の賃貸マンションと、築35年くらいで600万円+管理費・固定資産税など、10年分で同じく840万円の中古マンションなら、やはり後者のほうがよいでしょうか?


 ちなみに、購入する場合は、家賃10年分の先払い感覚で、10年住めば築45年になってしまうので、売って利益を得ることは考えておりません。よろしくお願いします。


ANSWER

人口減少時代の考え方

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 不動産は、けっして単純な商品ではありません。仮に、購入したマンションが50年以上確実に建ち続け、しかも、その間も一定の維持管理費で済むなら相談者の計算通りです。さらに、その条件であれば、10年後も値段は下がるかもしれませんが、処分できる可能性がありますから、購入した方が得といえるでしょう。


 しかし現実はそうはいかないケースが多いです。40年を過ぎれば、大規模修繕だけでなく建て替えの問題が出てきますし、新たな出費が掛かる可能性があります。また、その決議がスムーズにいかなければスラム化との戦いが始まります。それでも固定資産税と管理費、修繕費などの所有者コストは払わなければなりません。


 また、人口減少時代が始まっていますので、不動産を買った値段以上で売却できる可能性が低いだけでなく、売れない可能性が高まります。寄付をしたくても、引き取ってくれるところもありません。こんな状況におかれている方は、実際に増加しています。


 これに対して、賃貸住宅はすべて家賃の範囲における出費が基本で、明確です。いつでも契約の範囲で出て行くことができます。しかし、賃貸住宅は割高で、良い物件が少ないという現実も否めません(供給が増えれば変わるかもしれません)。


 このように単純には結論は出ませんが、いろんな角度から考えてみましょう。


 まず、住まいや生活環境は、お金だけではない部分もあると思います。その地域に住むことがメリットを生んでくれる場合も少なくありません。具体的には、そこに住むことによって仕事やほかの家族との関係が良好になる、お金で買えない生活環境が手に入るなどです。


 次に、人は人生の中で、住居を変えなければいけなくなる時が何度か訪れます。中には、住まいの拠点を移すことでしかつかめないチャンスもあるでしょう。そんなときに大切なのが、すぐに動けることです。住まいが変えられないばかりに、人生の再出発のチャンスを逃したり、婚期を逃すことだってあります。


 そこで、住まい購入で重要なことは、移りたいときに確実に処分等ができる物件を選ぶことです。つまり、流通性の高い物件こそ価値の高い物件ということです。一番警戒すべき負のスパイラルは、売りたくても売れず、住まないのに管理費や固定資産税だけが出て行き、おまけに相隣関係や管理組合間で紛争が絶えない、あるいは、動きたくても動けない、というパターンです。


 不動産が当たり前のように売れたり貸したりできる時代は、既に終わっているという前提で、賢い物件選びをしてください。そのような物件が見つからなければ、あるいは、見つかるまでは、借りた方が無難といえると思います。


[ 2011/2/3 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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