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住宅ねっと相談室 あらかると

賃貸住宅の入居・退去時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

大家です。家賃滞納に困っています

(大阪府 50歳代 パート 女性)

 母から相続で引き継いだ借家についてご相談です。


 50年以上借りて住んでいた方が亡くなり、その方の奥さんが1人で住んでいます。家賃が滞りがちで60万円ほど(1年半分)未払いになっています。


 区役所の法律相談窓口で「催促しても支払ってもらえない場合は、裁判所から立ち退いてもらう判決を出すことができる」とアドバイスを受けましたが、子供のころから顔見知りの高齢者に出て行けと言うのは気が引けています。


 最近、その方の無職の息子が借家に住みつき始めたようです。せめて、契約者の奥さんが亡くなったら賃貸借契約を終了させることはできないでしょうか。契約当時の契約書はありません。


ANSWER

お互いが納得できる道を探る

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 お困りのご様子、想像できます。たとえ契約書が無くても、旧借家法時代の契約として賃借人の借家権の有効性が求められます。同時に、法律と判例に照らし合わせ、1年半分の家賃が不払いとなれば、間違いなく裁判所の支払い命令と建物明け渡し判決は獲得できると思います。


 法律屋が回答するのは通常ここまでですが、おっしゃるように子供のころからお知り合いで、しかもご高齢の賃借人を追い出すのは忍びないですね。大家さんとしての相談者が、そのようなお気持ちでしたら、話し合いによってお互いが納得できる解決策を見いだすことも有意義だと思います。


 一つの考え方としては、一般借家契約をいったん終了させて、新たに期限付きの定期建物賃貸借契約を新たに結び直すという方法もあります。たとえ契約書が無くても、今の契約関係は借家権が自動的に相続人に承継される一般的な借家契約です。ここでは家賃の未払い問題はちょっと置きますが、このままでは、お母さんが亡くなっても息子さんにその権利が移り、ある意味エンドレスの状態にあります。


 その借家人にとっての強い権利を家賃滞納を理由として解除するのも方法ですが、この事件をきっかけに終期付の定期建物賃貸借契約に変更することを考えてはいかがでしょうか。この場合、不払い家賃分を減免するという条件を付けて、相手方のメリットを作る必要がありますが、相続人へ自動的に権利承継されることは防げます。


 相手方の資金力の状況にもよりますが、話し合いによってお互いが納得できる道を探り出してみてください。


 もちろん、相手方が相談者の好意すら理解せず、信頼関係を築ける余地も無いほどの対応をしてくるようでしたら、原則通り、裁判所に契約解除を認めてもらい、支払い命令と明け渡し命令の判決を出してもらいましょう。


[ 2016/8/4 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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