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住宅ねっと相談室 あらかると

建築家、不動産プランナー、税理士らの専門家が、さまざまな相談にボランティアで助言します。本コーナーの質問および回答に対するお問い合わせは、「住宅ねっと相談室」までお願いします。

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QUESTION

賃貸マンションを退去するにあたって、契約内容に不安が

(京都府 20歳代 大学生 女性)

 現在、大学の4年生です。4月から実家がある広島に就職が決まっており、3月下旬に今借りているマンションを退去し、実家に帰る予定です。そこで、敷金として支払っているお金(20万円)を引っ越し代などに充てようと思い、改めて契約書を見たのですが、「賃借人の故意・過失の有無に関係なく、原状回復の費用として、敷金のうち金15万円は返還しない」「また、場合により敷金を超える原状回復費用を請求することがある」というような文面がありびっくりしました。


 4年前に借りた時は、親任せで契約書もほとんど見なかったのですが、なんか不安を感じて、怖いです。私は、比較的きれいに部屋を使ってきており、特に弁償しなければいけないものはないと思っていたのですが、敷金は帰ってこないのでしょうか。それどころかもっととられることもあるのでしょうか。


 相談できるところがあればそれも教えてください。よろしくお願いします。


ANSWER

賃貸住宅契約の落とし穴

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 契約書って読んでも難しい言葉ばかりでよくわからないですよね。私も資格の勉強を始めるまでは、さっぱりわかりませんでした。車を買う時もマンションを買った時も、売主を信頼しきって、ほとんど理解しないままハンコを押していたものです。


 さて、ご相談の内容は、敷金返還に関する「原状回復」及び「敷引き特約」と言って、無条件に敷金の全部または一部を返さないという特約の有効性の問題です。賃貸住宅における敷金返還のトラブルは、近年とても増えています。特に、引っ越しシーズンの春は、消費者センターなどでも、相談件数が増えているそうです。


 さて、敷金の性質から考えていきましょう。敷金とは、礼金や更新料のように、賃料の一種として、大家さんの財布に入るお金ではありません。あくまで預り金(保証金)として、借りたものを問題なく返した場合は、全額返還されなければいけないお金です。


 では、どんな時に敷金が使われるかというと、慌てて引っ越して、最後の家賃を払わずに出て行ってしまったとか、故意・過失などにより部屋の設備や内装を壊したり汚したりした場合、その修繕費用として使われます。大家さんが引っ越し先を突き止めて請求するのは大変ですからね。


 ここで問題になるのが、少しでも汚したり傷が付いたら、どんな理由でも借主がすべて責任を取らなければいけないのかということです。この判断で、過去もトラブルが続いてきました。そこで、見かねた国土交通省が「賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という指針を作りました。インターネットでも検索できますので、是非見てください。


 そこで示された考え方は、「通常生活における汚れや傷、自然劣化における回復費用は、家賃に含まれる」ということです。具体的には、たとえばテレビや冷蔵庫を置いていたために、後ろの壁紙に黒ずみ(電気焼け)ができたという場合、このガイドラインでは、テレビや冷蔵庫は、生活に必要なものだから、それを常識の範囲の位置に置いて黒ずみができたとしても、家賃を取っている大家さんが負担すべきとしています。さらに、たとえ過失で壁紙を傷つけたとしても、借り手の責任範囲は部屋全面ではなく、その面だけでよいはず。また、壁紙は通常の生活をしていても6年ぐらいで張り替えが必要になるのだから、3年で退去する場合は、その半分、6年以上住んで退去する場合は、まったく負担しなくてもよいはず、としています。なかなか、合理的な指針です。


 もっとも、この問題は、個別性、細目性が高く法律で一律に決めることが難しいことから、あくまで「ガイドライン(指針)」にとどまっていますが、実際の裁判でも採用されていますので、かなりの判断基準になると思います。


 さて、問題は、こんなガイドラインがあるにも関わらず、個別契約で異なる取り決めをしていた時どうなるかです。原則として、当事者が納得して決めた約束は優先すべきというのが、日本の法律の考え方です。しかし、知識の少ない消費者に、あまりに不利な契約をしたからといって守らせるのも酷な場合があります。そんな場合は、消費者契約法などの法律を駆使し、契約そのものが無効であるということも言える場合があります。


 細かな説明は紙面では困難ですので、できるだけ早く、契約書などを持って、消費者センターや司法書士、弁護士に相談してください。


 皆さん、引っ越した後に問題に気づき相談に来られる方がほとんどですが、相談者のように、事前に疑問を持ったことは、今からとれる手段があるやもしれず、有利だと言えます。


 すっきりした気分で、新生活を迎えてください。


[ 2012/2/9 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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