日本経済新聞 関連サイト

住宅サーチ for Premium Life

住宅ねっと相談室 あらかると

賃貸住宅の入居・退去時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • この記事をmixiチェックに追加
  • この記事をtwitterでつぶやく

QUESTION

契約書に押す印鑑について

(埼玉県 50歳代 主婦)

 長女が東京都内にマンションを借りるため、夫が保証人になることになりましたが、不動産管理会社から「連帯保証人として契約書には実印を押して印鑑証明書を付けてくれ」と言われました。


 賃貸マンションの保証人になるぐらいで、実印を押し、印鑑証明書を見ず知らずの不動産屋さんに渡してよいものでしょうか?


 実印をみだりに押すのは怖いので、教えていただければと思います。


ANSWER

証明力の確保が目的です

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 法律や法令・規則などで、実印と印鑑証明書の添付を義務付けている法律行為(例えば登記申請における委任状など)以外は、実印を押さなければ効力が発生しないというものではありません。建物の賃貸借契約書など、自署による署名(サイン)さえあれば、押印すらなくても契約書としては有効です。


 では、なぜ日本人は押印を求めるのかということですが、それは単なる証明力の確保の一環にすぎません。その点で、サインだけよりもハンコがプラスされていれば証明力は増しますし、そのハンコが役所に届け出されている実印であれば、より証明力がアップします。


 そして、その証明力が役立つ場面は、問題や紛争が起こった時です。


 例えば不動産などの高額物件の売買契約など、もしものことに備えて、売主・買主とも実印を押印して印鑑証明書を添えるのが一般的ですが、これに関して抵抗を持つ人は少なく、当たり前のようにします。決して法律上実印でなければ契約は成立しないということではありません。あくまで、トラブルに備えての証明力の確保が目的です。


 その点、ガレージの使用契約やアパートマンションの賃貸借契約などでは、その額が高額ではないということもあり、必ずしも実印を求めずに契約書を作成することが一般的です。もちろん実印の方がより証明力は確保されますが、相談者のように実印を押すことに抵抗感を強く持っていらっしゃる方が多いのが現実ですから、それに対する配慮もあるのでしょう。


 ただし、連帯保証人に対しては、実印を求めるケースが一般的です。何故なら、賃料の不払いなどが発生した場合、借主本人から回収する可能性は決して高いとは言えませんので、どうしても連帯保証人に支払いを求めるケースが出てきます。そのとき、会ったことも無い保証人から「私はそんな契約は知らない」「連帯保証人になった覚えはない」と言われたときに、それを証明するすべはこの契約書しかありません。そこで、より証明力の高い実印を求め、それに対する証明と存在確認、本人確認の証明の両方の意味で印鑑証明書を出してもらうということなのです。


 実印そのものと印鑑証明書を手渡すことはとても危険ですが、しっかりと内容を読み、疑問点を確認したうえでの書面への押印と印鑑証明書の提出だけでは、すぐに悪用できるものではありませんのでご安心を。


 最近は、「保証人」とか「実印」という言葉を聞いただけで警戒される方が少なくないですね。何でもかんでも一律に拒むのも社会的にどうかと思います。法律手続きをいい加減に考える方よりはその方がよいと言えますが、その法律行為の内容と必要性を知ったうえで、適切に判断されることをお勧めします。例えば、お隣りとの境界線確定手続きなど、明らかに必要なのにもかかわらず、押印を拒む方も少なくありません。


 当然、理解できない法律行為がほとんどでしょうから、そんな場合は、専門家に確認する習慣をつけることをお勧めします。高齢になればなるほど、その必要性が高まります。


[ 2012/6/7 掲載]

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • この記事をmixiチェックに追加
  • この記事をtwitterでつぶやく

住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


バックナンバー


※正しく表示されない場合はしばらくお待ちいただくか
こちらのリンクをクリックしてください

 

このサイトについて

日本経済新聞社について