日本経済新聞 関連サイト

住宅サーチ for Premium Life

住宅ねっと相談室 あらかると

賃貸住宅の入居・退去時や居住中の疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • この記事をmixiチェックに追加
  • この記事をtwitterでつぶやく

QUESTION

電気店を経営する大家と交わした念書の有効性について

(大阪府 40歳代 会社員 男性)

 築30年以上のいわゆる文化住宅といわれるアパートに半年前から住んでいます。契約時に、大家さんが経営する電気店以外から電気製品を購入した場合は、出て行きます、という念書を取られました。


 契約当時は、変だなと思いつつも、通勤に便路なことと家賃が予算範囲だったので気にせず契約しました。先月、冷蔵庫が壊れましたので、困っていたところ、大型電気店のチラシにお買い得の商品があったので見に行き、購入しました。


 ところが、搬入現場を大家に見られていたらしく、約束違反だから出て行ってほしいと言われています。聞けば、以前にも同じ理由で退去させられた人が2人ほどいたようです。このような、念書は有効なのでしょうか。


ANSWER

消費者契約法による無効主張

(住宅ねっと相談室カウンセラー まちづくりプロデューサー 石田 光曠)

 契約自由の原則からは、当事者が合意した内容については、法律の任意規定よりも優先するのですが、どうしても知識的にも情報的にも、そして契約上の立場的にも弱い立場にある一般消費者が被害を被る事件が絶えませんでした。そこで、これら弱者としての消費者の権利を擁護するために、平成13年4月1日に消費者契約法が新設施行されました。


 この消費者契約法のいう契約当事者とは、一般消費者個人(事業目的は含まない)と、事業者(法人その他の団体、および、事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう)となっています(消費者契約法第2条)。


 そこで、大家さんはここでいう「事業者」に当たるかという問題がありますが、「事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合における個人」に当たりますから、今回の賃貸借契約の内容について、消費者契約法の適用が可能だと考えます。


 そして、この消費者契約法の第10条に、


(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 民法、商法(明治32年法律第48号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
(民法第1条第2項 権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。)


という条文があります。


 つまり、今回の念書の内容がこの要件に当たれば、無効であるという主張ができることになります。


 今回の約束の内容は、大家さんである電気店以外から電気製品を買ってはいけないという消費者の権利の制限であり、それにより、特に賃料が安くされているなどの事情がない限り、あるいは、給湯設備など特殊な設備における修繕を勝手にほかの業者に頼んでほしくないなどの合理的理由がない限り、消費者の義務を加重する契約であり、かつ、民法の基本原理の信義則違反に当たると思われます。


 したがって、大家さんと交わした念書は無効であり、退去請求はできないと解されます。


 さらに、建物賃貸借契約において、契約書や重要事項説明書という法的に決められた書面以外の念書という別書面で特約を加重すること自体、問題があるともいえます。


 納得してもらえないようでしたら、地元の消費者センターや各種法律相談会で相談してみましょう。


[ 2009/7/9 掲載]

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • この記事をmixiチェックに追加
  • この記事をtwitterでつぶやく

住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


バックナンバー


※正しく表示されない場合はしばらくお待ちいただくか
こちらのリンクをクリックしてください

 

このサイトについて

日本経済新聞社について