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住宅ねっと相談室 あらかると

住宅に関係する税金やローンの疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

夫の遺産分割、相続税の金額が心配

東京都 60歳代 無職 女性

 2月に夫が亡くなりました。退職後、やっとこれからのんびり出来ると思っていたのに、がんが見つかってから半年でした。


 夫には不動産と預貯金の遺産が多少あり、銀行の担当者から相続税の申告が必要だと言われています。私自身落ち込んでしまって今は何もしたくないという気持ちですが、何もしないと気がまぎれないので、そろそろ遺産分割の準備を始めようと思っています。


 銀行の担当者は、配偶者の私がすべて相続してしまえば、相続税はかからないだろうと言います。ただ、私も働いてきて、私一人であればこれまでの貯えも使いながら十分やっていけると思いますので、家以外はすべて2人の娘にあげてもよいと思っています。この場合、相続税は相当かかるのでしょうか。


ANSWER

遺産分割の基本的な考え方

住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 お辛いお気持ちお察しします。私も昨年父を亡くしましたが、葬儀だけでなく後のいろんな手続きの面倒さには、専門家である私でも閉口しました。特に、相続税の申告が必要な場合は10カ月以内という時間的な制約があり、あっという間に日が経ってしまいますので、ストレスの増加につながりますよね。


 さて、ご遺言が無かったということで、娘さんたちと遺産分割協議をしなければなりませんが、その時の行動として、まずはじめに、相続税対策から遺産分割を考えるということはお勧めできません。相続前の相続対策も、相続後の遺産分割も、相続税だけを先行して考えることは、後で課題を残すことが、実務的にも少なくありません。かえって無駄な税金を発生させてしまうこともあります。


 大切なことは、まず、相続財産の内容を細かく一覧にして、それぞれの財産を一番ふさわしい、あるいは一番必要としている承継者(相続人だけとは限らない)に引き継いでもらうことです。税金の対策は、その適切な承継者が決まってから考えるべきです。つまり、「相続対策」と「相続税対策」とは別の次元のものであるという認識のもと、相続対策を先行させることが重要です。


 また、税金面だけを見ても、ご主人の相続における節税対策だけではなく、次の相続人の相続における相続税も見据えて考えることも必要です。今回の場合、配偶者である相談者がすべての遺産を相続することで配偶者控除を利用すれば、相続税はかからないということなのでしょうが、相談者のご相続の時には配偶者控除はありませんので、その時の予測も合わせて考える必要があります。特に、2015(平成27)年1月1日以降に発生する相続に関して、相続税の非課税枠が減額されることが決まっていますので、そのことも頭に入れておく必要があります。


 重要なことは、まず、相続の問題に精通し、親身になって考えてくれる専門家(司法書士、弁護士、税理士など)に出会うことからです。専門家ならだれでも同じというものでもなく、それぞれ専門性や依頼者との相性の問題もあるのが現実です。残念ながら一人の専門家ですべての手続きはできませんので(登記申請は司法書士、税務申告は税理士など)、その人から必要な専門家を集めてもらうと、相談者がいちいち個別に説明しなくても済み、手続きの一貫性が保て、効率も良いと思います。


 まずは、この人ならと思える専門家に出会うための行動として、無料相談会やホームページなどの情報も含め、複数の専門家の話を聞くことから始めて下さい。その際、漠然と相談するのではなく、先ほど申しましたように、財産の一覧を書面化し、それぞれ誰に引き継がすべきかというイメージを持ってから相談されることが重要です。


 お疲れが出ない程度に、頑張って行動を始めて下さい。


[ 2014/5/15 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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