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住宅ねっと相談室 あらかると

賃貸住宅の入居・退去時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

今借りているマンションの所有者が被災された

(東京都 40歳代 会社員 女性)

 私たち家族は現在、東京都江戸川区で、分譲マンションの所有者から仲介業者を通してお部屋を借りて住んでいます。住み始めたのは3年前で、契約期間は5年間の定期借家契約です。


 間接的に聞いた話ですが、宮城県の気仙沼市にお住まいの所有者さんが、このたびの津波で家をなくされたそうです。所有者さんは、以前このマンションに住んでおられたのですが、4年ほど前にご出身地に戻られたそうです。


 仮に、所有者さんがこのマンションに住むから出て行ってくれと言われたら、私たちは、出て行かなければいけないのでしょうか。もしそうだとすれば、立ち退き料などいただけるのでしょうか。


 原発による被曝(ひばく)問題もあり、私たちも出身地の関西に戻った方がよいのかなど、不安だらけの毎日です。よろしくお願いします。


ANSWER

明け渡しの必要性次第です

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 ご不安なお気持ち、お察しします。今回の災害は地震だけにとどまらず、津波や原発事故などの二次災害の影響が大きく、ご苦労されている方も広範囲に渡っていることから、私も心配しております。私の住む京都にも、災害地から多くの方が避難され始めております。


 さて、ご心配の点ですが、仮に契約が一般の借家契約の場合、大家さんに正当事由があれば明け渡しを迫られることがあります。具体的には、大家さんの所有する家が今借りている家しかない場合、あるいは、どうしてもその家に戻らなければいけない理由がある場合などは正当事由になり得るでしょう。この場合、適当な引っ越し準備期間終了後、出て行かなければならない可能性もあります。立ち退き料も、事情および大家さんのそのときの資力次第です。


 もっとも、相談者の場合は5年間の定期借家契約ですから、少し考え方は少し異なります。定期借家契約は、期間限定の明確な契約です。もともと大家さんにとっても計画が立てやすい有利な契約ですから、正当事由の判断も一般の借家契約と当然同じではありません。もし仮に大家さんが今お住まいのマンションを必要だとしても、後2年で確実に取り戻せます。そこで、その期間、大家さん側がほかの方法でつなぐことができないかという判断も生まれます。たとえば、2年間は仮住居施設に住むことができないか、あるいは、2年間ほかのマンションを借りることができないかなどです。もし裁判になっても、裁判所はそれらを総合して明け渡しの必要性を判断してくれるはずです。


 今回の震災は、日本人に助け合いと感謝の気持ちを呼び覚ましてくれました。相談者のケースも、もし仮にご心配のような事態になったとしても、お互いの事情を明確にして、法律上の権利とは違った角度からの譲歩も導き出せるよう、じっくりと当事者間で話し合ってみてください。


 また、相談者ご自身も原発事故問題に関し、単なる風評に惑わされることがないよう、冷静な判断をお願いいたします。


[ 2011/3/31 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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