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住宅ねっと相談室 あらかると

賃貸住宅の入居・退去時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

賃貸マンションの原状回復について(貸主側からの相談)

(東京都 30歳代 会社員 女性)

 都内にある超高層マンションの一室を2年前から賃貸に出しています。近所でも評判のグレードの高いマンションです。そのため入居者は誰でもいいというわけではなく、モラルのあり、契約時の約束を守れる人を選んでほしいと仲介業者に条件をつけました。特に、契約時の重要事項説明で、退去時の現状回復責任について借り主負担の特約があることを説明して、それを納得してもらって契約してほしいと。もしそれが納得してもらえないのなら断って、ほかの人を探してとお願いしていました。


 2年前に借りたい人が見つかって、その特約のことも納得したということで契約しました。そして、来月その借り主が退去することになったのですが、東京都の条例で、特約は無効だと言い出しました。契約前にも東京都の条例で原状回復特約が貸主にとって厳しくなるという話はありましたが、それを知ったうえであえて特約に入れました。そして相手も納得して契約したのに……。


 条例と特約では、どちらが優先されるのでしょうか。よろしくお願いします。


ANSWER

劣化のリスクは、原則家賃の範囲

(住宅ねっと相談室カウンセラー NPO役員 石田 光曠)

 契約自由の原則から、当事者間に特約があれば、それに従うのが原則です。しかし、その特約が、あまりに借り主に不利益な場合や公序良俗に反する場合、法律や条令の趣旨を逸脱するような場合は、無効とされることもあります。2年前といえば、ちょうど賃貸住宅の原状回復のトラブルがピークにあり、東京都がいち早く条例を出したころですね。


 さて、今回の物件は特別ハイグレードな物件とのことですが、そもそも賃料も通常より高めの設定でしょうか。もし、そのような事情があれば、それにプラスして原状回復特約を厳しく設定するのは、賃料の二重取りと判断される場合もあります。つまり、元々賃料は経年劣化(通常生活における劣化)の負担も入った金額設定のはずですが、さらに劣化分の負担を賃借人に取らせることは、家賃の二重取りととらえることもできます。


 最近、簡単にマンションを買って、簡単に人に貸す人が増えています。しかも、家賃の設定は、世間相場ではなく、自分のローン残債と固定資産税から割り出し、おまけに補修費も敷金を全額当てるという間違った発想を持った貸主が多いのも事実です。人に家を貸すということは、それなりのリスクも伴います。そのリスクは、家賃を取る限り、貸主が取るのが原則です。なぜなら、昔と違って、今の賃貸住宅はビジネス性が高いからです。


 もう一度、賃料収入と合わせて、全体で判断してみてください。もし、「この特約があるからこの家賃設定にしたのだ」というような事情があれば、相手にも説明し、特約の有効性を強調してください。


[ 2008/9/18 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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