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住宅ねっと相談室 あらかると

賃貸住宅の入居・退去時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

家主からの急な立ち退き要求

(大阪府 30歳代 会社員 女性)

 こんにちは。賃貸マンションに住んでいる者です。現在、家主から来月までに退去するよう求められて、話し合いをしています。


 入居して約2年。来月更新日で、退去の通知は更新日からたった1カ月と3日前の今月でした。理由は、更新前に保証会社が倒産したからということでしたが、調べてみると室内改装に伴い、マンションの住居者全員に退去をお願いしているみたいです。期限も迫っているし、働きながらの家探しという中で頭もパニック状態です。


 訴訟などはしたくなく穏便に話し合いで済ませたいと思っていますが、短い期間の中で話し合ううちに、家主さんのいいなりで良いものか、ご相談させていただきました。


 家主側は次の保証を約束しています。


(1)来月引っ越すまでの今の家賃(1カ月分)
(2)次期入居場所の家賃の日割家賃
(3)引っ越し費用全額
(4)不動産屋と契約した時の仲介手数料


 次の新しい家(賃貸マンション)も決まり、審査も通り、あとは必要費用を振り込んで、来月の引っ越しのみです。


 保証金の返還については、差入金40万円のうち契約書では10万円が返金されるとなっています。30万円が相手都合で丸々取られていくのかと思うと、いたたまれない気分でいるのも本音ではあります。相手の誠意はくみ取り話し合いをさせていただいていますが、ほかにこちらから請求できるような金額などありましたらアドバイスをお願いします。


ANSWER

解除通告期間と正当事由

(住宅ねっと相談室カウンセラー NPO役員まちづくりコンサルタント 石田 光曠)

 更新期間の定めがある建物賃貸借契約の場合、民法では、更新日の1年前から6カ月前までの間に、更新しない旨の通告をすることが必要だというのが原則です(借地借家法第26条第1項)。もっとも、契約書で、別の定めがある場合は、それに従うことになりますが、その期間があまりに短い場合は、借り主に一方的に不利な特約として無効となります(借地借家法第30条)。


 今回の場合は、その期間が1カ月ですが、その規定は契約書にありますか? あったとしても、1カ月前以内は少なすぎると思います。少なくとも、退去準備には最低3カ月が必要でしょう。とすれば、上記の借地借家法第30条に従い、1カ月前の特約は無効となり、原則通り借地借家法第26条第1項の1年前から6カ月前の間に通知することが必要になります。


 次に、退去を求めるにつき、家主側に正当な事由が必要です(借地借家法第28条)。もっとも、その正当な事由が不足する場合、またはない場合は、立ち退き料などの金銭保証で補う必要があります(判例)。


 今回の保証会社の倒産は、賃借人とは直接無関係ですので、正当事由になりません。保証人を立てるか保証会社を変えればいいだけです。


 金銭保証の金額については、地域によって物価の違いや慣習等の違いがあり、一概にいえませんが、私は、敷金の全額返還+次の同等の物件の確保と移動日+手間代が基準になると思っています。


 したがって、質問文の(1)~(4)+敷金全額返還+アルファーというところでしょうか。この考え方を基に、再度交渉してみましょう。


[ 2009/5/14 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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