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住宅ねっと相談室 あらかると

住宅に関係する税金やローンの疑問・トラブルなど、読者から寄せられた相談に建築士やFP、弁護士ら専門家が回答します(この連載は終了、新たな質問の受け付けも終了しました)

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QUESTION

複数にまたがる相続の登記

(兵庫県 60歳代 会社員 男性)

 30年前に他界した父名義の土地と建物があり、私たち夫婦は現在そこに住んでいます。


 このたび、遅ればせながら相続登記をしようと思うのですが、父が他界した後、母も亡くなっております。このような場合、父の分の相続登記と母が父から相続したであろう持ち分2分の1の相続登記の2件を申請しなければいけないのでしょうか。それとも、父から私に直接移転できるでしょうか。司法書士さんに聞けばよいのでしょうが、税金額が変わりますので登記そのものを迷っています。


 また、その土地と建物を、今の妻に遺してやりたいのですが、私には離婚した前妻との間にできた娘がいて、現在疎遠になっています。このような場合の利口な手続きを教えてください。よろしくお願いします。


ANSWER

1つの申請でできます

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

 祖父の名義の不動産を、父の死後、孫に移転する場合は、数次相続といって、いきなり祖父から孫に移転することができます。手続きの便宜と一種の減税処置ともいえます。


 一方、今回の相談内容のように、父からの相続分と母からの法定相続分の別々の相続の場合はこれには当てはまらず、原則としては、2件の申請が必要です。しかし、この場合も、子供が1人で、結局その子供に集約されることがはっきりしているにもかかわらず、2申請分の登録免許税を要求するのは、前述の特例と比較して不合理であることから、1申請でお父さんの所有権すべてを唯一の子供である相談者に移転することを法務局は認めてくれています。


 この場合の考え方としては、父の死後すべきであった共同相続人の母と子供の遺産分割協議をする前に母が死亡し、母の遺産分割権を承継した相談者と、父の共同相続人でもある相談者が、実際には1人であるが、2つの権利を持った別人格として遺産分割を行ったということにします。詳しくは、登記を依頼する司法書士に相談してみてください。


 それと、相談者のような複数回婚姻者で、かつ、前妻との間にお子様がいらっしゃる場合は、遺産が多い少ないにかかわらず、遺言書の作成をお勧めします。理由は、多くの場合、遺された相続人間でスムースな遺産分割協議ができないからです。


 遺産は、その方が亡くなっても本来の所有者である被相続人の物には変わりませんので、その分け方を決めて伝えることは、遺された家族に対する思いやりです。遺言を残すことによって起こる相続争いよりも、遺さなかったことによる相続争いの方が圧倒的に多いということを頭において、必要な人に必要な財産をつなげてください。


 また、相続人間でコミュニケーションがとれないことが予想される場合は特に、裁判所の検認手続きが不要で、その遺言書ですぐに執行できる公正証書遺言をお勧めします。


 居住している不動産をお金に変えて分けなければならないような相続は、遺された者にとっては、それこそ、いたたまれませんからね。


[ 2010/11/25 掲載]

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住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣

 『相続のたびに“まち”が壊されていく!』。これが長年のまちづくり研究で分かったことです。不動産や住宅は、経済資源ではありません。国家の重要なインフラです。秩序ある不動産の継承は、「まちづくり」の原点です。皆さんに正しい知識をもっていただいて、暮らしやすい社会を実現したいですね。こんな思いから司法書士になりました。


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